飲めば鍛えられる、は大間違い?

遺伝子で決まる「酒飲み」のタイプ

2015.03.27 FRI


遺伝子で体質を知れば、お酒の失敗も無くなる!? いずれにせよ、飲み過ぎには注意です 画像提供:ロジャー/PIXTA
お花見や歓迎会など、お酒の席が増えるこの時期。が、ついつい飲みすぎて悪酔いや二日酔いでつらい思いを繰り返す、という方もいるのでは?

お酒との付き合い方は、個人の体質によって大きく異なるもの。なんでも簡単な検査で遺伝子を調べると自分に合った飲酒の仕方がわかるそう。そこで、国立病院機構久里浜医療センター副院長の松下幸生先生に詳しい話を聞きました。

「お酒との付き合い方を考えるうえでポイントになるのが、アルコールの分解にかかわる2つの酵素。アルコールは肝臓で分解されますが、まず1B型アルコール脱水素酵素(ADH1B)がアルコールをアセトアルデヒドに変えます。しかし、これはまだ有毒な物質。頭痛や吐き気の原因となります。次に2型アルデヒド脱水素酵素(ALDH2)がアセトアルデヒドを分解、無害な酢酸に変え、その後排泄されます」

…というのは誰しも共通する代謝機能。だが、人によってこの2つの酵素の働き具合が異なるため、悪酔いや二日酔いのなりやすさも異なるのだとか。

「同じ酵素でも、遺伝子が異なると働き具合が変わるんです。まずADH1Bはゆっくり働く人(日本人の約7%)と速く働く人(同9割以上)がいます。また、ALDH2は強く働く人(同約50%)、弱い人(同約41%)、全く働かない人(同約9%)がいて、働きが弱い人ほど、顔が赤くなります。検査機関などで血液や唾液を使った検査を受ければ、自分の酵素の遺伝子タイプは簡単にわかりますよ」

特に注意したいタイプと、それぞれがお酒を飲むときの注意点を教えていただきました。

▼ADH1Bがゆっくり、ALDH2が強く働くタイプ
赤くならずアルコールがアセトアルデヒドに変わるまで時間がかかるため、結果的に多くの量を飲めるが、代謝がゆっくりのため、それを超えるペースで飲むとお酒が残りやすく、翌朝酒臭い。アルコール依存症になりやすく、飲酒が原因で食道がんや咽頭がんになるリスクが高い。

▼ADH1Bがゆっくり、ALDH2が弱く働くタイプ
本来は赤くなるはずのタイプだが、アルコールの代謝がゆっくりなので赤くならず、酒に強い。アルコール依存症や食道がんのリスクが高い。

▼ADH1Bが速く、ALDH2が弱く働くタイプ
赤くなりやすいが、飲み続けるとある程度お酒に強くなる。しかし、習慣的に飲酒すると食道がんのリスクが高くなる。

▼ADH1Bが速く、ALDH2が強く働くタイプ
日本人に最も多いタイプ。酒には強くてある程度の量を飲むことはできるが、強いがゆえに飲みすぎてしまいがちで依存症のリスクも高い。

▼ADH1Bがゆっくりまたは速く、ALDH2が全く働かないタイプ
アルコールが飲めない、いわゆる“下戸”の人。急性アルコール中毒に特に注意すべきタイプ。

ADHのほかにもアルコールを分解する酵素があり、これは飲酒を繰り返すと働きやすくなるため、“鍛えられる”感覚が生まれるそうですが、メインで働く酵素の働きは変わらないので無理は禁物とのこと。

今後もお酒と上手に付き合いたければ、経験で自分のタイプの見当をつけるだけでなく、一度検査をしておくのがいいのかもしれませんね。

(長倉克枝)

※この記事は2013年3月に取材・掲載した記事です

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