あなたのそばにカビがいる!/第2回

やさしい気持ちがカビを減らす?

2015.05.14 THU


写真は八重桜…ではなく「カワキコウジカビ」。拡大してみるとカビの姿は意外に“キレイ”だったりするからわからない 衛生微生物研究センター
カビが生えたパンや餅を食べるのは良くない、とは聞きますが、ついもったいないからと削って食べてしまうことはありませんか? 実はこれ、衛生的には完全にNGだそうです。

「カビたものを食べてはいけません。表面のカビを削っても菌糸は中まで入り込んでいますし、カビの毒素は加熱しても分解されませんから。『前に食べたけれど、なんともなかった』という人もいると思いますが、別に恵まれた体質であるわけでなく単に運が良かったか、あるいはまだ問題が見つかっていないだけでしょうね」とは、カビの分析試験などを行う衛生微生物研究センター所長の李憲俊さん。

運が良かった、とはどういうことでしょうか?

「例えば同じ青カビでも、ブルーチーズに使われるような害のないものから、発がん性のカビ毒を分泌するものまで細かくみれば種類は様々。不注意から生えた青カビが有毒なものか無毒なものか、肉眼では判断できません。食べてもなにもなかったのはたまたま無毒のカビだったか、症状が出ていないだけ。最悪の場合、ガンの発生率を知らずに上げている可能性すらあります」

ついつい、もったいないと思いがちですが、ここは神経質になった方がいいかもしれませんね。ちなみに、我々が普段の生活で見落としがちなカビの多い箇所ってどこですか?

「カビはある程度集まらないと目にみえないため気づきにくいのですが、実はお風呂の天井は薄く広くカビが繁殖していることが多いですね。そうなると、1日数万個の胞子がシャワーのように降り注ぐことになります。顔の位置よりも下にあるカビの胞子は、舞い上がらない限りなかなか吸い込んだりはしませんが、これは上から落ちてくるため、多くのカビを吸い込む原因となります」

となればお風呂のカビは徹底的にやっつけなきゃいけませんね。どうすればカビを根絶できるのでしょうか?

「根絶することは不可能ですよ。空気中には普段から1立方メートルあたり数百個のカビの胞子が存在しているぐらいで、我々はカビと共存していかなくてはならないんです。ですのでカビが目立ってきてから対処するよりも、繁殖を予防することが大事になってきます」

具体的にはなにをすればよいのでしょうか?

「とにかく水気を取ること。換気扇を回すのはもちろん、水滴を拭き取るひと手間が大事です。それも普段は、一度カビたところ、最後まで水滴が残っているところを乾拭きすればいい。繁殖するまで放っておいてから目の敵にして洗剤でいじめる、というやり方は実は非効率的なんですよ。不幸にも風呂場で繁殖することになったカビを憎むのではなく、増やさないように先回りしてケアしてあげる…カビ対策はそんな気持ちでいると意外に上手くいくんです」

目の敵にすることばかり考えていましたが、これはちょっと意外。上手いことやっていけるならそれに越したことはないですもんね。今晩のお風呂から試してみます。

(宇都宮 雅之)

※この記事は2012年5月に取材・掲載した記事です

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