身体にまつわる都市伝説 第260回

飲んでなくても酔っ払う病気!?

2015.12.23 WED

身体にまつわる都市伝説


1滴もお酒を飲まなくても、体内でアルコールを醸造してしまう、超レアな病気が存在するのだ (写真提供/EKAKI / PIXTA)
最近はハンドルキーパー(自動車で飲食店などに行く場合、仲間同士や飲食店の協力を得て飲まない人を決める運動)への配慮から、多くのノンアルコール飲料が登場している。たまに運転手を拝命した際など、せめて飲み会気分を堪能しようとノンアルコールビールに手を伸ばすのだが、普通のビールと遜色のない喉越しで感心させられる。そのリアルな再現ぶりには、なんとなくほろ酔い気分すら感じるほどだ。

そういえば某お笑い芸人さんの、「焼酎をこっそり水と入れ替えておいたのに、なぜかベロベロに酔っ払った」なんてエピソードはつとに有名。はたして、人はノンアルコール飲料でも酔っ払うことができるのだろうか? 『本当にあった医学論文』などの著書を持つ、医師の倉原優先生に聞いてみた。

「その芸人さんの例は、まず間違いなく心理的なプラセボ効果でしょう。ですが、非常にまれなケースではあるものの、体内でエタノール(※アルコールの一種)を作り出してしまう病気があるんです。西洋医学ではほとんど知られておらず、国や地域によって呼称にばらつきがあるくらい珍しい病気ですが、日本では主に“消化管発酵症候群”と呼ばれるもの。体内で酵母が炭水化物を発酵させ、エタノールに変化させてしまうことで、お酒を飲んでいないのに酩酊状態になってしまうのです」

これはまるっきり、日本酒やビールがつくられるのと同じ仕組み。症例が少ないため詳細は未解明だそうだが、本人の自覚なく文字通りの自家醸造を行われるケースがあるわけだ。

「実際、アメリカには1滴もアルコールを摂取していないのに酩酊し、アルコール呼気濃度が酒酔い運転の法定限度(0.08%)の5倍にも達していた患者の事例があります。この患者の場合、アルコール発酵を行う出芽酵母に感染し、異常繁殖したことが原因と考えられています」

酵母は誰の体内にも存在している。だからといって、飲んでもいないのに突然酔っ払い、酒酔い運転で捕まるようなことがあってはたまらないが…。

「この症例は、よほど特殊な事情によって、体内に棲む複数の菌のバランスが崩れて起きたもの。体内で発酵が進むなんていうのは限りなくゼロに近いケースなので、まず心配する必要はないでしょう」
(友清 哲)

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