身体にまつわる都市伝説 第119回

鍋の季節に朗報。「猫舌」は迷信!

2014.10.10 FRI

身体にまつわる都市伝説


熱さに対する舌の機能には、じつはほとんど個人差がない。(人の場合は)“猫舌”なんて存在しなかったのだ!  写真提供/PIXTA
そろそろ温かいものが美味しい季節になってきた。料理はやっぱり“温かいものは温かいうちに”が美食の鉄則だし、馬肥ゆる秋を大いに楽しみたい。

でも、なかには熱いものが苦手な「猫舌」の持ち主もいる。幸いにして筆者は猫舌とは縁遠く、熱いスープも平気でがっつける口なので、せっかく熱々の状態で出てきた料理をフーフーと冷ましている人を見ると、なんだか気の毒に思えてしまうのだが…。

「じつは、猫舌というのは存在しないことをご存じですか? 熱さを感じるセンサーは、舌の先端部分に集中しているのですが、この部分の機能が人によって大きく異なることはないんですよ」

そう語るのは、用賀ヒルサイドクリニックの鈴木稚子先生だ。なんと、これまで疑ってもみなかったが、猫舌とは迷信から生まれた言葉だったらしい。

「熱いものを食べたり飲んだりする際、人は反射的に舌の先端をすぼめて、熱さを直接受けないようにしています。幼少期はこうした対応をうまく取ることができず、誰もが猫舌の状態にありますが、成長過程で自然にこの舌の動きを習得していくものなんです」

僕らは熱から舌の先端を回避させ、さらに外気を取り入れて口のなかのものを冷ましながら咀嚼するようにできているのだと鈴木先生は解説する。

つまり、人によって熱いものが得意であったり苦手であったりするのは先天的なものではなく、後天的なテクニックの差なのだ。なお、舌先のセンサー自体を鍛えることは困難で、幼少期から熱いものをガンガン食べればいいというものではないらしい。

「ただ、食べるものの熱さに敏感なことは、決して悪いことではありません。むしろ、口蓋や食道の耐久力に個人差はほとんどありませんから、熱さを感じずにものを食べられる人は、知らず知らずのうちに口内に火傷を負っていることもあり得るので要注意です」

正直、熱いものを平気で飲み食いできることにささやかな優越感を持っていたけれど、これはとんだ勘違いだったようだ。これからの鍋の季節、よく肝に銘じておきたい。
(友清 哲)

※この記事は2012年10月に取材・掲載した記事です

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