生命保険はボクらを守ってくれるの?

第7回 保険のことって誰に聞けばいいの?

2009.04.20 MON

生命保険はボクらを守ってくれるの?

生保のことはやはり生保の営業に聞くべき?



死亡保険、医療保険、生存保険。この3つが生命保険の基本的な柱だけど、定期保険と終身保険の違いがあったり、がん保険や三大疾病特約などを追加できる保険もあったりして、保険ってやっぱり難しい。自分が入るにはどんな保険がいいのか、誰かに質問したくなるのが人情というもの。そんなとき、ボクらはいったい誰に聞けばいいのだろう。

「生命保険(生保)のことを一番よくわかっているのは、やはり生保の営業です」。そう教えてくれたのは、『生命保険の「罠」』(講談社+α新書)などの著書がある後田亨さん。生保のことは、やはり生保の専門家である営業に聞くしかないみたいだ。ただしそこには、実は大きな落とし穴があるらしい。
自分が売っている保険に入ってもらわないと得をしない保険の営業。そんなことも保険選びを難しくしている要因かも…
「問題は、質問を受ける立場の営業が、保険に関して直接の利害関係をもっている。つまり、相談者に自分の売っている保険に入ってもらえば、自分が得をする立場なのです。たとえば、相談者がある保険を勧められたとしても、それが本当に相談者のためを思ってのものなのか、単に自分の営業成績を上げたいだけなのかは、容易に判断できないはずです」

なるほど、言われてみれば確かに…。

「さらにもうひとつの問題点は、一口に専門家といっても、個人個人の営業によって、保険に対する考え方や知識にバラつきがあることです。営業は保険について社内教育を受けていますが、あくまで自社の保険商品を売るための知識であり、他社の商品も含めどれだけの理解があるかは個人差があります。どんな営業に当たるかは、なかば“運”みたいなものなのです」

考えてみれば、A社の営業ならA社の、B社の営業ならB社の保険を勧めるのは、ある意味当然かもしれない。他社の保険を勧めても、その営業には一銭の得にもならないわけだし。だったら、複数の会社の保険を扱っている代理店の営業に相談すればいいのでは?

「確かに最近では、様々な会社の保険を扱う、来店型の保険代理店ショップが増えています。とはいえ、代理店の営業が公平中立なアドバイスをしてくれるとは限りません。『様々な保険を比較検討した結果、あなたに最適な保険をご紹介します』というのが彼らのタテマエだけど、代理店には代理店の“事情”も存在するからです」

保険代理店は、それぞれの保険会社に代理店としての登録を行う。その際、保険代理店には、保険会社ごとに「ウチの商品を年間これだけ売ってください」というノルマが決められていて、保険商品をひとつ売るごとに手数料がもらえる仕組みになっている。1件も売れなければ代理店登録を取り消されたり、逆にある会社の保険商品をたくさん売れば、「上級代理店」に格付けが上がり、もらえる手数料が割高になる場合もある。

生保のことは、生保のプロである営業に聞くしかない。ただし最大の問題は、「保険に入ってもらうことで収入を得る人」(=営業)にしか相談できないという現実。保険選びは一筋縄ではいかないようです。

信用できる営業を見分ける方法とは?



生命保険(生保)についてわからないことがあったら、保険のプロである生保の営業に聞くしかない。とはいえ、営業は、自社の保険を売れば売るほど得をする立場。そんな人に、公平中立なアドバイスを求めるのは、すごく難しいことなのかも。ボクらからすれば、自分の営業成績を度外視してでも親身になってくれる営業を見つけたいところだけど…。そんな、信用できる営業マンって、どうやって見分ければいいのだろう。

