身体にまつわる都市伝説 第230回

拳やスネは叩いて鍛えられるのか?

2014.12.24 WED

身体にまつわる都市伝説


骨は叩いて強くなるものではない。真に丈夫な骨を手に入れるためには、十分なカルシウム摂取を心がけ、骨密度の高い組織をつくりあげるべきなのだ (写真提供/PIXTA)
空手家が拳を壁に打ちつけて鍛えたり、キックボクサーがすねに瓶を打ちつけたり…。映画などのフィクションではよく目にするシーンだが、人間の拳や骨というのは、こうして刀鍛冶のように叩いて鍛えることが可能なのだろうか? 用賀ヒルサイドクリニックの鈴木稚子先生に聞いてみた。

「骨の丈夫さというのは硬さではなく、十分にカルシウムを含んだ骨密度の高い骨かどうかで決まります。つまり表面ではなく内部の組成の問題で、カルシウムの摂取量が不足していると、骨の中のカルシウムが血液中にどんどん流れ出して、結果的に骨密度の低いスカスカの骨になってしまいます。これが、打ちつけることで硬くなったり、骨密度が上がったりすることはありません。骨を丈夫にするためには、乳製品などカルシウムを吸収しやすいものを積極的に摂取し、あわせてカルシウムの吸収を助けるビタミンDの摂取を心掛けることが大切です」

すると…空手などの伝統的な鍛錬法は、科学的根拠のない無駄な作業だったということ?

「打ちつけるとその部位は、皮膚の下にある真皮や血管、神経といった組織が破壊されます。それらは時間とともに再び回復しますが、何度も繰り返すうちに、不完全な状態で再生してしまい、感覚が鈍くなることがあるんです」

つまり、痛みを感じにくくなったことで、人はその部位が“強くなった”と錯覚してしまうのだと鈴木先生は解説する。

「ただ、格闘家の方々にとってそれがまったく無意味なことかというと、そうではないと思いますよ。痛みを感じにくくなれば、それだけ思いきり打てるようになるでしょうし、精神面でのメリットは大きいのでは?」

ともあれ、格闘家ならずとも骨は丈夫であるに越したことはない。時にはサプリメントなど補助食品の助けを借りつつ、予期せぬケガの予防に努めよう。
(友清 哲)

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