生命保険はボクらを守ってくれるの?

第9回 保険の営業はどんな保険に入ってるの?

2009.05.25 MON

生命保険はボクらを守ってくれるの?


自分にとって有利な保険を知るために、保険の営業担当が入っている保険を聞いてみる。どんな保険に入っているかより、その保険を選んだ理由を確認することが大切

どの保険を選んだかよりその保険を選んだ理由を知る



保険に加入する際、少しでも自分にとって有利な商品を選びたいもの。保険の営業担当の提案を鵜呑みにしないためにも、彼ら自身が加入している保険を教えてもらうのはアリなんだろうか?

「営業担当が入っている保険を聞くのは、自分にとって有利な保険を知るひとつの方法ですね」。そう答えてくれたのは、『生命保険の「罠」』(講談社+α新書)などの著者である後田亨さん。自身も生命保険会社で営業職歴10年以上のキャリアを持つ。 「保険の営業は『私が見てあげますから、あなたの保険証書を持ってきてください』なんて、お客さんによく言いますよね。だったら、お客さんも『あなたが入っている保険を教えてください』と営業に聞いたっていいわけです。お客さんからすれば、ある程度自分のプライバシーを明かしているんだから、遠慮する必要はないと思います」

そうですよね。それでは、後田さんがどんな保険に入っているのかを教えてもらえますか?

「いいですよ。私が入っているのは外資系保険会社の『三大疾病終身保険』。これだけです」

後田さんはこの春、50歳になった。既婚で、子供はいない。奥さんは働いていて生活力があるから、自分に万が一のことがあっても、大型の死亡保障は不要と考えた。そこで、死亡保障は200万円だけ。ただし、がんと診断されたり、急性心筋梗塞・脳卒中で所定の状態が続いた場合に200万円の一時金が出る(いずれか1回のみ。その際、死亡保障はなくなる)。3年前に入って、保険料は月々8000円台。比較的利回りも高く、65歳で解約した場合、160万円ほどの解約金が出る。この160万円が老後の医療保険代わりにもなるという考え方だ。

「私の場合、ぜんそく持ちなので、入れない保険の方が多いんです。でも、三大疾病限定の保険には入れる。脳卒中と急性心筋梗塞については、給付条件が厳しいので、それらの保障はアテにしていませんが、がんと診断されれば一時金が出る。つまり私は、がんにかかるリスク、老後に入院するリスク、それと葬儀費用(笑)の3点に保険をかけているわけです。一時金200万円コースの『ガン保険』に入るより安いし、知られざる優良商品なんですよ」

さすが“保険のプロ”は、保険選びの目的が明確ですね。ちなみに子供がいた場合は、どうしますか?

「それでも年収の2~3年分の死亡保障でいいでしょう。その後も遺族年金は出ますしね」

残された家族が一生暮らしていける保険金の設定は不自然。遺族が、それぞれ新たな生き方を見つけるまで、時間稼ぎができるお金があればいい。それが後田さんの考え方だ。

「人はそれぞれ、家族構成も年収も、人生に対する考え方も違います。だから単に営業担当が加入している保険商品を知るだけではなく、なぜその保険を選んだのか、その根拠を聞くこと。商品にはトレンドもありますが、プロの選択には、より普遍的な根拠があるはずです。当然、私とは全く違う考え方もあるでしょうが、その主張のよりどころを確認することが、保険選びに役立つはずです」

なるほど、大切なのは、なぜその保険を選んだのかを理解することだったんですね。参考になりました。

プロに人気があるのはシンプルで安い保険



保険選びは十人十色。価値観や人生設計によって変わってくる。だから単に保険の営業担当がどんな保険に入っているかを知るだけでは参考にならず、なぜその保険を選んだのかを理解することが大切になる。

とはいえ、大まかな傾向みたいなものがあれば、保険選びのとっかかりになりそうなのだが…。

そこで、『生命保険の「罠」』(講談社+α新書)などの著者である後田亨さんに聞いてみた。“保険のプロ”に選ばれる保険の特徴ってありませんか?

「保険のプロといっても、人それぞれ考え方が違いますからねえ。私なんかは、保険は最小限にして、できるだけ貯金を増やすべきだというタイプ。逆に『保険料を節約したために、いざというとき、保障が不足気味というのは最悪!』と手厚い保障を求めるタイプもいますし…。プロに選ばれる保険の特徴といわれても難しいですね」

プロの間でも、よく議論の的になるのが医療保険。たとえば、入院日数は何日まで保障されるべきなのか。入院する人の8割以上は30日以内に退院しているので、60日まで保障されれば十分という人もいれば、本当に困ったことになるのは入院が長期化する場合なので長期入院に対応する保険の方がいいという人もいる。たとえば60日保障を120日保障にしても保険料はせいぜい15%増くらいなので、できるだけ長い日数を保障する保険を、という考え方がある一方で、わずかな確率のために余分なお金を払うのは無駄だろうという向きもある。

「言っていることは、どちらも間違いではありません。保険について深く考えれば考えるほど、正解はないことに気づきます。でも、保険を考えるための入り口として『プロが入る保険』の傾向を知りたいということなら、ビジネス誌などで実施している保険の特集を参考にしてみてはいかがですか」

そこで注目したのが、2009年3月14日号の『週刊ダイヤモンド』の「保険のムダ総点検」という特集。その特集ではファイナンシャルプランナーや保険ジャーナリストといった“保険のプロ”である17人に「プロが選んだ 自分が入りたい保険・入りたくない保険」という調査を実施している。

その調査によると、死亡保障で「上位を独占したのは、昨年誕生したインターネット生保2社。1位となったのは、12票を集めた『かぞくへの保険』(ライフネット生命保険)で、次いで2位は7票の『カチッと定期』(SBIアクサ生命保険)」(『週刊ダイヤモンド』2009年3月14日号の「保険のムダ総点検」より)という結果だった。後田さん、この結果からどんなことがいえるでしょうか。
ポイントはさまざまあるが、総じて言えるのは「シンプルな保険」を選ぶということ。それは、単に「安上がりな商品」を探したのではなく、保険に求めるものを吟味した結果だ
「『かぞくへの保険』も『カチッと定期』も、保障内容がシンプルで保険料が安い。そこが評価されたのだと思います。保険のプロは、もともと加入目的が明確なので、求める保障内容も絞られている。その結果、シンプルで価格の安い保険に人気が集まった。また、低価格を実現したネット生保という新たなビジネスモデルへの共感もあるでしょう」

保険の営業がどんな保険に入るかは、それぞれの家族構成や人生観によって違ってくる。ただ、プロは保険に入る目的を十分に絞り込めるから、概して、シンプルで価格の安い保険を選ぶ傾向にあるようです。 “保険のプロ”である営業は、保険に入る目的が明確。だから、単に彼らが入っている保険を知るだけではなく、その保険を選んだ理由を理解することこそ、自分の保険選びの参考になりそうです。

そして、保険加入の目的が明確なプロは、保障内容を絞り込めるので、シンプルな保険を選ぶ傾向にあることもわかりました。

「第7回 保険のことって誰に聞けばいいの?」の回とも共通しますが、やはり保障内容をどこまで絞り込めるのかが保険選びのポイント。

とはいえ、保障内容を絞り込むというのは難しい作業。皆さんも「保険の営業に××といわれて、なんとなく○○という特約をつけてしまった」「保険料が安いと△△が不安だ」など、生命保険に関する悩みや不安があればどしどしお寄せください。お待ちしています!

取材協力:後田亨氏

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