ジェロのヒットで改めて考える

俗にいう演歌の「こぶし」って一体ナニ?

2008.05.23 FRI


感情が入るとつい『拳』を握りますが『こぶし』とはなんの関係もありません。が、かなり演歌歌手っぽくみえます。ついでに、歌い終わったら斜め上を見ながら、声に出さずに「ありがとうございました」。これでバッチリ。かな…? 撮影/熊林組
正直にいいます。ずっと「拳」だと思ってました。だって、五木ひろしさんが歌うとき握りしめてるでしょう。「拳」。

え、なんの話かって? だから、演歌の「こぶし」ですよ。外国人演歌歌手ジェロの『海雪』がヒットして「下手な日本人よりこぶしのきいた演歌を歌う」なんていわれてるけど、みんな、ほんとに「こぶし」って何だか知っていますか?

複数の音楽関連本で調べたところ、「こぶし」とはもともと長唄や民謡など日本の伝統音楽の用語で、そもそも「小節」という漢字が使われていたのだとか。これは、基本となる旋律の間に細かい節を入れて装飾する発声技法。それらを歌っていた人たちが演歌に取り入れ始めたのが、今の「こぶし」の起源のようだ。

それでは、演歌で俗にいう「こぶし」とはなんなのか? ブレスヴォイストレーニング研究所の福島英先生にお話を伺った。

「こぶしとは楽譜上に表されていないメロディの抑揚のことです。楽譜上に表れないということは、1音の中で高低に少し揺らすということ。その音を動かす感じですかね」

むむむ、ちょっとイメージしづらいのですが。

「たとえば、ドレミファソというメロディがあったとします。そのときにドとレの間。ここは楽譜には表れませんよね。このドからレに移る間の音を短く上下させるのがこぶしと考えるとわかりやすいのではないでしょうか。ちなみに、1つの音を長く伸ばして規則的に1秒に6回くらい上下させるとビブラートになります」

なんとこの技法、実は世界中の音楽で見られるのだとか。福島さんいわく、「イタリア民謡サンタルチアなどにも、こぶしと同じ技法がありますね」とのこと。じゃあ、こぶしの技法を取り入れるだけでは、演歌っぽく聞こえないということ?

「ジェロさんの『海雪』などは、技法としてのこぶしは入っていないと思います。こぶしがきいているように聞こえるのは、演歌独特のメロディと情感のこもった歌詞があるから。あなたとか愛しいとか、気持ちを入れたいところにアクセントを加えると、技法としてのこぶしが入っていなくても演歌っぽく聞こえますよ」

このアクセントが、その歌手独特の節だと「五木節」や「八代節」「北島節」となるのだとか。それじゃ、ボクも早速カラオケで。

「確かにこぶしを込めて歌うと、歌の表情は豊かになりますが、使いすぎるとわざとらしく下品になるので気をつけてください」

はい、皆さんも演歌を歌うときには、こぶしのきかせすぎにご注意を。

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