暑い夏に発生するのに、好むのは涼しい「雨水マス」!?

日本は世界有数の「蚊大国」個人でもできる対策とは?

2016.07.06 WED


「雨水マス」は、降った雨水を集め、他のマスや地面に流す場所。浸透式雨水マスは、たまった雨水を地面に染み込ませて処理するだけでなく、枯葉などの異物を沈殿させる役割もある
画像:白熊 / PIXTA(ピクスタ)
梅雨が明ければいよいよ夏本番。楽しみもたくさんあるが、この時期にユウウツなのが、蚊。寝っぱなに部屋に蚊がいると、耳元でプーンという耳障りな音が気になって眠れない。それどころか昨今はデング熱など、蚊が媒介するウイルス性の病気も問題になっている。実は現在日本は、世界有数の「蚊大国」といってもいいほど蚊が多いのだとか。なぜそんなことになったのだろう。

「デング熱が常在している国では、蚊が飛び回っている状態を放置せず、国が主体となって対策を講じています。日本でもかつては対策に取り組みましたが、1945年ごろからデング熱の流行が起こらなくなりました。自治体も特別な予算を組んで人員を配置することはしなくなり、そのまま約70年が経ったことで蚊が増えてしまったのです」

そう説明してくれたのは国立感染症研究所・昆虫医科学部主任研究官の小林睦生さん。小林さんによると、デング熱など数種のウイルスを媒介するヒトスジシマカが生息するシンガポール、台北、日本の公園などで、「8分間人囮(ひとおとり)法」という一定時間にどれくらいの蚊が吸血に来るかを数える調査方法を行ったところ、シンガポールと台北が2~3匹だったのに対し、日本では10~30匹、最高で80匹が観測されたそうだ。

ただし、蚊は種類によって活動エリアや媒介する病気も異なるという。

「日本には約120種がいて、大きくヤブカ、イエカ、ハマダラカの仲間に分類することができます。マラリアはハマダラカの仲間、ウエストナイル熱や日本脳炎はイエカの仲間、デング熱、ジカウイルス感染症、チクングニア熱などの新しいウイルス感染症はヤブカの仲間が媒介します」

日本の都市部に多く生息しているのは、イエカのアカイエカと、ヤブカのヒトスジシマカだ。2014年に代々木公園で162人ものデング熱患者が出た時も、媒介したのはヒトスジシマカと考えられている。では、日本の都市部で蚊の発生源となるのはどんな場所なのか。

「道路脇の“雨水マス”が、蚊の主要な発生源と考えられます。蚊が好むのは日陰などの涼しい場所。雨水マスは直射日光が当たらないので涼しいほか、風が強く吹きこまない、トンボなど天敵が入ってこない、卵の孵化に必要な水たまりがあるなど、蚊には最適な住環境です。ひとつの雨水マスでひと夏に約1万匹の蚊が生まれていると推定されています」

横浜市泉区緑園では自治体が主導となって雨水マスに薬剤を投与して、地域の蚊を減らした実例がある。東京23区でも地区によって薬剤投与をしているそうだが、全域ではまだ行われていない。

根本的な解決には国・自治体レベルの取り組みが必要になりそう。だが一方で、個人でできる防御法もあるという。

「植木鉢の皿や花瓶、発泡スチロールの箱を放置するなど、水がたまる場所を作らないこと。雨どいも要注意です。蚊は基本的に真水を好みます。動かせないけど水がたまる箇所がある場合には、塩を投入することで蚊の発生を防ぐこともできます。蚊は涼しいところを好むので、外出する際には、藪などの日陰に留まるのは避けた方がいいですね」

国や自治体の取り組みに期待しつつ、まずは個人でできる対策から始めましょうかね。

(麻生雅人)

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