身体にまつわる都市伝説 第238回

力を発揮するには「緊張」が必要!

2015.03.02 MON

身体にまつわる都市伝説


人は副交感神経が優位になっているときには、全力を発揮しにくい。笑っていると力を入れにくくなるのは、この現象が一因となっている (写真提供/Syda Productions / Imasia)
先日、あるホームパーティーで談笑中、ワインのコルクを抜こうとしたものの、笑いすぎて手に力が入らずえらく難儀したことがあった。こういう力仕事は、男として一発で決めたいところだったのだが…。

それにしても、考えてみれば不思議である。なぜ人は、笑うと力が入らなくなるのだろう? 運動生理学を研究する日本体育大学の岡本孝信教授に聞いてみた。

「人が持てる力を最大限に発揮するためには、適度な緊張が必要です。これは自律神経の働きが大きくかかわっていて、緊張や興奮を司る『交感神経』が優位にある状態の方が、人は筋力などのパフォーマンスを発揮しやすいことが科学的に証明されています。逆に、リラックス状態で『副交感神経』が優位にあるときは、発揮できる力も目減りしてしまうのです」

たしかに、試合前のアスリートの表情を見ていると、緊張感をにじませた真剣な表情をしている。逆に、笑いという感情は副交感神経を作動させ、パフォーマンスを抑制してしまうのだと岡本先生は解説する。

「その意味で、アスリートが試合前に緊張するのは決して悪いことではなく、むしろいい記録を残すために必要な精神状態といえます。ハンマー投げの室伏広治選手が、声をあげながら投じる姿は有名ですが、これは緊張感を一気に高め、力を発揮することに一役買っているわけです。ただし、あまりに緊張しすぎた状態では、やはり人はベストの力を発揮することができませんから、理想はあくまで“適度な緊張”状態であること。試合前に周囲がリラックスを促すことは、過度の緊張をほぐすためには有効です」

アスリートのなかには、入場時にあえて笑顔を見せる選手もいるが、これは笑うと力が抜ける作用を効果的に使い、コンディションの微調整を行っているわけだ。
(友清 哲)

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