若者と中高年が横丁で交流?

昭和回帰現象!? 横丁飲みのススメ

2016.02.19 FRI


野毛の「ハーモニカ横丁」。東京オリンピックの頃につくられた建物に、約60店舗の飲食店が並ぶ
独特の味を醸し出すローカルな飲み屋街。昭和の名残を残すお店の密集地は「横丁」と呼ばれ、これまでは中高年が集まる場所というイメージが強かった。そんな横丁のイメージが最近、少しずつ変わってきているらしい。女性を中心に横丁へと足を運ぶ若者が増え、新たな活気が生まれているというのだ。その動きと背景について、リクルートホットペッパー グルメ リサーチセンターの稲垣昌宏氏は次のように解説する。

「ホットペッパー グルメのデータを分析すると、確かに横丁への注目度は高まっているようです。『横丁』というフリーワードの検索数を調べたところ、2015年8~10月は前年同時期に比べ13.2%増加していました。こうしたムーブメントを私たちは“横丁ルネサンス”と評しています。背景として考えられるのは、昭和チックな横丁体験は今の若者にとって物珍しく、SNSの投稿ネタに最適なこと。また、横丁の常連である地元のおじさん客との『温かみはあるけど、しがらみは発生しない』距離感にも魅力を感じているようです。事実、20代・30代の女性206名を対象にしたインターネット調査では、『横丁で飲むなら他のお客さんと会話するモードだ』という回答が88%を占めました。“世代を超えたコミュニケーション”と“昭和を観光する”という側面が、今の若者にとっては魅力的なのではないでしょうか」(稲垣氏)

また、2005年公開の映画『ALWAYS三丁目の夕日』に代表されるような、昭和を回顧するムーブメントも、昨今の横丁人気につながっている模様。2008年には「恵比寿横丁」、2011年には「八王子ロマン地下」といった“再生型横丁”がオープンして若者にヒット。そこに慣れた層が、もっとディープな横丁を知るべく、横浜・野毛にある「ハーモニカ横丁」や赤羽の「一番街」「OK横丁」など、戦後から続く“旧来型横丁”を訪れるようになった流れがあるようだ。

ただ、そうはいってもビギナーにとってはやはりハードルが高い横丁飲み。そこで、横丁ならではの作法にならいつつ、その魅力を存分に楽しむコツを、雑誌『散歩の達人』(交通新聞社)編集長の武田憲人氏に教えてもらった。

「ディープな店には、その店ならではの独特な呼び名、お酒の飲み方があったりします。そうしたお店ならではの作法をお店の人に聞くのもいいですが、ここは勇気を出して常連さんに聞いてみてください。いい会話のきっかけになると思います。また、お店や街について知り尽くした“事情通”と会話したいなら、早い時間がおすすめです。地元の常連さんは昼間に出没することが多いので、ディープな話が聞けるでしょう。日中にやっているお店なら、昼間から飛び込んで飲むのも醍醐味ですね。ただ、横丁の人気店に長居するのは無粋です。1、2杯飲んで、お店をはしごすることをおすすめします」(武田氏)

また、事前にアレコレ情報を調べず、直感でお店を選んでみるのもアリだという。

「飛び込みで横丁の店に入ってみると、思わぬ出会い、体験が待っていることも。私が面白いと感じたのは、おばあちゃんがやっていた小さな飲み屋。そこはお酒が豊富なのにつまみはほとんどないお店でした。それでも常連がついているんです。お客さんを引き付けていたのは、何よりおかみさんの人柄。実際、初めて来た私にメニューにはないトーストを焼いてくれたりと、型通りではない個店ならではのおもてなしに感激しました。そういう現場の温度感みたいなものって、ガイドブックやグルメサイトの情報だけではなかなか伝わり切らないですからね。仮に自分にとってハズレのお店だったとしても『話のネタになる』くらいの感覚で、横丁をクルーズしてみてはどうでしょうか」(武田氏)

なお、近頃は青森県八戸市の「みろく横丁」など、観光的な要素を前面に打ち出した横丁も各地に誕生。地域創生の起爆剤として期待されている。さらに、2月下旬には六本木に「東京六本木横丁」もオープン。都心のビル内に、提灯がぶらさがるレトロな空間が誕生する。伝統的な和食が味わえるエリアもあり、東京オリンピックに向けて世界に日本の伝統食をアピールする、最先端のグルメスポットとして注目を集めそうだ。体験しない手はないかも。

(末吉陽子/やじろべえ)

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