今日から始める“エコモテ”生活

第4回 マリンソウルを磨いてモテる!

2009.04.28 TUE

今日から始める“エコモテ”生活


古来から海をフィールドに戦う男はモテる。海を汚すヤツは許さないぜ! イラスト/沼田光太郎

海岸を覆う大量の漂着ゴミ実は他人事じゃなかった!



オレは海の守護神アサハラヒ。何人たりとも、オレの前で海を汚す者は許さねえ。もしも海岸で不法投棄を働く輩を見つけたら、オレは迷わずそいつをシバキあげるだろう。海外製の漂着ゴミを発見しようものなら、そのゴミを着払いで速攻送り返すだろう。そんなストイックなオレに惚れた女たちが波のように押し寄せては、ひとり残らず満ち潮にして返してやる毎日さ。

うん。今回はイケそうだ!

なにしろボクは横浜で生まれ育ったハマっ子だかんね! そこらへんのモヤシっ子とはポテンシャルが違うのよ! 海、超愛してるよ! もう10年以上海水浴してないから肌、真っ白だけどね!
とにかく、まずはあらゆる海問題に取り組む広域ボランティア団体「海守」(うみもり)の本部に突撃して、事務局の三浦さんに聞いてみた。いま海ではどんな問題が起きていんですか?

「海の環境問題は多岐にわたりますが、やはりいちばん目立つのが海岸に漂着するゴミの問題です。日本は総延長3万4000kmにもおよぶ、世界で6番目に長い海岸線をもっており、それだけに国内外で不法投棄された大量のゴミが海岸に流れ着く運命にあります。漂着ゴミの実態や影響は国際的な調査やモニタリングを通して明らかにされつつありますが、まだまだ全貌がつかめていないほど複雑な状況なんです」

やっぱゴミか! でも三浦さん、安心してください。こちとらゴミ拾いに関しては目下修行中の身。ま、ボクが海にたむろするヤンチャな若者やら釣り人やらをチョロっとにらみつけてやれば、海ゴミなんてすぐに出なくなるでしょうな! いやいや、そんなウットリした目で見ないでくださいよ! その気ないッスよ~、オレ。

「実はね、漂着ゴミの多くは街中などの内陸でポイ捨てされたものなんです」

ん?

「海岸に漂着しているゴミのうち、船舶や海岸などから直接投棄されるゴミは2割程度に過ぎず、8割前後は内陸で捨てられたゴミに由来すると多くの研究者は推測しています。つまり海岸に落ちている漂着ゴミは、もとをたどれば、ほとんどが内陸で捨てられた後に雨や台風などによって川に流入し、川を通じて海に流れ出たものなんです」

え、マジ? まさか、そのゴミが海の美観を乱すだけでなく、愛すべき動物ちゃんを傷つけてるってこと?

「ウミガメやアザラシに絡まる漁網などは、内陸ではなく海中で切れたり海上で不法投棄されたものでしょう。ただ、内陸から流れてくるプラスチックの破片やタバコのフィルターは、魚や鳥の死骸から検出されたり、人間が食べる海苔やキビナゴに混入しています。しかも、小さなプラスチックの破片は自然分解されにくくいつまでも海中に漂うため、海洋生物が誤飲してしまう。そして、その破片にはポリ塩化ビフェニルやノニルフェノールといった、工場排水から流出する環境ホルモンが付着しているといわれているんですよ」

えーと、ビビフェ? で、そいつがどんな結果を招くんですかね?

「漂着ゴミはそれ自体が海洋生物の生態系を狂わしている可能性があるだけでなく、環境ホルモンが付着した小さなゴミを魚が体内に取り込んでしまい、それらを人間が食べるということになりかねません」

こりゃ、海を守るどころか、むしろ食卓の安心を確保するためにゴミ拾いせねばならんのでは!? 急務! それ急務だよ!
わずか30分でこれだけのゴミが集まる。たばこの吸い殻やペットボルはいくら拾ってもきりがない。叫びたくなります

今日からオレも“海守ボーイ” 事件は海岸で起きている!



