“日本一地熱がアツい”九州で地熱を学ぶ公開イベントも開催

世界3位!日本の地熱資源の将来性

2015.03.27 FRI


九州にゆかりのあるゲストが地熱について学ぶ『熱烈!地熱学園』。地熱を利用した地熱グルメなども登場し、楽しく学べる番組構成となっている
日本は天然資源に乏しい「資源小国」――学生時代に僕らはそう習ってきた。実際、石油や天然ガスなど、生活に欠かせないエネルギー源の多くを海外からの輸入に頼っている。

しかし、じつは日本にも世界トップクラスの資源量を誇る天然エネルギーが眠っていることをご存じだろうか? それが「地熱エネルギー」だ。地中に蓄積する1000℃余りのマグマ溜まりの熱を利用した「地熱発電」によって得られるエネルギーで、CO2を排出しないクリーンな再生可能エネルギーのひとつとして注目されている。

去る3月25日、そんな地熱の仕組みやメリット、課題などを広く啓蒙するTV番組『熱烈!地熱学園』(FBS福岡放送)の公開収録が、福岡天神の「アクロス福岡」で行われた。じつは九州は、国内トップの地熱発電量を誇る“地熱王国”。地熱エネルギーの本場だけに関心も高く、公開収録には約200人が観覧に訪れた。

特別講師として登壇した日本地熱学会会長・糸井龍一氏は、日本が誇る地熱エネルギーのポテンシャルについて次のように語った。

「日本の地熱資源量はアメリカ、インドネシアに次いで世界3位。そのうち利用可能な発電量は2300万kW以上で、これは原発20基分に相当します。特に九州では全国に先駆けて地熱発電が行われていて、大分県には国内最大の地熱発電所もあります」

大分には敷地内に地熱発電所を設けたホテルもあり、館内の電力の4割を地熱エネルギーで賄っているという。冬場は地熱エネルギーを使った200万球のイルミネーションが、宿泊者の目を楽しませている。また、周囲では地熱発電後の温水を使ったハウス栽培も盛んで、ある農家では化石燃料を使った場合に比べて年間200万~300万円のコストダウンになるという。

「九州では昔から、生活の中で地熱が利用されてきました。たとえば鹿児島県の指宿には『スメ』と呼ばれる地熱を利用した蒸し釜があります。天然の蒸気を利用して食材を調理するもので、現在でも日常の煮炊きに使われています。また、長崎県の雲仙市では、温水を使った塩も製造されています」(同)

太陽光や風力などと違い、天候に左右されず24時間安定的にエネルギーを供給できる点も地熱発電のメリットだという。資源量が豊富でエネルギー効率もよく、ほぼ日本全域で導入可能性があるなど汎用性も高い。まさに理想的なエネルギーに思えるが、じつは現段階ではその豊富な資源が十分に活用されているとはいえない。現在、日本にある地熱発電所は東北と九州などにわずか17カ所。地熱発電量も約50万kW程度で、世界8位にとどまっている。

その背景にある課題について、石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)の中島英史氏は「ひとつは発電を開始するまでのコスト。地熱発電はボーリング調査に初期費用がかかり、開所コストが他のエネルギーよりも高い点が挙げられます。また、日本の地熱資源の多くは国立公園の中に眠っているため、発電所建設が制限されている点なども普及が遅れている要因となっています」と語る。

ただ、近年は国が自然エネルギーの活用を積極的に推進していることもあり、地熱発電の建設にあたっての補助金制度も拡充されている。また、国立公園内での発電所建設も条件次第で認められるケースがあるようだ。

このように地熱発電をとりまく課題は徐々に改善されつつあり、2020年頃までには少しずつ国内エネルギーのシェアを拡大していく見込みだという。

なお、今回の収録は1時限目から4時限目までの授業形式で行われ、お笑いコンビのパンクブーブーなど九州にゆかりのあるタレントが参加。終始笑いを交えながら地熱のイロハを学ぶ楽しい授業が展開された。その内容は5月2日に九州地区を中心に放送される(※)。今後の課題も含め、分かりやすく地熱を学べる貴重な機会。視聴可能な方はぜひご覧あれ。

※『熱烈!地熱学園』
2015年5月2日 10:30~11:25  FBS福岡放送、くまもと県民テレビ、長崎国際テレビ、テレビ宮崎で放送予定(テレビ大分は同日15:30~16:25、鹿児島読売テレビは5月3日15:00~15:55)。
(榎並紀行/やじろべえ)

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