リスト化と塗り絵etc.“ひと手間”が記憶定着には必要?

ホテルマン&競馬実況アナに聞く!名前を覚えるコツ

2016.06.17 FRI


吉川さんがお客様の顔と名前を記憶するために自作しているノート。合計で2000人以上がリスト化されているとのこと
新年度に入って早2カ月半。ちょっと前に名刺交換した人に久しぶりに会って「あれ、名前何だっけ?」と思い出せず困った…なんてこともあったのでは? ビジネスパーソンにとって、「人の名前を忘れる」ということは、ビジネスチャンスを逃すことにもなる行為。人の名前をさくっと簡単に覚えたい…という思いは多かれ少なかれ誰でも抱くはずだろう。

この悩みを解消すべく、2人の「名前を覚えるスペシャリスト」に取材を敢行。まったく違う業界ながら、ともに名前の記憶を“生命線”とする「職人」に話を伺い、そのコツを探った。

●ホテル ニューオータニの名物ドアマンの記憶術


まずお話を聞いたのは、ホテルニューオータニのドアマンを務める吉川和宏さん。毎日多くの要人が訪れるなか、彼らの名前や愛用車、車のナンバーを覚えて、送迎を円滑に行うのが仕事。記憶している人数は、2000人にものぼるとか…。いったいどんな覚え方をしているのだろうか。

「お客様のお名前と顔写真、愛用車の車種、ナンバーをノートにリスト化しています。最初は顔写真無しでリストを作っていたのですが、顔などのビジュアルと名前を紐づけた方が覚えやすいと気づいて、今の形になりました」(吉川さん)

名前だけではなく、顔とセットで記憶すること。ドアマンならではの手法ともいえるが、吉川さん独自の方法に僕らにも使えそうなコツがある。

「会ったときになるべく会話して、お客様が笑ったり驚いたり、表情の変化を引き出すこと。違った印象が見えると、不思議と強く記憶に残ります。表情の変化がなければみんな同じ顔に見えてしまいますし、名前と顔が記憶されにくいんです」

吉川さんは、普段からお客様の趣味などの情報を仕入れておいて、会ったときに話すという。そうやっていろんな表情を引き出していくようだ。

●競馬実況のスペシャリストがかける「手間ひま」


続いてお話を聞いたのは、競馬実況を専門に行うラジオNIKKEIの舩山陽司アナウンサー。競馬では、1レースあたり十数頭の馬が出走し、舩山さんは1日で6レース分の実況を担当する。1日何十頭もの馬名を覚えなければならないうえ、一発勝負の現場では、“間違い”や“ド忘れ”は許されない。そんな馬の名前を覚えるスペシャリストには、実況前日に必ず行う作業があるという。

「レースに出る馬の名前とゼッケン番号、騎手が着る勝負服(※騎手のユニフォームで、馬主ごとにデザインがある)などをノートに書き込んで表にします。すべて手書きで、勝負服は“塗り絵”のように書きますね。これは『見た目で覚える』というより、あえて手間のかかる作業をすることで、印象づけるのが狙い。1レース分作るのに数十分かかりますが、手間がかかればかかるほど、きちんと記憶できますから」(舩山さん)

加えて、レースの直前はひたすら馬名を声に出して記憶しているという。

「口で言わないとなかなか覚えられないので。レース前は何十回も出走馬の名前を繰り返していますね」(舩山さん)

これは、ビジネスマンにも使える方法だ。「初対面の方に対しても、なるべくその人の名前を呼ぶと効果的かもしれません」と舩山さんが語るように、会話中、わざとらしくない程度に、「○○さんは~」と主語を省略せずに呼んでみるのもよさそうだ。

さらに、舩山さんが教えてくれたのは「人と会った後に、自分から一通メールを送っておくんです。文章を書いている間は、その人の顔を思い浮かべますし、記憶の定着には使える方法ですよ」という手法。これはすでに実践している人もいるかもしれないが、馬名と同じく“手間をかける”効果から生まれた方法といえる。実際、取材後、筆者にも舩山さんからメールが届いた! 送られた側の記憶定着にもつながるため、自分を印象づけたいビジネスマンにはオススメの方法だ。

2人のスペシャリストが実践する「名前の覚え方」。応用してみてはいかがだろうか。
(有井太郎)

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