不法投棄されたゴミで海が汚れている。その事実は昔からなんとなく知っていたものの、どこかで他人事のような気がしていた。でも、実際は海岸の漂着ゴミの多くはボクたちが生活する街でポイ捨てされたものが川を通って流れ着いたものだという。

そこでボクは、知られざる漂着ゴミの実態を身をもって知るために、ボランティア団体「海守」の三浦さんに連れられて世界基準の漂着ゴミ調査なるものを体験することに。
「国際海岸クリーンアップ International Coastal Cleanup(ICC)」という、海のゴミ問題に取り組んでいる世界中の団体が用いている手法を使って、自分たちで漂着ゴミを分析してみようというわけだ。

日曜日の朝9時。羽田港近辺で集合。
プロが指定してきた場所なんだから、この辺りはとんでもない量のゴミが漂着する場所に違いない。頭のなかで地獄絵図を想像して自慢の赤ふんどしを引き締めるボク。

「いや、なんとなくですよ。この辺にはゴミがありそうだなーと思って」

え、ただのカン? 「まあ、ちょっと探せばすぐに見つかりますよ」。そうですか。
クルマで走ること10分。うん、いきなりあった! こりゃ大漁だ。そこは城南島海浜公園の近く、狭い河口に無数のゴミが溜まっている。こんなふうにちょっと探すだけで大量のゴミが見つかるような状況が、日本全国の海岸線に広がっているのかしら。さっそく、クルマを降りて調査開始せねば!

世界で75カ国以上が参加しているというICCの調査方法はいたって簡単。周辺のゴミを拾い集め、そのゴミの種類と個数をデータカードに記入すればいい。

「その調査結果が世界全体でまとめられます。拾うだけではなく、ゴミを数えて記録することで、ゴミに対する参加者ひとりひとりの認識を深められます。さらにその調査結果を、ゴミを出さない方策を立てるための資料として活用するんです」

というわけで、三浦さんとふたりで周辺のゴミを拾い集めること30分。あっという間に多種多様で汚くてくさいくさ~いゴミの山ができました。それでもまだ全体のゴミの5%くらいか? てかさ、この量、ふたりっきりでやるもんじゃなくね!?

「たとえば、ひとつの海岸を丁寧に調査しようとしたら、1000人がかりでも丸1日かかります。それでも、せっかくキレイにしたところで台風が来れば元通り。まさにゴミとのイタチごっこですね」

このやるせなさは、街のゴミ拾いの比ではない。だからこそ、ゴミを出さないための対策こそが肝心なのだよ。あ、おい、聞こえてるか!? そこで女子とクルージングしてるおまえらっ!! うおおおぉぉぉい!! まぁいい。ヨットとか別にうらやましくないし。ゴミ拾いの方がカッコいいし。オレいま輝いてるし。そうだよね、お母さ~ん
卵と間違えて魚が誤飲するという発泡スチロールの欠片。街でポイ捨てされた食品の容器などはこういう形で海にたどり着くのだ…
気を取り直して、調査再開。10メートル四方のエリアに限定して、そのなかからふたりで集めたすべてのゴミを、ひとつひとつ「ICCデータカード」に記入していく。その結果がこれだ。
《10メートル四方、実働30分の収穫》
1位:たばこの吸い殻   288
2位:飲料用プラボトル  170
3位:食品の包装・容器  47
4位:飲料缶       15
5位:ふた・キャップ    7
以下19品目

結 果的にICCが発表しているデータとおおむね変わらないランキングが完成した。ボクの実感値では、上位5品目は街のゴミ拾い活動で見かけるゴミの内訳とほぼ同じ。しかし海岸には上記以外に、硬化プラスチックと発泡スチロールの小さな破片や粒が、それこそ無限にあった。これらは自然分解されにくく魚の卵と酷似しているため、魚が誤飲する恐れがあるという。

よし、出元を突きとめて、まとめて送り返しましょう!
「落ちているゴミのバーコード や製造番号からある程度の販売エリアを割り出すこともできるのですが、それには途方もない時間と労力が必要です。まず、海の漂着ゴミにはこれだけ身近なゴ ミが多いという事実を認識して、これからは自分が捨てないのはもちろん、他人にも出させないことが大事になってくると思います」

それならボクは、日々のゴミ拾いを頑張るとともに、ポイ捨てするような輩には説教していきたいと思います。海には漂着ゴミのように目に見える問題だけじゃなく、水質汚染などの見えない問題もたくさんみたいだけど、まずはそこからです。 ひとたび正規の回収ルートから外れたゴミは、
街をさまよった挙げ句、最終的に海にたどり着くことも珍しくない。
これを知っているか否かで、ゴミに対する意識が
ずいぶん変わるのではないでしょうか。

さて、次回は海の見えない問題に迫ります。
小型船に乗ってお台場をグイグイ攻めてきましたよ!

それにしても、エコって意外と楽しいもんです。
疑問やオススメのエコ情報などありましたら、
ガンガン投稿してください!

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