「酒に強くなった…」の自信が落とし穴

死亡例も多数「大人の急性アルコール中毒」に注意

2016.04.24 SUN


気候がよくなってきたし、連休前だし…と飲みたい理由はたくさんあるが、一歩間違えると大惨事… 写真/PIXTA
歓迎会など酒宴の機会が増えるシーズン。となるとよく聞くようになるのが「急性アルコール中毒」だ。ハメを外して救急搬送されるのは何も学生ばかりではない。ある程度、飲み方をわきまえているはずの30代も毎年多くが病院にかつぎこまれている。

「東京消防庁の発表では、平成26年中に急性アルコール中毒で搬送された人の年代で最も多いのが20代、次いで30代となっています。30代はむしろ人生の中で最も肝臓の働きが活発で、アルコールの分解能力が高い時期ですが、それを過信して無謀な飲み方をしてしまうケースが多いようです」(アルコール依存症専門医療機関「久里浜医療センター」樋口進院長、以下同)

東京都監察医務院が急性アルコール中毒死147例の分析を行ったところ、20代の死亡例はわずか11。死に至るまで飲んでしまうのは若い世代に限ったことではなく、幅広い年代にわたっているという。

「加齢により危険度が上がるというわけではありませんが、年代を問わず誰でもキャパシティを超えて飲めば危険な状態に陥ります。特に注意が必要なのは、体が小さい人、お酒を飲むと顔が赤くなる人、筋肉量が少なく痩せている人などですね。体が大きい人は肝臓も大きく、筋肉量が多ければアルコールの分解能力も高いとされていますが、それでも油断は禁物です」

また、若い時に比べて「酒が強くなった」などと過信するのも危険だという。

「確かにお酒を定期的に飲んでいると、アルコールの分解に必要な酵素は増えていきます。しかし、持って生まれた体質は変わりませんから、やはり飲み方には気を付けるべきです。特にすきっ腹で飲んだり、いきなり度数の高い酒を飲んだりすると血中アルコール濃度が急激に上がってしまい危険です。一気飲みや、“かけつけ三杯”などももってのほかですね。アルコールを分解する物質はバランスの良い栄養から作られますので、つまみはビタミンやミネラル、たんぱく質、脂肪などが程よく含まれているものがいいでしょう。たとえばチーズなどをつまみながらゆっくり飲むようにしてください」

なお、もし一緒に飲んでいる相手に「つねっても叩いても、なかなか起きない」「激しく吐く」「尿を漏らしてしまう」「寝ている状態で皮膚が冷たい、脈が速く呼吸がゆっくり」などの症状がみられる場合、急性アルコール中毒が強く疑われるという。

「これらの兆候があれば、迷わずに救急車を呼んでください。救急車が到着するまでの間は、ベルトやシャツなどの着衣をゆるめ、吐いたものが喉に詰まって窒息してしまうことを避けるために、体を横にして顔を下に向けてあげてください。早期に適切な処置をすることで死亡の確率は下げられます」

若気の至りで済む学生と違い、大人は職場や家庭への体裁などがちらつき、救急車を呼ぶのをためらってしまいがちだ。しかし、その躊躇がさらなる大事を招きかねないということを、くれぐれも認識しておきたい。

(榎並紀行/やじろべえ)

関連キーワード

注目記事ピックアップ

 

編集部ピックアップPR

ブレイクフォト