森 鴎外は饅頭茶漬け!偉人たちの“悪食グルメ”5選

ジョブズの好物「刺身そば」を食す

2015.09.07 MON


食品の菌を恐れた潔癖性の森 鴎外にとって、蒸かしてある饅頭は理想的な食べ物。だからといって、お茶漬けにしなくても…! 甘いあんことふやけた饅頭の皮が織り成す、悲劇のハーモニーを体験してほしい。ちなみに「味の素」の大ファンだった太宰 治は、どんぶりめしに鮭缶をあけ、味の素を山ほどふりかけて食したという。「ぼくが絶対に確信を持てるのは味の素だけだ」と言うほど、汁物から羊羹まで、あらゆるものに味の素をかけた
先日「チキンラーメンリゾット」という新商品が発売された。これは、ラーメンにごはんを入れるという、日清食品の創業者・安藤百福が好んだレシピを再現したもの。「チキンラーメン」「カップヌードル」を発明した張本人も、こんなジャンクな食べ方をしていたとは少々意外…。しかし、実は企業家や文豪などの偉人には、“悪食”にまつわるエピソードが豊富なのだ。そこで、偉人たちの“悪食グルメ”エピソードを探るとともに、再現レシピを試食してみた!

●中原中也/さらし葱のソースがけ
詩人の中原中也は料理に無頓着で、もっぱら三つ葉のおひたしばかり食べていたという。簡素な料理しか作れない彼なりのアレンジが、刻んだ葱(ねぎ)を水にさらしてソースをかけただけの、超ズボラめしだ。

「醤油ならまだしも、ソースはちょっと…」と疑心暗鬼だったが、意外においしい! 葱にソースということで、どこかお好み焼きを連想させる味なのだ。“粉もん”特有の食べ応えこそないが、雰囲気だけ味わいたい人には格好のダイエット食になるかもしれない。ちなみに葱は水にさらしたのがポイントだと思う。辛さがやわらぎ、ソースとマッチするやわらかな味にまとまっていた。

●森 鴎外/饅頭茶漬け
作家・森 鴎外の好物は、ごはんの上にあんこ入りの饅頭を割ってのせ、煎茶をかけて食べる“饅頭茶漬け”。軍医でもあった彼は、細菌学を研究して以来なまものに警戒心を抱くようになり、野菜も果物も火を通して食べていたとか。死ぬ前の最後の食事は“煮た桃”だったというから驚きだ。

…が、実際に食べてみると、はっきり言って「マズい」。正真正銘のマズメシだ! あんこが溶け出した饅頭と白米が混ざり、最初はおはぎのように思えた。が、煎茶の苦みが余計なアクセントを加えたせいで、脳が混乱。さらに、ふやけた饅頭の皮がぶよぶよして気持ち悪い食感を演出。これはぜひ、饅頭単体で味わうことをおすすめする。

●北大路魯山人/424回混ぜ納豆
陶芸家や書道家でありながら、美食家としても知られる魯山人。「納豆は混ぜるほどうまくなる」との理論をかかげ、導き出した最強の混ぜ回数が424回(※諸説あり)なのだとか。最初は何も入れずに300回混ぜ、醤油を2~3回に分けて垂らしながら、さらに100回以上撹拌。カラシと葱を入れ、仕上げにもうひと混ぜしたら完成だ。

混ぜるのは面倒くさいが、200回を超えたあたりから混ぜる力はそれほど必要なくなり、糸もあまりひかなくなってくる。肝心の味は「おいしいけれど、いつもの回数でもいい」。424回混ぜた納豆はふわっとしていて口当たり滑らかだが、いつもの回数で出るネバネバ感の方が納豆らしく、独特の豆臭さがあって好きだった。ミルキーな納豆が好みなら、試してみる価値はあるかも。

●スティーブ・ジョブズ/刺身そば
海外の鬼才も“悪食”だ。禅に影響を受け、日本を愛したジョブズ。和食党の彼は調理師を築地そばアカデミーで修業させ、アップル本社の社員食堂で「Sashimi Soba」なるメニューを提供させるほどのそばマニアだった。メニューの内容は、もりそばの上にマグロの赤身などをのせ、麺つゆでいただく、日本人には「?」なスタイル…。

決してマズくはないが、別々に食べた方がおいしい。麺つゆではなく、刺身にはわさび醤油がベストパートナーであることを再認識する味だった。そもそも、そばをすする際に刺身がジャマをする。ただ、これがなめろうのように細かくたたかれていて、とろろなどと一緒に混ぜて食べるスタイルだったらアリかもしれない。天国のジョブズに教えてあげたい。

●坂口安吾/鮭の味噌漬けサンドイッチ
料理エッセイを多く残している坂口安吾。アンコウはアンゴだと言い、共食いと称してアンコウ鍋を好んだとか。そんな彼の“悪食”が魚肉のサンドイッチ。トーストしたパンにバターを塗り、鮭の醤油漬けや味噌漬けの魚を挟むのだ。

白身魚のフライのサンドイッチは見かけるが、鮭とは珍しい。今回は鮭の西京漬を挟んでみた。サクッとしたパンとよく味の染みた西京漬、そしてほんのりバターのコクが魚肉と重なりあって、これはイケる! 改善点を挙げるとしたら、西京漬の味の濃さとボリュームに負けてしまわないよう、パンはサンドイッチ用の薄切りではなく、6枚切りくらいの厚さを使うとよさそうだ。魚肉と一緒に千切りキャベツなどの野菜を挟んでも美味しいかもしれない。

天才たちの斬新な発想が、良くも悪くも発揮されている“悪食グルメ”。勇気のある人はチャレンジしてみてほしい!
(池田香織/verb)

※参考書籍 嵐山光三郎『文人悪食』(新潮文庫)

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