生命保険はボクらを守ってくれるの?

第8回 保険会社ってどうやって選べばいいの?

2009.05.11 MON

生命保険はボクらを守ってくれるの?

会社の健全性、ソルベンシー・マージン比率、それと好みもあるのかも。
内容は確認しないと、無駄にお金を払う原因になりますね

投稿者:「z32」さん(東京都/女性/44歳)

ありがとうございます。

それにしてもこの不況な時代、会社の健全性は保険に入るときの重要なポイントになりそうですね。将来、自分に何かあったときのために保険に入るのに、保険会社の方が先に何かあったら洒落になりません。あと、z32さんは「ソルベンシー・マージン比率」というものも重視されているとのことですが、それって何? 会社の健全性と関係あるのでしょうか。

そこで今回は、保険に入るときに「保険会社をどうやって選べばいいのか」を調べてみました。

保険会社の安全性の尺度は格付けとソルベンシー・マージン比率



ボクらが保険に入ろうと思ったとき、まず直面するのが“保険会社選び”。保険を選ぶとき、保障内容を検討するのはもちろん重要だけど、肝心の保険会社がなくなってしまっては元も子もない。いざ保険を受け取る段になって保険会社が倒産なんかしちゃったら、もう最悪です!

そんなことにならないためにも、破綻(はたん)の心配が限りなく少ない保険会社を選びたい。そこで、『生命保険の「罠」』(講談社+α新書)などの著者である後田亨さんに聞いてみた。安全な保険会社って、どうやって見つければいいんですか?
不景気なこの時代、保険を契約するときは、保険会社の安全性も注意しておく必要がありそう…
「保険会社の安全性を知る目安に『格付け』があります。これは、第三者機関である格付け会社が、独自の調査をもとに、各保険会社の保険金支払い能力に関する財務内容を評価して発表するものです。AAAとかBB+とか、どこかで見たことがあるでしょう。金融庁はスタンダード&プアーズ、ムーディーズ、日本格付研究所など5社を指定格付け機関に定めていて、それらが発表した格付けは、ネットで簡単に調べることができます。当然、格付けの高い方が安全性は高いですね」

ああ、そうだったんですね! そこで早速、ネットで「生保 格付け」と入力して検索してみたところ、いろんなサイトで紹介されていることがわかった。スタンダード&プアーズの場合、最高評価のAAAは『保険契約債務を履行する能力はきわめて高い』、最低評価のCCは『保険契約債務を履行する能力はきわめて弱い。債務を全ては履行できない可能性が高い』という評価らしい。ちなみに、格付けがA以上だと一般的には安全だといわれている。ただ新しい会社の場合は格付けをまだ取っていない場合もあるのでは?

「生保の安全性を示すのに、格付け以外に『ソルベンシー・マージン比率』というものがあります。ソルベンシー・マージンとは“支払い余力”と訳され、ソルベンシー・マージン比率は、大災害など予測できないリスクが発生したとき、その保険会社にどれだけの保険金支払い能力があるかを数値化したものです。ソルベンシー・マージン比率は、

『自社で調達できる金額(※1)』÷『通常の予測を超えるリスク(※2)が発生した場合に必要になる金額×0.5』×100

という計算式で算出されます。この数値が200%以上あれば、その会社は理論上、安全性が高いといえます」

ソルベンシー・マージン比率の計算式では、「リスク発生時に出ていく金額」に「0.5」を掛けている(つまり半分の金額にしている)ことに注意する必要がある。戦争や大災害などのリスクはそう簡単には発生しないから、その金額を初めから半分にして計算するなど諸説あるが、理由はともかく、「リスク発生時に出ていくお金」を「自社で調達できるお金」で100%まかなえる場合、ソルベンシー・マージン比率は100%ではなく200%になる。ちなみに2008年度のデータによると、国内保険会社のソルベンシー・マージン比率は1000%を超えているところが多い。

「格付けにしても、ソルベンシー・マージン比率にしても、単に現在の数値を見るのではなく、ここ数年で数値がどう変わっているかの推移に注目することが重要です」

たとえばX生命とY生命で格付けが同じAだったとしても、前年のBBBから上がってAになったのと、AAAから下がってAになったのとでは、意味合いが違ってくる。もし下がってAになったのであれば、財務状況がそれだけ悪くなったわけだ。データは随時更新されているので、過去のデータを見たい場合は、ネットで探したり、図書館で経済誌のバックナンバーを調べたりすれば、多少手間はかかるが、推移を見ることはできる。

