植物から生じる物質、土壌で生成される成分という説も…

雨が降る時のアスファルトの「あの匂い」、正体は?

2016.06.03 FRI


「あの匂い」はアスファルト自体から発せられるものではないことが判明。とはいえ、道路の進化とともに引き続き注目していきたい 写真:Jaromir Chalabala / PIXTA(ピクスタ)
沖縄・奄美地方はすでに梅雨入りと見られ、関東地方もまもなく梅雨シーズンに入ろうとしている。洗濯物は干せないし、髪はくるんくるんになるしで、雨の日は気分も沈みがちだ。しかし、雨が降った時に道路のアスファルトから立ち上る「あの匂い」が好きな人は多いのではないだろうか。

匂いの原因をネットで調べてみると、「特定の植物から生じるペトリコールという物質だ」「土壌で生産されるゲオスミンだ」など、様々な説がある。実際はどうなのだろうか。昭和20年に設立され、日本の舗装道路の歴史を見守ってきた日本道路建設業協会の広報・技術部長、松田敏昭さんを直撃した。

「まず、舗装したてのアスファルトは石油の揮発性の匂いがしますが、常温になって固まった状態ではほぼ無臭です。そもそも、おもな成分が油なので水と化学反応を起こすことはありません」

なるほど。アスファルト自体の匂いではないとうことですね。

「したがって、ご指摘の『あの匂い』というのはカビや微生物、車の排ガスの粉などを含む“ほこり”が原因だと思いますよ。あとは、周辺の草木が雨に濡れて発する匂いも含まれているかもしれませんね」

なんと、ほのかに郷愁を誘う「あの匂い」の正体はほこりだったのか…。さらに、環境に応じて棲息する微生物は異なるため、「あの匂い」も国によって微妙に違うかもしれないと松田さんは言う。

原因が“ほこり”だとしても、いい匂いには変わりないのだが、日本では面白い実験をしているという。

「3年ぐらい前に、歩行者の気分が良くなるような匂いを開発して歩道に塗ってみたんです」

おお、人工的にいい匂いを作ろうということですね。すばらしいじゃないですか。

「でも、反響がほとんどなく失敗に終わりました(笑)」

アスファルトを改良する取り組みはそのほかにもあり、2020年の東京オリンピックに向けて、マラソンコースになる八重洲付近の道路は遮熱性の高いアスファルトに変えつつある。これによって、真夏は50~60度にもなる路面の温度が10度近く下がり、ランナーの負担軽減につながるというものだ。

知らず知らずのうちに進化しているアスファルト道路。梅雨の時期は下を向いて歩きながら、「あの匂い」を思い切り楽しみたいものです。

(石原たきび)

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