日本人が求めている願いが見えてくる!

「人気の名前」百年史の読み解き方

2015.01.06 TUE


平成に入ってから安定して人気なのは「優太」「優介」「優香」「美優」など。他人をいたわり、助けようとする優しさが足りないと考える裏返しか
明治安田生命が発表したランキングによると、2014年に生まれた男の子の名前で1位だったのは「蓮」、女の子は「陽菜」「凛」。同社は1912(大正1)年のものからランキングを発表しており、初年度は男の子が「正一」、女の子は「千代」が一番人気だった。時代とともに移り変わる名付けの流行を、オールアバウト「名付け」ガイド・命名研究家の牧野恭仁雄さんに解説してもらった。

「名前の流行には、大きく2つの要因があります。まずは、元号の改元のような社会的事件や有名人の影響。もうひとつは、その時代に欠乏しているものです。たとえば大正から昭和初期は『久子』『千代子』という女子の名前が大流行しています。いずれも“ながく続く”という意味の文字で、幼児の死亡率が高かったため、子どもの健康と成長を願って付けられました。同じ頃、男子に『金作』『金吾』といった名前が流行ったのも、経済的に困窮している人が多かったから。明治の終わり頃から『博』や『弘』など『ヒロシ』と読む名の人気が出たのは、海外を意識しながらも自由に出かけられない時代だったからでしょう。昭和50年代に海外旅行がブームとなって以降は、急速に廃れていきました」

戦時中に増えた「勝」「勇」「豊」「幸子」も同様。戦争が終わり、飽食&高度経済成長の時代を迎えるとともに、急速に少なくなっていったという。

「1970年代からは流行が大きく変化し、音やイメージから考えた名前が主流になりました。この時代の親は、子どもの頃にテレビが普及し、読書よりもテレビと親しんできた世代。文字からではなく、映像に根付いた名付けの時代が始まったのです。名前に使われる漢字も増え続け、1990~2000年代には『空』『海』『桜』などの自然に関する字が人気に。開発が進む街の中で、現代人がいかに自然を求めているかがうかがえます。キラキラネームの流行も、昔と比べて教育が行き渡り、みんなが判で押したように進学・就職をするという人生の中で、個性を求める表れだといえるでしょう」

名前の流行から、社会情勢が手に取るようにわかる…! では、たとえば30年後にはどんな名前が人気になるだろうか?

「これからの日本で何が欠乏するかを考えれば、ある程度の予測は可能です。自然への憧れや人間関係の希薄さは今後も満たされにくいため、自然に関する漢字や『心』『結』といった字は人気が続くでしょう。また、核家族や単身世帯が増え続ければ、親子の絆が切れる不安の裏返しとして、親から文字を取った名付けも減らないと思います。一方、キラキラネームはおそらく減少傾向になるのではないかと考えています。これからは画一的な生き方をしていても先が見えないため、それぞれに異なる努力や苦労を強いられる時代が訪れるはず。否応なく『個性』の発揮を迫られる人生を経て子どもを産む世代は、珍しい名前で個性を表現しようとはしないでしょう」

なんだか、付けた名前から自分の精神状態まで見透かされてしまいそう…。さて、あなたはどんな名前を付ける?
(菅原さくら/アバンギャルド)

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