「ただし、これらのデータは絶対的なものではないことだけは肝に銘じておいてください。これらの基準をクリアしていても、過去に破綻した保険会社はあるんですから」

そうなんですね。格付け、ソルベンシー・マージン比率は保険会社の安全性を判断する重要な基準ではあるものの、あくまで目安でしかないと考えておく必要がありそうです。


※1 会社の純資産に有価証券・土地の含み損益や危険準備金・価格変動準備金といった留保利益性のある積立金などを加えた金額

※2 大規模災害や死亡率の悪化など保険金の支払いが増加するリスクや、資産運用に関するリスクなどが含まれる

保険会社選び注目すべき意外なポイントとは?



保険会社を選ぶとき、安全性を気にするのはもちろんだけど、それ以外にもチェックすべきポイントはあるのだろうか? 答えてくれたのは、『生命保険の「罠」』(講談社+α新書)などの著者である後田亨さん。

「保険会社を選ぶ際、安全性だけでなく、顧客満足度も重要です。参考になるデータのひとつが『解約失効率』。各保険会社のホームページで、ディスクロージャー資料を見ると載っています。解約とは文字通り保険契約を解消したこと。失効とは保険契約の効力がなくなることです。保険料が月払いなら、契約者が2カ月続けて保険料を支払わない(引き落としできない)場合、契約は失効します。つまり、解約失効率が低いほど、継続して保険に入っている人が多いということになります。もちろん、顧客満足度は解約失効率だけで判断できるものではありませんが、他社と比べて解約失効率が高い場合は、お客様が離れていく理由を確認したいですね」

この解約失効率は、

(『解約された契約高』+『失効した契約高』-『復活した契約』)÷年度はじめの保有契約高

という計算式によって算出される。一見ややこしいが、どのくらい保険が解約、失効されたかの割合がわかるというわけだ。

また、保険会社を選ぶときは、生命保険業界のトレンドを押さえておくのも有効だ。
日本の生命保険の販売チャネルは大きく分けて3つ。ネット生保は、シンプルな商品であることと、ネットで契約できる手軽さが好評で業績を伸ばしている
「近年は、販売チャネルに動きがあります。一社専属の営業担当者を抱えた既存チャネルが伸び悩む中、複数の保険会社の商品をサイトや店舗などで扱う代理店や、販路と商品構成を絞って低価格を実現したネット生保が注目されています。様々なチャネルを活用しながら、保険会社を絞りこむのもひとつの方法です」

なるほど。様々なチャネルから個別の会社なり商品なりを調べて、納得のいく保険を選ぶわけですね。

「最後にもう1つだけ。若い人はこれから保険会社と長いつきあいになるわけですから、いま会社が持っている資産などよりも、将来性を重視して保険会社を選んでみてはいかがでしょうか。様々な数値を参考にして選ぶのも確かに大事ですが、保険のお世話になる可能性が高い数十年後のことは結局、専門家でも正しく予測できているかどうかわからないわけですから」

将来性なんて、どうやって見極めればいいんですか?

「いろいろな保険会社のホームページを見てみたり、ビジネス誌のインタビュー記事などを参考にしながら、各社の保険に対する哲学、志のようなものを読み取ってみてください。そのうえで、自分はこの会社には共感できるというところに、契約という一票を投じてみる。保険会社とは、長い付き合いになるんですから、主観的ではあるもののこんな視点も大事ではないでしょうか。会社はそうやって、消費者が支え、育てていく側面もあると思うんです」

なるほど。最終的には自分の価値観に従って選ぶのも大切ってことですね。勉強になりました! 保険会社の安全性をチェックするのに役立つ「格付け」と「ソルベンシー・マージン比率」。どちらも現時点のデータだけでなく、そのデータの変化を読み解くことが大切だとわかりました。また、保険会社というと安全性ばかりが気になってしまいますが、「解約失効率」にも注目しておいた方がいいんですね。

それにしても、最終的には各社の保険に対する哲学を読み取って保険選びに生かすという発想はとても新鮮でした。今後は、各社の商品情報だけではなく、経営方針や経営者のメッセージなどもネットで参考にしてみようと思います。

今回、皆さんの投稿をきっかけに調査を進めることができました。ありがとうございます。今後も調査の参考に、生命保険に関する皆さんの疑問や意見を聞かせてください。お待ちしています!

取材協力:後田亨氏

関連キーワード

ブレイクフォト