身体にまつわる都市伝説 第261回

「今年の風邪はたちが悪い」の真偽

2015.12.30 WED

身体にまつわる都市伝説


風邪はウイルスによって症状を変える。「今年の風邪は長引く」ことも、十分に考えられるのでご用心 (写真提供/xiangtao / PIXTA)
まわりを見渡すと、マスク姿で鼻水をすすっている人が多数。今年も風邪の流行シーズンの到来だ。

ところで、この時期になるとよく、「今年の風邪は長引くからご注意」なんて言葉を耳にするけど、「今年の風邪」とはどういうことか? ひとくちに風邪といっても様々な種類があるはずだが、毎年ひとつのタイプの風邪が、全国規模で大流行するということだろうか。 医学博士の浦島充佳先生に聞いてみた。

「風邪症候群を引き起こす原因となるウイルスには、RSやパラインフルエンザ、リノ、メタニューモ、アデノ…など、多くの種類が存在します。年により、このうちのどれかが猛威をふるうことがあり、それがいわゆる“今年の風邪”と呼ばれることになります。また、インフルエンザウイルスのように毎年変化するものもありますし、ノロやロタといった胃腸炎を起こすウイルスも風邪の仲間です」

浦島先生によれば、特定の風邪(感染症)が大流行した最近の例は2009年。インフルエンザのパンデミックは、僕らにとっても記憶に新しいところだ。

「ウイルスはものにより、毎年少しずつ、あるいは数年かけて変異します。同じ名前のウイルスでも、変異によって微妙に性格を変えるため、それが多くの人が免疫を持たないウイルスであれば、感染は拡大することになります。また、ウイルスが変異しなければ安泰というわけではありません。たとえば乳幼児がかかりやすい風邪の場合、いったん拡散すると多くの児童に免疫が生まれるため、しばらく流行しなくなりますが、数年を経て、免疫を持つ乳幼児がいなくなってから再び猛威をふるうようなケースも考えられるのです」

また、時に医療とのイタチごっこも展開されると浦島先生は解説する。

「マイコプラズマや百日咳などは有効な抗生剤が開発されて以来、早めに適切な治療を行えば広がりにくい傾向にありました。ところが最近、抗生剤に耐性のあるウイルスが出現し、治療もままならないまま、長期間にわたって感染が拡大するリスクが懸念されています」

特定のウイルスが「今年の風邪」と呼ばれるくらい大流行する理由は、多岐にわたっている。風邪は万病の元といわれるように、そもそも無縁でいられるなら、それが一番。手洗いうがいなどの予防をどうかお忘れなく。
(友清 哲)

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