今日から始める“エコモテ”生活

第5回 大事な“潮”の問題を捉えてモテる!

2009.05.19 TUE

今日から始める“エコモテ”生活


汚染という魔の手に侵された濁った海も、ボクが魔法をかければ、ほら、青い輝きを取り戻すよ! …なんて、ムリだよな イラスト/沼田光太郎

お台場で海洋観測クルージング! 東京湾、見た目はキレイだけど水質は!?



オレは海の守護神アサハラヒ。何者だろうが、海の調和を乱すヤツは許さねえ。もしもクラゲが大量発生しようものなら、すべて捕獲して横浜中華街に提供するだろう。赤潮が発生したときは、でかい棒で海をかき回す! 意味ないか!? なんか今回、相手がでかすぎてエコモテのイメージがぜんぜん湧かないんですけど!

ともあれ、午前10時、小型巡回船「はばたき」は予定通りに羽田を出港。

今回は東京海難救助隊というNPO法人の協力を得て、東京湾の海洋環境に触れるクルーズ体験をさせてもらうことに。一般市民への海洋環境の啓蒙や、海難事故の救助救援を助成することを活動の目的とするNPOだ。活動を通じて20年以上、東京湾を見守ってきた隊長の新井さんによると、実は近年、浮遊ゴミの数が減ってきているらしい。たしかに、ところどころゴミが集中しているポイントはあるものの、思っていたよりも海面は汚くない。

「20年前は本当にそこらへんゴミだらけでしたから、それに比べると近年の東京湾は本当にキレイになりました。ただし、見た目はキレイになってきているものの、水質もキレイになっているかどうかかはよくわかっていないのです。試しに、まずは海水の透明度を調べてみましょうか」

と、おもむろにヒモで括られた直径30cmほどの白い円盤を取り出す新井さん。それをスルスルと海に落としていく。
お台場にて海水の透明度を調査。白い円盤を海水に沈めていき、見えなくなる深さを測る
「この白い円盤がちょうど見えなくなる深さが、そのポイントの海水の透明度になります。ここ数年の東京湾の平均はおおむね3mで変わっていません。今、ここは2mなのでちょっと汚れてますね」

たしかに茶色く濁っている気がしますで、これはなに汚れ?

「茶色く濁っているのは水が汚れているからではなく、実はプランクトンが大量にいるからなんですよ。このプランクトンがさらに異常発生する現象がいわゆる赤潮です」

プランクトンって顕微鏡じゃなきゃ見えないサイズですよね。なに、この茶色が全部プランクトンってこと? うえ~、どんだけいるんだ! 気持ち悪いから早くお台場に行きましょ! レインボーブリッジに!(観光気分)

およそ30分後、お台場に到着。東京きってのデートスポットを逆側から眺めることに優越感を覚える暇もなく、今度は海面にクラゲが登場。1匹、2匹、3、4めちゃくちゃいるし! キモッ! 隊長、キモいッス!
「この時期にこれだけのクラゲが発生するのは珍しいですね。ということは、おそらくここにもプランクトンが大量発生しているはずです」

透 明度を測ってみると、ここも2m。わずか50m先の海岸に座って海を眺めている恋人たちには、プランクトンはもちろんこのクラゲも見えないんだろう な。おーい、ウットリしてる場合じゃないよ! 君たちが眺めている景色、拡大するとけっこうエグいよ! うん、そんなの関係ないよね! バイバーイ!
ゴミがない場所はキレイに見えるけど、海の中はプランクトンにとってのワンダーランドだったのだ!

まぁしかしだ。海中にプランクトンがたくさんいるってことは、それだけ魚のエサにも恵まれてるってことだから、それはそれでいいんじゃね?
え、なに? ダメ?
さまざまなポイントで海水を採取する。後日、専門家に分析を依頼。定期的に行うことで海水の状態を正確に把握することが目的

ボクらの生活排水が 海を真っ赤にしている?



海を取り巻く環境を知るために東京湾をクルーズしてみたら、プランクトンによって茶色く濁った海水や、それによって大量発生したクラゲを目撃。恋人たちが集まるお台場の海のリアルな光景を目の当たりにして、軽いショックを受けたボク。
このプランクトンがさらに大量発生する現象が赤潮だ。

「赤潮とは、植物プランクトンが大増殖することによって、海水の色が赤褐色や茶褐色、緑色に変わることをいいます。古くから続く自然現象のひとつとして知られていたものの、大きな社会問題として取り上げられるようになったのは、赤潮がより多くの漁業被害をともなうようになったからです。赤潮という名の他に、苦潮腐潮厄水などとも呼ばれているほどですから」(NPO法人東京海難救助隊の新井さん)

赤潮が発生すると、大量のプランクトンの呼吸により水中の酸素が減少し、そこに生息していた生物がいなくなって漁業に多大な影響を及ぼすこともある。プランクトンの大量発生による赤潮はやはり害なのだ。

東京湾では毎年40~50回もの赤潮が観測されるという。赤潮が発生しやすいのは、プランクトンの栄養となる窒素やリンが海水に大量に溶け込んでいるから。そして、その原因のひとつが、ボクらの生活排水なのだという。

「プランクトンの栄養となる窒素やリンは、工場排水だけでなく、家庭から出る生活排水や農地で使われる化学肥料などにも多く含まれています。たとえば米のとぎ汁にはリンが大量に含まれていて、浄水施設でも取り除くのが難しく、河川から流れ込んでプランクトン増加につながっているといわれています」

今日からパン食うか! という単純な話でもなく、実際のところ赤潮が発生するメカニズムはまだまだ解明されていないそう。
「赤潮を予防・防止するためには、まず第1に、海水域の富栄養化を防ぐこと。水質を汚染してしまうような生活排水や工場排水を出さないようにしていくことがもっとも大切です。現在は赤潮を予防するため、行政機関や各メーカーによって、プランクトン発生を防ぐ研究がなされています。私たち一般人としても、無洗米を選んでみたり、シャンプーや洗剤に含まれている成分に気を配ってみるなど、ひとりひとりの対策が、結果的には正しい方向へと導いてくれるはずです」

快適な生活の代償として赤潮が発生しているかもしれないということを、まずはボクらが認識することが大事なんですね。
潮についてはいろんな話題がありますが、赤潮についての問題を語れる男こそが、本当にやさしい男なのかもしれませんよ。 漂着ゴミの問題に迫った前回に引き続き、
海の水質問題にアプローチした今回のレポート。

漂着ゴミにしろ、プランクトンの問題にしろ、
ボクらひとりひとりの生活が
多少なりとも海に影響を及ぼしていることがわかりました。

本当に身の回りのすべての物事が環境問題に
つながっていることを痛感している今日このごろ、
次回はエコ界にとってもっとも重要なトピックでもある、
エネルギー問題について考えてみたいと思います。

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