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新鮮な温泉水を飲む「飲泉地」10選

2015.10.30 FRI


温泉施設内や付近の源泉湧出地に近い場所に飲泉所を設けていることが多い。木製の湯口から流れる新鮮な温泉水を、持参したコップや備え付けの柄杓で飲むのが一般的
これからの時期、恋しくなるものといえば温泉。ゆっくりと湯船につかって身体のコリや疲れをとりたいところ。また、最近では温泉水を飲む「飲泉」の健康への効果も注目されており、全国の温泉地には、新鮮な温泉水が飲める「飲泉所」を設けている所も増えてきている。では一体、飲泉によってどんな効能が期待できるのか? 日本温泉気候物理医学会理事で、国際医療福祉大学大学院リハビリテーション学教授・前田眞治氏に話を伺った。

「体を温めて皮膚に作用する入浴と違い、飲泉は温泉の薬効成分を体の中に取り入れるので、飲泉の仕方によっては、薬の服用と同様の効果が期待できます。体温より温かい温泉は胃腸の緊張を弱めてくれるため胃酸過多の時に効果的で、温度が低めの温泉や冷鉱泉は胃の活動を活発にしてくれるため胃酸の減少や便秘の時に有効です」

前田氏によると、炭酸泉、硫黄泉など温泉のさまざまな泉質によって、期待される効能も少しずつ異なるそう。そこで前田氏監修のもと、泉質別に飲用可能なオススメの温泉地を10カ所選出した。

【塩化物泉(食塩泉)】
「塩分制限などで少量しか飲めませんが、マグネシウムを多く含む泉質は、便秘や萎縮性胃炎への効用があるとされています」

1)湯野浜温泉(山形県)
日本海に面した海浜の温泉郷。各宿の風呂のほか、上区・下区の2つに分けられた共同浴場があり、下区には飲泉所が設けられている。塩辛い温泉で体の芯から温まり、飲泉では慢性便秘や慢性消化器病に効果があるとされている。

2)湯の川温泉(北海道)
「函館の奥座敷」と呼ばれ、室町時代から続く道内有数の由緒ある名湯のひとつ。泉質はナトリウム・カルシウム塩化物泉が最も多く、無臭で透明のしっとりとした肌触り。源泉かけ流しの「湯の浜ホテル」に飲用泉あり。

3)東前温泉(北海道)
函館駅から車で20分程度の北斗市字東前にある天然温泉。温泉施設「しんわの湯」で飲泉が可能。同施設には露天・内風呂あわせて9種類の風呂があり、浴室入り口に設けられた飲泉場では、塩化物泉に分類されるナトリウム性泉と、刺激が少ない泉質の単純温泉とされるアルカリ性泉、2種類の泉質が楽しめる。

【炭酸水素塩泉(重曹泉)】
「炭酸水素塩泉に分類される重曹泉は、胃酸を中和させ、胃・十二指腸潰瘍や逆流性食道炎に効果を与えます。また、重曹は尿をわずかにアルカリ性にするので尿酸結石の生成を阻害し、痛風(高尿酸血症)への効用もあるとされています」

4)嬬恋温泉(群馬県)
軽井沢から車で1時間程度の場所にある高原リゾート地。名湯から隠れた秘湯まで複数の温泉があり、飲泉によって肝臓、すい臓の働きが活発になるほか、痛風、糖尿病、肝臓病、慢性消化器病などにも良いと考えられている。

5)嬉野温泉(佐賀県)
ナトリウムを多く含む重曹泉で、無色透明のぬめりのある湯。源泉は85~95℃と高温で地中の成分が多く溶けている。入浴では角質をなめらかにして美肌効果が高く、飲泉では胃腸や肝臓などの機能を活性化させる効果が期待できる。

【硫酸塩泉】
「マグネシウムを含有する温泉が多いのが、硫酸塩泉。マグネシウムは胃から十二指腸に達すると、胆のうを収縮させる効果があります。胆汁が消化管に分泌されると、消化管が食物を押し流す“ぜん動運動”が活発になり、便秘などの軽減が期待できます」

6)登別温泉(北海道)
9種類もの温水が湧出している登別温泉には、老舗旅館「第一滝本館」など飲泉所を設置している施設がある。マグネシウム泉としての効能が期待でき、慢性消化器、慢性便秘、糖尿病、痛風、肝臓病などに適応する。

7)山中温泉(石川県)
松尾芭蕉も愛した、自然と伝統文化が色濃く残る温泉地。カルシウム、ナトリウムの含有量が多めの泉質で、飲泉では胆石、慢性便秘症、肥満、糖尿病、痛風への効能が期待できる。

【二酸化炭素泉(炭酸泉)】
「飲むと炭酸の刺激により、胃の“ぜん動運動”を亢進させ、胃の粘膜も刺激されて水分の吸収がよくなります。胃腸機能低下に効果があるため、便秘などに有用です」

8)有馬温泉の「銀泉」(兵庫県)
日本三古湯のひとつ。湧出場所の泉質の違いにより、鉄分と塩分を含んだ褐色の「金泉」、無色透明の「銀泉」があり、「銀泉」の炭酸泉は飲むと胃液の分泌を刺激し、食欲増進につながる。

9)長湯温泉(大分県)
日本屈指の炭酸泉湧出地として知られ、その効能は昭和初期の研究家により「飲んで効き 長湯して利く 長湯のお湯は 心臓胃腸に血の薬」と称えられたほど。飲泉すると、胃腸の血管が拡張し、胃腸障害を緩和するとか。

【硫黄泉】
「代謝アップが期待できるため、耐糖能異常(糖尿病)や高コレステロール血症に効用が認められています」

10)塩原・元湯温泉(栃木県)
1200年の歴史を持つ塩原温泉郷には約150カ所以上もの多種多様な源泉がある。塩化物泉、硫酸塩泉のほか、硫黄泉が飲める宿もあり、糖尿病、痛風、便秘などに効果があるとされている。

当然のことながら、温泉水ならすべて飲めるわけではなく、飲用できるのは、各都道府県が許可した施設の新鮮な温泉水のみ。環境省のガイドライン「あんしん・あんぜんな温泉利用のいろは」(平成26年8月公開)では、1日の許容量は200~500mlまでとされている(当該温泉の成分分析表を要確認)。許可のない場所や規定量を超えての飲泉は、むしろ、体に害を及ぼす危険があるのでやめておこう。

ガイドラインに従って、寒い季節は温泉を効果的に利用したい。
(藤岡千夏/H14)

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