せめて読めるように書かないと

「字下手」トラウマエピソード

2015.03.28 SAT


欧文の筆記体がヘタという人も多い。海外では早い時期から「タイプライター」が普及したが、それはヘタ字の人が多かったからとの説も!?
キレイな字を書きたい!…という人が増えている。美文字の“書家”中塚翠涛さんの『30日できれいな字が書けるペン字練習帳』シリーズは200万部以上のベストセラーとなり、書きやすいと評判の三菱鉛筆のボールペンやパイロットの万年筆も大ヒット。東急ハンズなどでも筆記具の売り上げが伸びている。

とはいえ、美文字がブームになるというのは、それだけ字が下手と自覚している人が多いということ。実際、取材してみると、字が下手なせいで損をしたり、いろいろと“ヘタ字”で困った経験のある人がたくさんいるのだ。

「僕の下の名前は『やすひろ』で、友人や会社の同僚から『ヤス』と呼ばれているんですが、字が汚いので頻繁に『ヤ』と『カ』を間違われます。高校時代なんて、先生に間違って『カス』と読み上げられたこともありました。校内放送でも『カス』って読まれて全校生徒に笑われたし、隣の席の『シ』と『ツ』の書き分けができない女子に、“カス君って、字汚いよね。なんか私、自信持っちゃった”と言われたことは、いまでも僕の中でトラウマになっています」

そう話すのは建築会社で働く28歳の男性。彼のように、“ヘタ字”のせいで誤読されてしまったという人はけっこう多い。

「画数の多い漢字が苦手で、会社で上司に日報を提出したとき、一人称を『僕』と書いたのに『俺』と誤読され、“上司に対して『俺』はないだろ!”と怒られました。以来『私』と書くようになったんですが、それも読めないと言われたので『わたし』と書いています」(男性・広告・26歳)

さらに、IT企業勤務の32歳の男性も「僕は字が汚いうえに漢字の『へん』と『つくり』をバランスよく書くのが超下手。よく『江』を『ミエ』、『引』を『31』とかに間違われます。いわば2ちゃんねるの『ネ申』をリアルでやってしまう感じ。試験の記述式でも誤読され、大学入試は全滅に近い結果でした」と嘆く。こうしたトホホなエピソードがどんどん出てくるのだ。

もちろん、“ヘタ字”で損してしまうのは女性だって同じ。広告会社に勤務する女性(30歳)の場合、あまりに字が汚いせいで就職にも困ったという。

「帰国子女なので、“ヘタ字”以前に日本語を書くこと自体が苦手なんです。小学校低学年の男の子みたいに汚くて、就職のときに履歴書を書いたらバカと思われたみたいで落ちまくり。友人に代筆してもらってなんとか就職できたぐらいです。でも、入社後、私の字をみた上司に“履歴書と全然違う! おかしいじゃないか! ”と言われたときは困りました。あっさり白状しましたけど(笑)」

なかには字が下手過ぎてこんなひどい扱いを受けた人もいるのだ。

「健康保険の事務所に“保険料を多く払い過ぎ”と言われ、還付請求書の提出を求められたんです。例文通りに書いて郵送したんですが、保険課から戻ってきたのは書き直しを命じる旨の用紙と、理由欄の“読めません”の文字。しかたなく書き直そうとしたら、自分が書くべき欄がなぜか全部記載済みという怪現象が発生。どうやら“オマエの字は何度書き直してもどうせ読めないから、こっちで書いといてやったぞ”と担当者が判断したようです(笑)。結局、ハンコだけ押してポストに投函するという地味な屈辱を味わうハメになりました」

続々と出てくる“ヘタ字”のトラウマエピソード。美文字が人気になるわけだ。“ヘタ字”の人は、ほかの人の倍くらい生きていくのに苦労している…のか!?
 
(真屋キヨシ/清談社)

※この記事は2014年3月に取材・掲載した記事です

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