身体にまつわる都市伝説 第225回

「運動はメンタルに良い」は本当?

2014.11.19 WED

身体にまつわる都市伝説


人間は普段、動物脳の原始的な欲求を理性で抑えこんでいる。運動はそうしたストレスを発散するのにうってつけの手段なのだ 写真提供/PIXTA
寒くなると外に出るのもおっくうになり、体を動かす機会が減ってくる。そうなると気になるのがメンタル面の問題だ。

「健全な精神は健全な身体に宿る」ということわざもあるように、心と体は密接に結びついている。気分転換やリフレッシュにはスポーツが良いといわれるし、くよくよ悩んでいたことが、運動で汗を流すと取るに足らないことに思えるなんてことも実際よくある話だ。

でも、なぜ体を動かすと心が元気になるのだろう? 日本メンタルヘルス協会の衛藤信之代表に聞いてみた。

「運動は心を健康にする行動療法の1つとして、非常に効果的です。人間の脳には通称・動物脳(大脳辺縁系)という、情動や意欲などの原始的な感情を司る部位があります。この動物脳は自律神経を制御する脳幹に直結しているため、ここにストレスがかかると自律神経が乱れ、鬱(うつ)や不眠などの症状を引き起こすことがあります。運動という人間にとっての原始的な行動は、動物脳を解放し、ストレスを発散させるためにうってつけの手段なんですよ」

衛藤代表によれば、行動療法とはつまり、行動を先行させることで心に良い影響を与える治療法のことであるという。

「たとえば元気がない時に、大きな声を出すだけで心が晴れやかになったり、女性の場合なら、化粧をしたり着物を着たりしただけで気持ちの面で女性性が引き上げられたりします。同様に、無理やりにでも体を動かし始めると、動物脳が活性化してストレスを発散してくれるんです。これを『情動発散』と呼びます」

しかし、もともとスポーツをする習慣のない人にとっては、疲労や倦怠感のなかで運動を始めるのはなかなかハードルが高い。落ち込んでいる時であれば尚更だろう。

「たしかに車でも、動き始めが一番ガソリンを消費するといいますよね。でも、いざ動かしてしまえば、あとは少ない負荷で走り続けることができる。最初はおっくうでしょうが、軽い気持ちで“近所を1周だけ走ってみよう”と動き出しさえすれば、案外楽に2周、3周と走れてしまうものです。まずは頑張って一歩踏み出してみてください」

これを読んで、そんな余裕はないと思ってしまう人ほど、体を動かす必要があるのかもしれない。適度な運動を取り入れながら、心身のメンテナンスに努めてほしい。
(友清 哲)

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