バカバカしくない、貴重な時間を親子で共有

子どもと楽しむ、初めての寄席体験「THEこども寄席」

2016.08.04 THU

格好いいパパに!オトコの子育て道場


五明樓玉の輔師匠。子ども向け、大人向けそれぞれの「くすぐり」を入れつつ、笑える怪談「お菊の皿」を楽しませてくれます
写真提供:ちゃいるどEYE
我が子の成長を願う親なら、元気いっぱい外で遊んで欲しい…と思う一方、「勉強や芸術にも親しんで欲しい」と願うはず。そこで、親子で参加できる芸術系スポットを紹介するのが本連載の趣旨。第1回は、大人でも未体験の人が多いであろう「寄席」に注目してみた。

落語、講談をはじめ漫才や奇術、曲芸など様々な大衆演芸が楽しめる「寄席」。本来はそう気負う必要のない場所ではありますが、良い意味での“異空間”であるだけに、初心者には若干のハードルの高さを感じてしまうもの。ましてや子連れで行くとなると、おいそれとはいきません。

そんな寄席の雰囲気を親子で一緒に楽しめるのが、築地本願寺ブディストホールを中心にイベント企画を手掛けるマゼル・ジャパン主催の「THEこども寄席」。演者の後ろに用意された大スクリーンに、演目の理解を助けるスライドが写し出されるなどの工夫がなされ、子どもから大人までが一緒に楽しむことができるって寸法。

ということで、去る7月24日の公演の夏休み特別企画「落語vs講談 怪談対決」に6歳と3歳の我が子を連れて実際に行ってみました。「THEこども寄席」では開場の1時間ほど前から、懐かしい遊びを体験できる時間が用意されており、この日に体験できたのは「紙相撲大会」と、扇を的に当てて遊ぶ古風な遊び「投扇興」。落語だけでなく、こうした遊びにも触れられるのはいいですね。子どもたちのテンションもあがりますし。

さて、肝心の公演内容ですが始まりは五明樓玉の輔師匠による落語「お菊の皿」から。お皿をいちまい、に~まい、と数えていく有名なあの怪談「番町皿屋敷」をもとにした噺ですが、その内容は「思いのほか美しいお菊の姿にいつしか見物客がついて~」といったドタバタな噺なので怖さは少なめ。ウチの3歳児には話の内容はあまり伝わっていないようでしたが、ところどころ挟まれる下ネタ(といっても「おしり」などの、教育的に見てあくまで罪のない言葉が出てくるぐらいですけど)には6歳の下ネタ盛りの姉と一緒に爆笑してました。


ピアニカ漫談で会場を盛り上げる、のだゆきさん。頭で演奏をする様子に場内爆笑
写真提供:ちゃいるどEYE
寄席といえは、色物の存在も欠かせません。本公演ではピアニカ漫談の「のだゆき」さんが、落語の次に登場。子どもたちにも馴染みの深い楽器、ピアニカとリコーダーを使っての超絶技巧と珍妙技巧の双方で会場を大いに沸かせました。怪談要素一切ナシでしたけどね。

そして、最後は講談師の一龍斎貞寿さんによる「四谷怪談」。“子ども向け”を謳った寄席ですし、ここまでの流れからしても怪談といってもゆるふわ路線の講談なのかと思いきや…。子どもに“わかりやすく”伝えるためのスライドが、大人までも“怖がらせる”ほど恐怖方面でも役立っており、かなりガチな怪談でした。
一龍斎貞寿さんによる「四谷怪談~お岩誕生の巻~」。あのお岩さん、誕生にはこんな因果があったのかと新鮮な驚きも
写真提供:ちゃいるどEYE
実のところ、途中で飽きた、というか長時間座っているのがキツくなってきたのかグズグズ言う子どももちらほら出てきましたが、そこはさすがの講談師。佳境に入り口調に熱がこもると、それに反比例して場内はシーンと静まり返り、息を呑む音だけしか聞こえなくなり…。親が何を言っても聞かない「悪魔の3歳児」を地で行くウチの子も、当然(?)グズグズ言っていたのに、吸い込まれるように舞台に見入っていました。

■子ども、大人の分け隔てのない“笑いの空間”


ちなみに、これまでも寄席や落語会の経験があった筆者。「こども寄席」は、子どもの興味を引く工夫は随所に施していても、噺自体は妙に子ども向けにアレンジしない姿勢に好感を持ちました。“大人の方が退屈”させられることがないんですね。休みを使って子どもとでかけるお父さんにとって、これ大事。

「こども寄席は、祖父母、親、子どもと、3世代が楽しめるのが特徴です。実際のところ、来てくださるお客様は、パパとお子さんのペアがとても多いですね。常連で来てくださるお父さんには、よそのお子さんと『落語好きの知り合い』のような関係を作る方もいます。こうした場で、世代を超えて楽しむのはとっても粋なことだと思います」

そう語るのは、イベント企画を行うマゼル・ジャパンの田村さん。2007年に初の公演を行った「THEこども寄席」、これまでに参加されたお客さんからは「子どもでも落語が楽しめ、家に帰っても兄弟で落語ごっこをして遊んでいる」「(親が)子どもに『人生の教訓』を教えるきっかけになった」などの感想が寄せられているとのこと。その運営もボランティアによって賄われており、公演側として参加することも出来ます。興味がある方は、公式HPから問い合わせてみるのもよいでしょう。

ちなみに、今後の開催の予定を聞いてみると年内の一般参加可能な開催日は9月25日(日)の築地公演と10月16日(日)の国分寺市立いずみホールで予定されており、、来年度からは2カ月に1度のペースで築地や日本橋を中心に開催する予定とのこと。

子どもと一緒に日本の伝統芸に触れ、大いに笑える貴重なこのイベント。大人が初めて触れる「寄席」体験の場としてもおススメです。
(宇都宮雅之)
  • 開演前の待ち時間には、紙相撲が楽しめた。写真提供:ちゃいるどEYE
  • こちらは同じく、開演前に体験できた「投扇興」。なお、過去にはミニ縁日や、飴細工などの体験も。写真提供:ちゃいるどEYE

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