『生命保険の「罠」』(講談社+α新書)などの著者でもある後田亨さんは、「自分にとって一銭の得にもならないことを教えてくれる人」こそ、信用できる営業だという。

「たとえば、『死亡保障は400万円、保障は60歳まででいい』という条件で、どんな保険がいいかを質問してみましょう。『それなら生命保険ではなく、共済で十分ですよ』とすぐに答えてくれる人は、ある程度信用できるといえます。共済をお勧めしても、自分には一銭の得にもならないんですから。とはいえ、大多数の営業は『死亡保障400万円ではとても足りません。せめて2000万円くらいは必要』と答えるでしょうが…」

問題は、「善意の営業=信用できる営業」とは限らないこと。保険会社によっては、「お客さんに手厚い保障を提案することが営業のMISSION(使命)だ」と教育されることもあります。そんな営業は、「保険料が上がっても保障の充実した保険を提案することがお客さんのためになる」と考えるようになります。だから保険はややこしいし、難しい。

「そもそも、利害関係のある人にしか相談できないという、いまの保険業界のあり方そのものが問題なのです。たとえば先ほどの『死亡保障400万円、保障は60歳まで』の例でいうと、お客さんのためを思って共済を勧めた営業は、相談にマジメに答えた分だけ損をしてしまう。自分なりに勉強して得た知識をもとに、お客さんに有益な情報を提供しているのに、それがまったく評価されず、相談を受けた時間だけ空費することになりますから。営業が損をしないためには、結局、自分の商品を売るしかないのです」

う~む、それは確かに大問題。だったらボクらは、いったい誰を信じたらいいんでしょう。

「本来であれば、保険に関する相談受付を有料にすべきですね。情報提供料という形で利益が発生すれば、心ある営業は無理に自社商品を売らなくて済みます。とはいえ、こうした改革は一朝一夕にはいきません。そこで、いま皆さんにできるもっとも現実的な提案は、コンサルティングのいらないシンプルな保険を自分で選ぶということです」

え、それって、誰にも質問しないってことですか?
シンプルな保険なら自分で比較検討もしやすい。あれもこれもと欲ばらずに、自分が必要とする保障内容を絞りこむことが大切
「その通り。そのためには、入院給付金がほしいとか、あれもこれもと欲ばるのではなく、保障内容を極限まで絞りこむこと。たとえば、『死亡保障10年で2000万円、あとは何の特約をいらない』と決めたら、その条件で各保険会社に保険料を問い合わせて、一番安い保険料のところを選べばいいんです。保障内容がシンプルなら、どの会社のものがいいか、自分自身で比較検討できますよね。保険会社は、他社と比較されたくないから、いろんな特約をつけて保障内容を複雑にしている部分もあります。そして、内容をわかりにくくすることで、プロである営業の出番をつくっているのです。しかし、保険選びに人が介在すればするほど、料金は割高になるし、その意見に振り回されることが多くなる。『わかりにくい保険』は、誰かに説明を求めるのではなく、近づかないことでしょうか。お客さんの側がもっと賢くなれば、いまの保険業界のあり方もおのずと変わっていくはずです」

そうか、「保険はわかりにくいから誰かに聞こう」ではなく、「自分のわかる範囲で保険を選ぼう」が正解だったんですね。保障はシンプルにしてあとは貯蓄に回す、というのも一つのやり方ですもんね。勉強になりました! 生保について詳しいのは、やはり保険のプロである生保の営業。保険については営業に聞くしかないのが現状だけど、これはいろいろ問題あり。

結局、信用できるのは自分だけだし。わからないことは営業に聞くのではなく、自分のわかる範囲で保険について判断すること。そのためには、各社の保険を比較検討できるよう、保障内容を極力シンプルに絞りこむことが肝要なようです。

生命保険を選ぶ際のポイントに関する投稿、ありがとうございました。この不況のせいか、保障内容だけでなく、保険会社の経営状況などにも注目されている方もいらっしゃるようですね。保険会社の選び方についても今後調査していきたいと思います。

引き続き、皆さんの生命保険を選ぶ際のポイントを教えてください。よろしくお願いします。


取材協力:後田亨氏

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