成果主義といえば聞こえはいいが…

歩合給の割合 どこまでOK?

2015.08.05 WED


労働基準局からの賃金の保障に関する通達では「実収賃金とあまり隔たらない程度の収入が保障されるように保障給の額を定めるべき」とされている  写真提供/PIXTA
「成果主義」がスタンダードになりつつある企業社会。なかには「給料の7割が歩合給、3割が固定給」なんて会社もあるとか。「自分の頑張りが給料に反映される!」と言えば聞こえはいいけど、いくらなんでもやりすぎでは? このような給与形態に問題はないのでしょうか?

労働基準法27条では、「出来高払制その他の請負制で使用する労働者については、使用者は、労働時間に応じ一定額の賃金の保障をしなければならない」と定められています。この規定は、労働時間に対応した保障給を設けることにより、賃金が低くなり過ぎて労働者の生活の安定が脅かされないよう、一定の歯止めをかけることが狙いです。

もちろん、この規定は、歩合給や成果給そのものを否定する趣旨ではありません。営業職のように、出来高払制度が従業員のインセンティブにつながるというプラスの側面もあります。

では、どの程度の賃金が保障されていれば、同条の「一定額の賃金の保障」という部分を満たすことになるのでしょうか?

結論からいうと、「いくらまで、何割までならOK」という明確な制限は、法律上ではありません。

まず金額については、具体的数字の定めがありません。「最低賃金法で定められている最低賃金を下回ることが許されない」のは、言うまでもありませんが、その上で、“労働者の生活の安定”という趣旨から、仮に労働者が休業をしたときに会社からもらえる「休業手当」の金額がひとつの目安とされており、その程度の金額(通常賃金の6割程度)を最低限保障していれば、問題とされることはないでしょう。

また、賃金のうちの成果給の割合については、労働基準局からの通達により、「支払われる賃金総額の6割以上が固定給かどうか」ということが一つの目安とされてはいますが、あくまで目安であり、これにしたがっていなかったからといって、ただちに違反となるわけではありません。法的に重要視されるのは、労働者の生活が保障されるだけの金額が支払われることであって、保障給の割合ではないのです。

そのため、「歩合給が7割、固定給が3割」という今回のケースですが、前述の最低賃金法をクリアしている場合、賃金における割合のみから違法ということにはならないと思います。「最高で月給が○万円!」なんていう過激な求人には、ついつい目がいってしまうものですが、あまりに過剰な「成果主義」には、労働者自身がよく注意する必要があるでしょう。
(弁護士法人アディーレ法律事務所/刈谷龍太弁護士)

※この記事は2013年8月に取材・掲載した記事です

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