新社会人のモヤモヤを著名人が解決!

瀧本哲史「幸せになる働き方」

2015.03.02 MON


たきもとてつふみ 東京大学法学部卒。同大学院法学政治学研究科助手から、マッキンゼー・アンド・カンパニーに180度方向転換。現在、“エンジェル投資家”ほか京都大学で客員准教授。『武器としての決断思考』のほか『武器としての交渉思考』(ともに星海社新書・861円/903円)を読めば、ロジカルに人生を切り開く一助になること間違いなし! 撮影:堀 清英
紛れもないビジネスエリートだ。大手コンサル会社マッキンゼーを経て、“エンジェル投資家”として活動しながら、京都大学でベンチャー企業論について教鞭をとる。――だから、かもしれない。新社会人の未来に険しい道のりを予言するのだ。

「高成長だったときは、がんばればいつかは報われる時代だったんですよね。でも今はそういう時代ではありません。抜きんでるために差別化を図っていける会社と、いつまでも同じところで足踏みしている会社がある。それが現実。前者に入っていればラッキーだけど…」

後者ならばアンラッキー。でも残念なことに、会社員の8割は後者に属しているのだとか。気づいているかどうかは別として。

「そんな会社の業績は当然厳しくなるでしょう。そこですべきは“人と違うこと”に取り組んで差別化を図ること。最悪なのが、周りと同じように仕事をしてしまうパターン。コモディティ化(均質化)した会社でコモディティ化した人材になることです。一社員としてがんばるだけじゃなく、一歩引いた視点から市場や業界全体を分析することが大切なんです」

そのために一番簡単なのは、たとえばお客さんだったらどうされるとうれしいか、競合だったらどうされるのが一番痛いかを考えることだという。すなわち、第三者的な視点を養うということだ。自分の市場価値だって、同じように捉える必要がある。

「外の世界を知ることです。たとえば学校の同級生は、在学中より社会に出てからのつきあいの方が大事で、彼らをベンチマークに比較すれば自分の置かれた状況、会社が見えてくる。しばらく勤めたら第2新卒のマーケットも視野に入るので、転職情報を調べてみるだけでも視野は広がります」

瀧本さん自身もそうしてきた。東大法学部で研究者の道を歩んでいたが、“この先、研究職の価値は下がる”と予見して、マッキンゼーに転職した。ハイスペック過ぎて参考にならない…と思うなかれ。重要なのは、自身の市場価値を冷徹に分析し、“変化”を選択したこと。研究者からビジネスの世界に飛び込むのは怖い…と変化を先送りにするなど言語道断だったのだ。

「雰囲気や勢いで判断すると失敗します。大事なのは『根拠をもとに意識的に決める』。それを習慣づけることが大切です。選択した結果なら、仮に失敗しても次の意思決定に役立てられるでしょ」

具体的な“武器”を身につけたいなら、著書『武器としての決断思考』を読むべし。さて問題は、この4月からだ。働き方ひとつで、早くも道が分かれそうである。

「入社したてのときは状況がわからないので、先輩や上司の言うことは正しいという前提でとりあえずがんばっておくことです。そこでいろんな疑問を感じると思いますが、その“視点”を捨てないでメモしておく。1年後くらいに見返してみれば、その疑問が無知だっただけなのか本質を突いていたのかがわかるでしょう。がんばる自分と俯瞰する自分を分けておくこと。一番ダメなのは、疑問を持っても何もせず、先輩にどやされて言われるがままやるパターン」

すなわち、早々とコモディティ化する可能性をはらんでいるということだ。そして瀧本さん、本音を言うと「誰もが起業、あるいはベンチャーに参加するような世の中になればいい」と考える。なぜなら資本主義とは、常に新しい人が新しいことをして、古いモデルと入れ替わっていくゲームだから。

「その点で、これからの日本はチャンスがごろごろ転がっています。景気が停滞しているといってもマーケットは大きいし、一方でダメな会社が8割くらいあるから、正直競合はしょぼい。だから僕は、今の若者を不幸だとはまったく思いませんよ」
(吉州正行)

※この記事は2013年2月に取材・掲載した記事です

取材協力・関連リンク

関連キーワード

注目記事ピックアップ

 

編集部ピックアップPR

ブレイクフォト