“ジョブズの右腕”の学生時代はダメ家庭教師

前刀禎明「人と同じことをしない」

2014.09.28 SUN


撮影/堀 清英
「そこで得られた“言葉”は、後の大きなヒントになった」

前刀禎明さんは、かのライブドアの創業者であり、かのスティーブ・ジョブズに乞われて米アップルの副社長、同社日本法人の代表まで務めた人である。しかもイケメンであることに加えて慶應義塾大学の出身とくれば、「ああ、エリートね…」と距離を置きたくなるが、本人によると学生時代はパッとしなかったらしい。

「成績悪かったし、毎年留年スレスレですもん。大学時代の友人に言わせると、『少しでも、こうなるとは思わなかった!』ですよ。アルバイトだって、割の良い仕事を友人から引き継いでやってただけだし」

非常に“ラク”なアルバイト。だが得られた知識は大きい

それは家庭教師のアルバイト。職場は等々力のお金持ちの家だ。相応の振る舞いに加えて“おいしい食事”という特典もつき、大満足だったらしい。
「つい食べ過ぎて眠くなっちゃうんですよね。で、『これ解いとけ』って課題を渡してベッドで寝ちゃったことも…。ひどいでしょ。ただ(生徒と)仲が良かったから」

理系で授業や実験が忙しく、頻繁にアルバイトはできなかったというが、そんななかでも得られたことは大きかった。

「その生徒には偉大なおじいちゃんがいて、その方が書いた本をいただいたんです。そこで学んだのが『和して同ぜず』ということ。経営トップは従業員と協調するべきではあるが、安易に同調せず、主体性を持つべきってことなんだけど。僕は小さいころから創業したかったから、いいヒントになったなぁ」

本田宗一郎、松下幸之助といった偉大な創業者の本に加え、帝王学まで読み漁った。ぺらぺらめくっては創業者気分に浸っていたというが、「人生は長い」ということで、卒業後はあっさりとSONYに入社。しかし胸に一物秘めていた。そして「惰性で仕事をするようになったら、次のチャレンジをした方がいいなと思ってましたね」。

「世の中には“決まりごと”ってたくさんあるし、それを守っていく大切さを否定しないけど、その原点や本質を常にキチンと考えるべきだと思う。上っ面だけ継承し、元の意味はどこかへ飛んでいってしまうから、惰性になるんだよね」

自分でやるなら、ルールは守るより作る方が面白い。その観点で転職し、新規事業開発や“創業”を繰り返してきた。なにせ著書のタイトルから『僕は、だれの真似もしない』なのだ。仕事への向き合い方とともに、その徹底ぶりがよくわかる。それゆえの成功だということは、経歴を見れば一目瞭然だ。

「でもたいしたことはできていないと思うし、現状に満足なんかしていません。僕が若い人たちに言いたいのは、人がどう思っているかはどうでもいいから、常に自分がやりたいことを考えておくべきということ。そつなく正解を求めるというのも、やめた方がいい。そういうのをいったん遮断して、人と同じことをしないということを自分に課したら、すごく考えなくちゃいけないし、探さなきゃいけないし、自分と向き合わなきゃいけない。人の真似をしていては、何にもならない。自分の可能性を信じて、常にチャレンジ!一緒に頑張りましょう」
(吉州正行)

※この記事は2012年9月に取材・掲載した記事です

  • さきとう・よしあき

    1958年愛知県生まれ。現在は感性・創造力・表現力を育むための教育・自主学習プログラムの開発と提供を行う、リアルディア(www.realdear.com)の代表取締役社長。著書に『僕は、だれの真似もしない』(アスコム)がある。前刀さんが考える“セルフ・イノベーション”がよくわかるほか、スティーブ・ジョブズとの邂逅についてもたっぷり描かれた、17歳からの必読の書!

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