子供のころできた傷あとが残る理由は?

“消える傷”“消えない傷”の違いを知りたい!

2009.03.26 THU



イラスト:川合景二
子供のころに転んでできた傷あとが、大人になった今でもうっすらと残っています。誰もがそんな小さな古傷、持ってますよね? でも、いつのまにか消えている傷と、ずっと消えない傷があるのはなぜ? よしき皮膚科クリニック銀座の吉木伸子先生に聞きました。

「それは傷の深さによりますね。皮膚は表面から順に、表皮、真皮、皮下組織の3つの層に分かれています。表皮は活発に新陳代謝していて、約4週間で細胞が入れ替わっているんですよ。表皮の最下層にある基底層で生まれた細胞が、徐々に表面に押し上がってきて、角質層になり、やがて垢になって剥がれ落ちているんです(図参照)」

なるほど。じゃあ、表皮に付く程度の浅い傷は、新陳代謝によって、以前とほぼ同じような状態に復元できるんですね。

「そうなんです。一方、真皮の主成分コラーゲンは、新陳代謝のサイクルが2~6年と非常にゆっくりで、40代になると新しく作られることはほとんどありません。ですから、表皮よりも深い部分にまで傷が達すると、あとになってしまうんですよ」

でも、ゆっくりとはいえ真皮も新陳代謝してるんですよね? 私の膝に残った傷あとは20年以上経っても消えないんですが。

「真皮や皮下組織にまで傷が到達した場合、新陳代謝による細胞の入れ替わりを待っていては、完治するのに数年かかってしまいますよね。そこで、傷口を早急にふさぐために肉芽組織という細胞が増殖してくるんです。肉芽組織は、タンパク質でできた肉の塊のようなもので、毛穴や肌目、メラニン細胞がなく、周りの皮膚よりも一段階白い。つまり、通常の皮膚細胞と、傷口をふさぐために作られた肉芽組織は異なる組織なので、そこだけ白光りして見えてしまうんですね。皮膚細胞の欠損した部分が肉芽組織で埋まってしまうと、それがまた元の組織に戻ることはないんですよ」

消えない傷あとは、通常の皮膚とは違う組織だったんだ。古傷は消えないけど、長年の謎が消えました!


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