身体にまつわる都市伝説 第241回

年をとると“独り言”が増える理由

2015.04.01 WED

身体にまつわる都市伝説


独り言とは、内言語化できなくなったタスクが外言語として漏れだしてしまう、キャパオーバーによる現象だった (写真提供/wavebreakmedia / Imasia)
「あ、しまった」とか「まあいいや」とか、ふとしたときに独り言が漏れてしまうことは、誰しもあるだろう。けれど、明らかに昔と比べると、こうした独り言が増えているように思うのは気のせいだろうか。

独り言というのは、年齢とともに増えるイメージがある。独り言が漏れてしまう原因はいったい何だろう? 作業療法士の菅原洋平先生に聞いてみた。

「独り言には、たいていはこれからやるべきこと、あるいはやったことを整理するような内容が多いと思いますが、これはワーキングメモリーと呼ばれる記憶の容量が影響しています。人は脳のなかで一時的に記憶をストックしながら目の前の作業をこなし、必要になったら次のタスクを思い出して手を付ける、ということを繰り返しています。成人であれば3~4つのタスクがワーキングメモリーの限界といわれ、これを超えると脳内での処理が追いつかず、外言語化されてしまうことがあるんです」

平常時は内言語、つまり脳のなかで処理されているものが、容量オーバーによって外言語化され、「あれもやらなくちゃ」「これ、どうしよう」などと口から漏れ出てしまう。これが、独り言のメカニズムだと菅原先生は解説する。

「年をとると独り言が増える現象は、加齢による大脳皮質の衰えが原因と考えられます。人間の脳というのは、自覚せずともやるべき作業を口に出すことで、その行動をシミュレーションし、スムーズに実行できるようにしています。加齢によってワーキングメモリーの容量が減少すると、無意識に外言語化され、独り言として口に出ることが増えるんです」

では、加齢による独り言の増加は避けられない?

「日頃からワーキングメモリーを十分に活用することで、ある程度鍛えることは可能ですよ。たとえば料理をする場合、最近はスマホでレシピを見ながら機械的に作業する人も多いと思いますが、これでは衰えてしまいます。なるべく自分で考えながら作業し、脳に記憶をストックして取り出すという作業をさせることが大切です。また、睡眠は記憶を定着させ、情報を整理して空き容量をつくる役割がありますから、睡眠不足の解消も独り言対策として効果的でしょう」

(友清 哲)

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