採血するだけで“がん”や”脳梗塞” を発見できる!?

「大学発ヘルスケアベンチャー」成果が続々と

2016.06.09 THU


採血の方法は健康診断などと変わらない。普段の健康診断と変わらない要素でこれまでにない検査結果を知ることができる
小泉政権時代に始まった「大学発ベンチャー企業」の支援政策が、実を結びだしている。特に健康に特化した分野では、大学での研究を発展させ、誰でも受けられる検査が開発されるなどの成果が。大学の名前がつくことで安心感が生まれることも大きな魅力といえる。

その1つが、広島大学の田原栄俊教授が中心となって開発された「ミルテル検査」。もともと染色体の末端(テロメア)の最先端にある“Gテール”と呼ばれる部分を、安定的かつ簡便に測定する方法を研究していた田原教授。その研究をもとに、検査を開発したという。

「Gテールはその長さによって、生活環境によるストレスを受けているかどうかがわかります。短いほどストレスにさらされており、病気が誘発されやすい状態です。人体の仕組みを知る研究で終わらせず、医療の現場に応用できれば予防医療の一環になると考え、検査という形にすることを決めました」(田原教授)

当時、ともに研究を進めていた学生がスキルス胃がんで亡くなるという出来事があったそう。田原教授は「元気なうちに検査をして自分の体の状態がわかれば、防げる病気は増えるはず」と強く思い、1日も早い実用化を目指したという。2013年9月にミルテル検査はスタートし、その後NTTドコモ・ベンチャーズなどからの支援を受けた。

ミルテル検査は、2つのテストを同時測定できる。1つは、テロメアの長さから遺伝子年齢、Gテールの長さからストレスの度合いを測り、体の状態を探る「テロメアテスト」。もう1つは、がん細胞から分泌されるマイクロRNAという遺伝子を検出し、93%以上の精度ですい臓がんや乳がん、アルツハイマーなどを発見する「ミアテスト」だ。

「テロメアテストでは自分の体がケアすべき状態かどうかがわかりますし、ミアテストで早期に病気を発見できれば、具体的な予防策が考えられます。病気を治すというより、健康を維持するための検査です。年をとってから病気が発覚するより、若い間に検査をして現状を知ったほうが、健康を維持しやすいと考えています」

そう話すのは、田原教授とともにミルテル検査の開発に携わったアンチエイジングドクターの日比野佐和子先生。

日比野先生が院長を務めるRサイエンスクリニック広尾(東京・渋谷区)で検査が受けられるということで、実際に体験させてもらった。

診察室に入ったら問診票やアンケートを記載し、採血をして終了。血液から染色体や遺伝子を検出するそうだ。大がかりな検査があると思っていたのであまりにも呆気なかったが、時間はかからず体の負担も少ない。仕事やお出かけの合間の時間を使って受けることも容易だろう。ちなみに料金はテロメアテスト、ミアテスト、それぞれ4万~5万円となる。全国約100の医療機関で受けることができ、検査結果は1~2カ月後に出る。

大学発の医療系ベンチャーはほかにも誕生している。千葉大学名誉教授の五十嵐一衛氏が立ち上げたアミンファーマ研究所は、85%の精度で隠れ脳梗塞を検出できる検査を発表。全国30カ所以上の医療機関で導入されており、7000~1万円程度で受診可能だ。

筑波大学発のMCBIでは、80%の精度で認知症予備群を発見できる血液検査を提供している。費用は2~3万円ほど。

田原教授いわく「体液を用いる検査は、病気が目に見える形になる前に発見できるため、今すごく注目されている」とのこと。今後、大学発の予防医療検査はますます増えていくかもしれない。
(有竹亮介/verb)

  • テロメア長・Gテール長自動測定機器。この検査機器の開発にも、時間を要したと田原教授はいう。Gテールの長さは環境次第で変化するため、年1回検査するのが理想なのだそう テロメア長・Gテール長自動測定機器。この検査機器の開発にも、時間を要したと田原教授はいう。Gテールの長さは環境次第で変化するため、年1回検査するのが理想なのだそう

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