2040年には最高月額2万6532円になる地域も…

水道料金「値上げ地域」予測1位は

2015.07.17 FRI


東京オリンピック前後に敷設された水道管は、すでに耐久年数を超えている。漏水は確実に起きており、水道管破裂のニュースも増えているとのことだ
「安全と水はタダ」——そんな神話が崩れようとしている。2040年の水道料金をシミュレーションした「人口減少時代の水道料金 全国推計」(※1)によると、全国の約半数にあたる604カ所の水道事業体で30%超の値上げが必要になるという。これをもとに実際の水道料金を試算してみると、もっとも高いところで月額2万6532円(大人2人、子ども1〜2人の世帯で標準的とされる、月間30立方メートルの水道水を使った場合)。現在の3倍近くになる見込みだ。この自治体以外でも、様々な水道事業体で料金の大幅な値上げが予測されている。

とはいえ、これが日本全国で起きるというわけではない。水道事業体は市や町といった自治体ごとに運営されているため、現在でも料金は地域によってまちまち。では、なぜ水道料金の値上げ率が地域によって違うのか? そしてなぜ急激な値上げが起きるのか? 水ジャーナリストの橋本淳司氏に話を聞いた。

「最大の原因は人口減少です。水道料金は給水に必要なコストを給水人口で割ることで算出されています。つまり、基本的には人口密度が低く、過疎化が進んでいるエリアほど、水道料金は高くなるわけです」

そこで「人口減少時代の水道料金 全国推計」をもとに橋本氏が試算した、2040年までに水道料金の値上げ率が高いと予想される水道事業体TOP10を紹介してもらった。

■2040年までの水道料金値上げ率が高いと予測される水道事業体TOP10(※2)

1位 兵庫県播磨高原広域事務組合 1万5671円(現在5250円/198%増)
2位 千葉県市原市 1万778円(現在3672円/194%増)
3位 青森県深浦町 2万6532円(現在9150円/190%増)
4位 山梨県東部地域広域水道企業団 1万623円(現在3735円/184%増)
5位 宮城県女川町 9140円(現在3372円/171%増)
6位 千葉県山武市 1万5482円(現在5880円/163%増)
7位 福岡県筑前町 1万5746円(現在6150円/156%増)
8位 山梨県富士河口湖町 2520円(現在1001円/149%増)
9位 福岡県みやこ町 1万4789円(現在6072円/144%増)
10位 兵庫県佐用町 1万1478円(現在4715円/143%増)

さらに、水道施設の老朽化も水道料金値上げの原因のひとつとなる。日本の土木インフラは高度経済成長期に集中的に整備されたが、その法定耐用年数は40年。12年度末には全国で9.5%の水道管が、そのリミットを超えている。

「これを受けて、14年5月に国土交通省は土木インフラの寿命を延ばすための行動計画を発表しました。比較的に予算に余裕のある自治体では現在、水道管の内部に保護膜を張るなどの処置をして鉄さびの進行をおさえ、耐用年数を20〜30年“延命”しています」

ちなみに、東京では都がまとめて水道を管理しているが、水道人口が多いため、予想される値上げ率は8%にとどまる見込みだ(市部・離島を除く)。

「なお、予測値は水道管理のコストが現状より一定量ずつ増加していくと見積もっていますが(※2)、実際にはもっと値上がりする可能性があります。具体的には集落が点在しているような地域では、水道管の敷設距離が長いため、管理コストが割高になる可能性が高いです」と橋本氏。

2014年には埼玉県の秩父市で、水道料金を35%値上げするとの発表があった。住民の反対によって、値上げ幅は17.5%にとどまったが、将来的にさらなる値上げを迫られる可能性は高い。今後、こうした自治体のさらなる増加が懸念されている…。

(丸田鉄平/H14)

※1=「新日本有限責任監査法人」「水の安全保障戦略機構事務局」の共同研究結果
※2=減価償却費を「前年度実績+建設改良費増加見込額(平成24年度建設改良費×0.5%)÷40年(管路の法廷耐用年数のうち最も長いもの)」として新日本有限責任監査法人がシミュレーションした月額水道料金の予測値をもとに、大人2人、子ども1~2人の世帯で標準的とされる、月間30立方メートルの水道水を使った場合の月額料金を橋本氏が算出した。

取材協力・関連リンク

関連キーワード

注目記事ピックアップ

 

編集部ピックアップPR

ブレイクフォト