生命保険はボクらを守ってくれるの?

第6回 保険契約時にウソをついたらどうなる?

2009.04.06 MON

生命保険はボクらを守ってくれるの?

保険契約時の問診には正直に答えるべき?



保険料が高い「誰でも入れる保険」や「持病があっても入れる保険」は例外として、健康状態に問題があれば普通は保険に入れない。でも、20~30代の若いうちなら、健康状態を詳しく検査されるわけでもなく、「入院したことがありますか」といった簡単な質問に答える問診だけで保険に入ることができる。だったら、ちょっとぐらいならウソをついても問題ないじゃないの?

確かに生死を左右するような、がんとか、心臓病などを隠すのは問題だと思うけど、インフルエンザや骨折の病歴とかも正直に答えなくてはいけないのだろうか? なかには、痔とか、ケンカして鼻の骨を骨折したこととか、ちょっと言いにくいものもあるし…。いや、そういう恥ずかしい話ばかりではなくて、かぜや腹痛、胃炎とか、何年前にかかったのかを思い出せないぐらいの病気もある。こういうのも全部きちんと申告しなきゃいけないの?

『生命保険の「罠」』(講談社+α新書)などの著者である後田亨さんは「聞かれたことにはすべて正直に答えること。ウソは絶対にいけません」と語気を強める。

「もし問診に正直に答えていなかったら、保険約款(※)が定めている『告知義務違反』にあたります。問診に正直に答えることは契約者の義務なのです。この告知義務違反は、故意なのか、不注意なのかも関係ありません」

「いやあ、がんで入院したことをうっかり忘れてて…」なんて人はまさかいないと思うけど、風邪をこじらせて点滴を打たれたことくらいは忘れている人がいるかも。しかし、うっかりでも違反は違反。
保険契約時の問診には正直に答えなくてはいけない。ただし、聞かれた以上のことを答える必要もない
「もし虚偽の申告をして保険に入れたとしても、それがウソだったと発覚すれば、保険会社側から契約を解除されてしまいます。その場合、解約金があれば支払われるかもしれませんが、諸費用が差し引かれ、それまでに支払った保険料の一部しか戻ってきません。結局は自分が損をしてしまうわけです。だから過去の病歴を必死に思い出して正直に申告しましょう。ただし、聞かれてないことまで答える必要はありません。たとえば、『5年以内に…』という質問に対しては、5年以内の病歴だけを答えればいいのです」

正直に答えて、契約できない場合はどうすればいいのでしょうか。やっぱり、あきらめるしかないんでしょうか?

「すべての方が大丈夫とはいえませんが、命にかかわらない程度の病気、たとえば軽い胃潰瘍(かいよう)なんかだったら、胃の病気だけ支払い対象からはずして(「部位不担保」という)保険に入れることもあります。その場合、胃以外の臓器の病気にかかったら、保険金はちゃんと支払われます。あと『保険加入時に実はがんが進行していたけど、自覚症状もなく、医者にもかかってなかったからわからなかった』という場合は、告知義務違反にはなりません。ただし、がん保険の多くは、加入して90日以降でないと保険金は支払われませんが…」

なるほど! “正直者はバカを見る”なんて言葉もありますが、保険に関する限りは正直に答えた方がよさそうです。


※保険の内容や条件、種類を定めたもの。保険は、保険会社と契約者との合意のもとで成立するもので、保険約款は両者が合意した内容になる。

「ウソをついても2年バレなければ大丈夫」という説は本当なのか?



20~30代の若いうちは、「入院したことがありますか」など簡単な問診だけで入れる保険。でも、その問診でウソをつくと、専門用語でいうところの「告知義務違反」にあたり、いざ保険金の支払いを申請した場合に保険金を受け取れないことがある。なので、保険の契約時の問診には正直に答えなくてはいけない。

でも、ある友人にその話をしたら、「ウソをついてもバレなきゃいいんだよ。もし、バレたとしても、その時点で契約から2年以上経っていれば、保険会社は契約解除できないんだから」と言われました。それって本当なの?
保険の内容や条件、種類をまとめたものが「保険約款」。保険約款には、保険が有効になる日付、保険金が支払われる条件、保険契約の解除や無効になる場合などが記載されている
そこで、ネットでいろいろ調べてみると、確かに「告知義務違反も2年で免責」という風説があるみたい。免責とは「責任を問われない」ということで、この場合、保険契約時にウソをついても、2年間経てばウソをついた責任を問われなくなるということらしい。実際、ある保険会社の保険約款(※)を読むと、次のように書いてあった。

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保険契約を解除できない場合
第12条 会社は、前条に定める告知義務違反があった場合でも、つぎのいずれかの場合には、保険契約を解除することはできません。

(中略)

(3)責任開始の日からその日を含めて保険契約が2年をこえて有効に継続した場合。ただし、責任開始の日からその日を含めて2年以内に解除の原因となる事実により保険金の支払事由または保険料の払込免除事由が生じているときは除きます。
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これをわかりやすく言い換えると、「告知義務違反があっても、保険の効力が発生した日から2年を超えて契約が継続していた場合は保険契約を解除できない。ただし、その2年間に告知義務違反の内容で保険金が支払われるような事象が発生していた場合は除く」となる。確かに「2年で免責」と読めるような気もしますが…。

しかし、『生命保険の「罠」』(講談社+α新書)などの著者である後田亨さんは、「『2年で免責』は忘れた方がいい!」と断言します。

「2年間バレないようにしていれば、告知義務違反があっても保険金が支払われる。こんなふうに誤解している人が確かにいるみたいですが、それは明らかに間違い。まず、上記の約款は『解除できない基準』を書いてあるだけなので、保険金が支払われるかどうかは別問題です。さらに、約款には『重大事由による解除』という項目もあり、『2年で免責』だと思っている方はこちらを完全に見落としています。わざと事故を起こすなど、保険金目当てに何らかの不正を働いたら、保険会社はいつでも契約を解除できるのです。解除の際には、解約返戻金があれば払い込んだ保険料の一部が戻ってきますが、保険会社側が悪質と判断した場合は、『詐欺』行為があったとして、解約返戻金さえ戻ってこない可能性があります。」

やっぱりそんなに甘くはないですね。保険契約時にはウソは禁物…肝に銘じます。


※保険の内容や条件、種類を定めたもの。保険は、保険会社と契約者との合意のもとで成立するもので、保険約款は両者が合意した内容になる。 20~30代の若いうちは、問診だけで入れることが多い保険。なかには答えにくい質問もあるけど、すべて正直に答えないと、いざというときに保険金が受け取れない可能性がある。さらに、最悪の場合は、保険も解除されて、解約金も受け取れない。

保険金の支払いに関係しないような病気なら申告する必要がないと思っていましたが、やはりウソをついてもいいことはないんですね。保険契約時には聞かれたことに正直に答えようと思います。

読者の皆さん、今回取り上げた「問診の答え方」など、保険の契約時で何かギモンに思われたことはありませんか? 今後の調査の参考にぜひ教えてください。

取材協力:後田亨氏

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