通帳残高が増えない理由

第12回 お金があれば幸せになれるの?

2009.06.15 MON

通帳残高が増えない理由


「お金さえあれば、幸せなのか?」そもそも本当の幸せとはなんなのか? たいして増えていない通帳残高を眺めながら自問自答。みなさんはどうですか? 今、幸せですか?

お金があれば幸せになれる?哲学的に考えてみたら…



通帳残高の数字を増やそうと、頭と体を酷使し続ける日々。そんなとき、フト思いました。

「そもそも、お金があれば幸せなのか?」

ボクたちにとって、お金はすべてじゃないけど、無一文でも幸せとはなかなか言い難いのも事実。かといって、お金があったって幸せじゃない人だってたくさんいます。

この哲学的な問題を哲学的に答えてもらうため、お茶の水女子大学文教育学部人文科学科教授であり、『週刊文春』の連載「ツチヤの口車」で知られる、哲学者・土屋賢二先生にお話を伺いました。先生! お金があれば幸せになれるんですか?

「まぁ、 幸せというのは1個の目的が達成されればいいわけじゃない。たとえば、愛、名誉、権力が手に入ったとしても、家族が病気だったら幸せとはいえないでしょ。ただ、その際にお金があれば、幸せの条件を満たしやすくなるということはありますよね。長生きも健康も手に入れやすくはなるし、若くてカワイイ女性と結婚することもできるかもしれない。恵まれない人たちへ寄付することもできますよね」

ってことは、やっぱり「お金がたくさんあれば幸せになれる!」ってことなんですか?

「お金でなんとかなることが幸せと思える人は、なれるでしょうね。でも、たとえば僕なんかは、それじゃあ幸せになれないんですよ。『哲学』や『音楽』、『笑い』なんかを探求することに幸せを感じるんです。そういう人は、そんなにお金はかからないし、お金があっても探求する時間がなければ不幸と感じるでしょう」

なるほど。では、そういった「自分の好きなことをやる時間」と、「たくさんのお金」の両方を持っていればより幸せになれるってことですね?
「誰でも好きなものはあるから、自分が面白いと感じるものを楽しむことです。そして、ただ面白いと思うだけでなく『ではなぜ面白いのか』と考えてほしい。その方向へ行くと、探求すべきことが必ず次から次へと出てきますよ」(土屋先生)
「それもそうとは限りませんよ。古代ギリシャ文学は、現在の学者から見ても非常に格調が高いんです。現代に比べれば生活は貧しいし、教育も受けていないはずなのに、古代の人の方がレベルの高い楽しみ方をしていたと思われます。レベルはともかく、我々も子供の頃の方が所有物も少なかったけれど、あの頃、メンコやベーゴマで味わった楽しさに匹敵するものは、大人では味わえないでしょう」

たしかに。ボクの子どものころは、かくれんぼとかドロケイで遊んでいるだけで、毎日が楽しかったなぁ(遠い目)。

「結局、お金があって選択肢が増えると、かえって深く味わうことができなくなるんですよ。だから茶道にしても、『お茶を美味しく飲む』という目的のために、わざと質素な建物を建てて、できるだけ選択肢を捨てるわけです。人間は、放っておくと選択肢を増やす方へいってしまう生き物なので、深く楽しむことが幸せと感じる人には、お金はあまりない方がいいかもしれませんね」

納得です。でも、ボクたち現代人にとっては、「好きなことを深く楽しむ」ことよりも、「お金に困らない安定した収入」を得ることが、とりあえずの幸せだったりするんですよね。

「でも、その安定というのも難しいんですよ。たとえば僕の場合、家庭からして安定していません。自分が気をつけていても、妻に何がキッカケで怒られるかわからないし、基本、怒られてます。相手が妻だけでも安定するのがこんなに難しいんです。健康状態や勤め先の会社に、何が起こるかわかったもんじゃないでしょう? 基本的に不安定なのに、安定が幸せと思っていると、安定がなくなった途端に不幸になってしまう。毎日の暮らしが安定するなんて、奇跡に近いんですよ。特にうちの妻が怒らないなんて奇跡に思えます。逆に探求の世界は、他のものにあまり影響されないですからね。一度、そういった探求の楽しみを知って、幸せの価値観が変われば、その世界は豊かだし、お金や安定に振り回されることもなくなりますよ」

