「たかが便秘」とタカをくくっていては危険!

「便秘が原因で、怖い病気になる」って本当?

2017.03.02 THU

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「肩こり、肌荒れ、腰痛、むくみなど、なんとなく調子が悪い場合も、便秘に原因があることは多い」と大竹先生。腸内環境の悪化が、さまざまなプチ不調につながっているかも
画像提供/leungchopan / PIXTA(ピクスタ)
慢性的に悩まされている人の多い「便秘」。不快感はありながらも、病院を訪れるほどでもないと、つい放置していませんか? ひどい便秘が原因で、救急車で運ばれる人がいると聞いたこともあり、心配になることも…。おおたけ消化器内科クリニック院長の大竹真一郎先生、便秘のせいで怖い病気になることってあるのでしょうか?

「はい、便秘により腸の状態が悪化することで引き起こされる病気はたくさんあります。腸内環境が乱れていると、老廃物が排出されにくいため、体全体に悪影響を与え、がんなどの病気を引き起こすことがあるのです」

便秘との関連性の高い病気について、大竹先生に細かく解説いただきました。

●腸閉塞
「便がまったく出ないまま放置した結果、腸内に硬い便が詰まって動かなくなり、腹部が張って激痛が引き起こされる病気です。通常、腸は自在に動きますが、詰まった便でふさがれて腸が動けなくなってしまうのです。あまりの激痛に救急車で運ばれてくる方も多いんですよ。便が下から出ていかなくなるため、吐き気と嘔吐を伴います。ひどい場合は腸管が腐って、死に至ることもあります」

●痔
「実は女性に多いのが、便秘による痔。便秘気味で、硬い便が出る人は『切れ痔』になりやすく、排便時にいきみすぎることで肛門の皮膚が切れ、出血を伴います。また、肛門付近に腫れ物ができる『いぼ痔』では、便秘によるいきみのせいで肛門からいぼが出てしまうことも。薬を塗って対処しますが、癖になりやすいので、お尻に負担をかけない生活が大切です」

●大腸がん
「実は、便秘と大腸がんの直接的なつながりを示したデータはありません。でも、大腸がんを引き起こす要素のひとつとして、腸内の悪玉菌が生み出す毒素が関係していると言われています。腸内環境が整っていれば働くはずのバリア機能が、毒素のせいでうまく働かなくなり、発症しやすくなるのです。なお、女性のがん死亡原因の1位は大腸がん。将来かからないようにするために、腸内環境をよくしておくことは大切です」

●肝臓がん
「肝臓がんと便秘は密接な関係にあります。まず、肝臓がんに発展する前に肝硬変になるのですが、これまで肝硬変になる人の多くがC型肝炎またはB型肝炎の持ち主でした。でも最近はいずれでもない『NASH(非アルコール性脂肪性肝炎)』という、アルコールをほとんど飲まなくても引き起こされる肝炎があります。この肝炎にかかる原因として、腸内環境の悪化が指摘されています。便秘によって増えた悪玉菌による毒素は、血液に含まれて全身をめぐります。血液は、最初に肝臓を通ってから全身をめぐるため、肝臓は悪玉菌の毒素の影響を受けやすいというのが、NASHを引き起こす原因のひとつのようです」

●大腸憩室炎
「大腸の壁に『憩室』というくぼみができ、そこに便が詰まることで炎症が引き起こされる病気です。詳しい原因は明らかになっていないのですが、便秘が続くと腹圧が上がり、炎症が起こりやすくなります。腹痛や出血、発熱につながり、悪化すると憩室に穴が開くこともあります」

●直腸瘤
「女性がかかりやすく、日ごろから排便時に強くいきむことが多い人や、出産経験(いきんで出産をした経験)のある人はとくにかかりやすい病気です。いきむことで肛門のそばにある直腸の壁がゆるくなり、大きめの瘤が膣の後ろ側にでき、そこに便が入り込んで溜まってしまうのです。残便感が続くようになり、ひどい場合は手術が必要になります。なお、同様に便秘でいきむことで、直腸の壁がはがれて出血する『直腸粘膜逸脱症候群』という病気もあります」

●虚血性大腸炎
「腸内の血液循環が悪くなると、大腸の粘膜が荒れて炎症を起こします。この原因のひとつが便秘とされ、中年以降の女性に多い病気ですが、若い人でかかる場合もあります。お腹の左側に痛みが生じ、出血を伴います。治りやすい病気ではありますが、後遺症で腸が細くなり、さらに便秘が悪化する場合もあります」

便秘が原因で、こんなにたくさんの病気にかかるかもしれないなんて…! 便秘を放置して、ひどくなってから病院を訪れるのでは遅いこともあるそう。普段から腸内環境を整える食生活を送ることはもちろんですが、「たかが便秘」とタカをくくらずに専門医に相談してみることも大切かも。

「そもそも3日以上、便が出ない人は便秘だと考えられます。また、毎日出る人や一日に何度も出る人でも、お腹が張っていたり、残便感があったり、お腹に痛みや違和感があったりするようであれば、便秘の疑いがありますね。さらに、下痢気味の人でも『けいれん型便秘』や『オーバーフロー型便失禁』といった、隠れ便秘の場合もあります。今まで多くの患者さんを診てきましたが、自覚のある・なしかかわらず、便秘の方は本当に多いです。慢性的な便秘や下痢の悩みはもちろん、出した便の様子がおかしかったり、残便感が続いたり、お腹の張りや痛み、吐き気があったりした場合も、消化器内科の医師に相談してみてください」と大竹先生。

自力で生活習慣を変えることは、難しいもの。まずは専門医に相談してみるのもアリですね!

(富永明子)

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