身体にまつわる都市伝説 第233回

「睡眠は90分単位がいい」は嘘?

2015.01.28 WED

身体にまつわる都市伝説


90分という睡眠サイクルは、あくまでレム/ノンレム睡眠が一巡する時間の平均値。就寝時間の参考にするのはデメリットの方が大きいかも (写真提供/PIXTA)
社会人はどうしても睡眠不足に陥りがちだ。残業を終えて帰宅して、ちょっとテレビを見たりスマホをいじったりしているうちに、あっという間に真夜中。短時間でも、せめて質のいい睡眠をとりたいものだ。

ところで、睡眠にはレム睡眠とノンレム睡眠があり、そのサイクルは90分間隔だとよくいわれる。そのため、7時間(90分×4+60分)眠って起きるよりも6時間(90分×4)で起きた方が、スッキリと目覚められるという。このサイクルを意識して、起床時刻から逆算して寝床に入る時間を決める人もいるのではないだろうか。

でも、これって本当に有効なのか? 薬に頼らない睡眠相談を行う作業療法士の菅原洋平先生に聞いてみた。

「90分というのは、単なる平均値にすぎません。これにとらわれて眠いのに就寝を遅らせるのは、ナンセンスです。睡眠のリズムには個人差があり、80分台の人もいれば100分台の人もいる。この差は遺伝子の違いによって生じるという研究もあります。また、たとえば日中に多くの人と会うなど新規情報のインプットが多い日は、記憶の処理に時間がかかり、普段よりサイクルが長くなることもあるとされています」

つまり、睡眠サイクルを意識して就寝時間を設定しようとしても、あまり意味はないわけだ。また、眠りが浅いレム睡眠時は目覚めやすいからといっても、睡眠時間を短く切り上げるのは弊害の方が大きいと菅原先生は指摘する。なぜなら睡眠は、入眠してからの時間によってそれぞれ異なる役割があるからだ。

「成長ホルモンが分泌されて、体の成長や回復が促される深い眠りというのは、入眠から最初の1~2サイクルでしか得られません。さらに眠り続けることでその後、脳は余分な情報を消去したり、必要な情報をリプレイしたりして記憶を定着させているのです」

そのため、短時間しか眠らない日が続くと、体の回復や脳の情報処理が不十分になり、心身にも大きな負担がかかる。90分サイクルを過剰に気にせず、夜は眠気を感じたらすみやかに眠る方が、睡眠の力の恩恵を得られるのだ。
(友清 哲)

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