宇宙ステーションは眠りやすい?

宇宙飛行士に学ぶ快眠のコツ

2015.04.04 SAT


パソコンのディスプレイの光には、体を目覚めさせる効果あり。それを上手に利用すれば… 画像提供:センメー / PIXTA
春眠暁を覚えずの言葉があるように、春先は惰眠の誘惑から逃れにくい季節。週末はのんびり昼頃まで寝てしまい、夜になっても目が冴えて眠れない…なんて睡眠リズムを崩している人も多いのでは? やはり週末といえども、寝過ぎは禁物ですね。

…なんて思っていたら、ちょっと意外な情報をキャッチ。それは国際宇宙ステーション(ISS)で働く宇宙飛行士の睡眠事情。昼夜の区別が曖昧な環境では、さぞかし睡眠に苦労しているかと思いきや、実は宇宙滞在中の方が快眠できる人が多いそう。もしかしてISSには睡眠リズムを維持する特別なテクノロジーでもあるのだろうか? 宇宙航空研究開発機構宇宙医学生物学研究室長の大島博さんに聞いてみました。

「いや、そんな特別なことはしていません。ISSは様々な国籍の6人の飛行士が狭い空間で24時間生活をともにするので、精神的なストレスが生じることもあります。無重力なので寝袋の中で眠りますが、力を入れないと両腕が浮かびます。空調などの室内騒音もあり、睡眠環境という点では過酷です」

では、宇宙滞在中の方が快眠できる人が多い、というのは誤情報にすぎない?

「それがそうでもないんです。2009年から昨年まで、ISSに6カ月間滞在している宇宙飛行士の心拍を計測して、自律神経の働きを調べました。心拍数は自律神経の働きで変化します。睡眠時リラックスすると心拍はゆっくりになり、よく眠れます。その結果、ISS滞在150日目では、地上よりも自律神経の働きが安定していました。つまり地上よりもよく眠れているわけです。不思議に思うかもしれませんが、これはISSでの生活環境が影響していると思われます。ISSでは、食事、仕事、睡眠の時間が決まっていてとても規則的。毎日運動もしています。こうした規則的な生活リズムが体内リズムや睡眠に良い影響を与えているのでしょう」

なるほど。どんなに過酷な環境でも、規則正しい生活を送って睡眠リズムの維持に努めれば、快眠できるというわけですね。でも、そのリズムを維持するのがなかなか難しいんですが…。もっと簡単な方法はありませんか?

「ほかに、体内リズムの調節に効果的なのが光。朝起きたら光を浴び、寝る前には照度を落とした環境にいることが重要です。起床時に朝日を浴びるのがよいのですが、ISSでは難しいので、代わりにパソコンのディスプレイ脇に青色ライトを設置して額に当てながら作業する宇宙飛行士もいます。パソコンのディスプレイから出る青い光は、体を目覚めさせるのに効果的ですが、夜寝る前は見ない方がよいでしょう」

ネットチェックが毎日の習慣。そろそろ寝なきゃ、と思っていながらあれこれ見ているうちについつい夜ふかし…なんてこと、よくありがちですよね。その習慣を寝る前から、起きてからに変えるといろいろメリットがありそう。くれぐれも「春眠」をむさぼりすぎないよう、ご注意を!

(長倉克枝)

※この記事は2013年4月に取材・掲載した記事です

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