米専門家が発表して波紋。研究者に真偽を取材してみた

「ヒゲに便器並みの細菌」は本当?

2015.06.13 SAT


「常在菌は、1平方センチメートルあたり、1万~100万個はいます。ヒゲを蓄えている人は、単純にそれ以上の菌はいると考えられますね」(野嶽准教授) 写真提供:ファイン / PIXTA(ピクスタ)
ファッションとして、すっかり定着した感のある顎ヒゲや口ヒゲ。業界によっては禁止している企業もあるが、20~30代のビジネスパーソンでも見かける機会は少なくない。

しかし! その「おしゃれヒゲ」について、米臨床検査サービス大手の「クエスト・ダイアグノスティクス」で微生物学を専門とするジョン・ゴロビック氏が衝撃的な調査結果を発表した。ヒゲには想像以上に細菌が付着していて、なかにはトイレの便器ほどの量の細菌が付いていた人もいたのだとか…!

ヒゲは本当にそんなに不衛生なのか? 皮膚の常在菌について研究している長崎国際大学の野嶽勇一准教授にその真相を聞いてみた。

「ヒゲにトイレの便器と同じくらいの数の細菌がいるかどうかは、測定方法や“どの菌を数えているか”によっても異なるので、一概に『汚い!』とは断言できません。もともと、人の肌には常在菌(皮膚上の微生物)が存在します。この常在菌だけであれば、肌に悪影響はありません。でも、ほかの要素が組み合わさって皮膚に常在菌以外の微生物が増加すると、衛生上はよくないですね」

微生物が増える要因は「えさ」「水分」「温度」など。ヒゲは飲食物が付着するなど、微生物の繁殖条件が満たされやすい。さらに、ヒゲを生やしている人はそれを手で触る機会が多い傾向にあり、常在菌以外の菌がヒゲに付着・増殖する可能性は大いにあるという。…ということは、スキンシップをした時に顔の菌が相手に移ることも?

「『キスをすると虫歯菌が移る』といわれるように、菌の移動が起こる可能性はあります。けれど、それが相手の肌荒れになるほどの影響を及ぼすことは少ないでしょう」

なるほど。ところで、ヒゲを剃り忘れた無精ヒゲであっても、おしゃれヒゲ同様、微生物の温床になりやすいのだろうか?

「無精ひげは1cmもないことが多いので、そこまで気にする必要はありません。ただ、徹夜明けのように体を清潔に保てていない時は、分泌された皮脂をえさに菌が繁殖していることはあるでしょう。髪と同じくヒゲも皮膚から伸びている毛。起床時や就寝時の洗顔と一緒に、ヒゲも洗って清潔感を保つことが大切です。ただ、洗いすぎると必要な皮脂も流れてしまい、それを補おうと逆に皮脂の分泌が過剰になるので、手入れはほどほどが一番でしょうね」

野嶽さんいわく、ヒゲ以外にも腋の下や股間など、汗をかきやすく体毛のある箇所は微生物が繁殖しやすい環境とのこと。

いずれにせよ、おしゃれヒゲ=不潔というわけではなさそうだが、これから気温が上がり、湿度も高くなる季節。ビジネスパーソンたるもの、見た目のおしゃれはもちろん、見えないところも清潔に保ちましょう!
(南澤悠佳/ノオト)

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