いや~、なんとも深いお話でした。幸せに必要なのは、お金やら、安定よりも、自分の好きなことを探求すること。幸せのカタチは人それぞれかもしれないけど、探求に幸せを求めるのも、人によってはアリかもしれませんね。
撮影/山形健司 「月収100万円を超えると、もうどんなに増えても何も思わないですよ。ライブドアの社長時代、最後の1年の月収は約1000万円でしたけど、100万円を超えたあとは『どう使おうか?』というよりは、ただ『数字が増えていくな』ぐらいな気持ちでしたね」(堀江氏)

月収100万円で物欲から解放される?ホリエモンが語る「お金」と「幸せ」



人それぞれに幸せのカタチはあります。「お金はなくても、心は満たされている」なんて言っていても、やっぱりボクみたいな浅はかな人間は、お金があった方がいいんですよね。では一体、どれだけのお金があれば、幸せになれるのでしょう?

そこで、元ライブドア社長の堀江貴文氏に、「お金と幸せ」についてお聞きしました。堀江さんは、物欲というものからは達観されているように見えるんですがお金についての考え方って、昔と今で何か変わりました?

「田舎にいたころ、お金がなくて買いたいものも買えなかった時期があったんです。大学に入ってバイトを始めて、少しものを買えるようになったけど、まだ不十分で。でも、インターネットに関連するバイトを始めてからは、金の入りがよくなりました。23歳で会社を作ったころには、月収100万円ぐらいになったんです」

うおぉぉぉ! 23歳で100万円!(しかも、月収以外にも株による収入もあっただろうから)そのころは「スゲー! 俺、お金持ち!」みたいな興奮はありました?

「あまり気にならなかったですね。仕事が忙しくて、そっちの方が楽しかったんで。それに、月収100万円を超えると、買いたいものはだいたい買えるんです。一人で家賃20万円ぐらいの部屋にも住めるし、テレビも最新のもの、フェラーリだって買えた。『買いたい!』と思うものを一通り買ったら、『もういいか』みたいな感じになりましたね。まぁ、銀座とかで遊びだすと、もっとお金がかかりますけど、個人で消費するには月収100万円くらいで十分なんですよ」

ってことは、「お金で買える幸せ」という物欲的な幸せを求める人は、月収100万円というのが、ひとつの目安だと?

「そうですね。100万円稼ぐようになると、豊かさの指標が変わりますよ。そうなると、お金から解放されるというか、ある意味達観できますよね」
撮影/山形健司 堀江貴文。株式会社ライブドアの元代表取締役CEO。現在、証券取引法違反容疑で裁判中。3月に発売された最新著作『徹底抗戦』(集英社刊)は、ライブドア事件が起きる前から現在までを告白したドキュメント本。業界を揺るがす内容だ。
なるほどー。でも、ボクをはじめとしたR25.jpの読者世代は、月給が25万円ほどなんですよ。そうなると幸せには、ほど遠いですよねぇ。

「お金で実現できる幸せならば、それはお金を稼ぐべきでしょう。『金持ち父さん貧乏父さん』の著者のロバート・キヨサキさんは、月給25万円でまかなえるだけの生活を、ネズミがくるくると滑車の中で走る『ラットレース』と呼んだんです。月収が50~100万円ぐらい稼げるようになって、そのラットレースから抜け出せれば、全然違う世界が広がっていることに気づくんですよ。そのためには、会社を辞めて資産家を目指したり、株を買ったりして、リスクを取ることが必要になってくるんです」

物欲的な幸せにかられたボクらは、ラットなのかぁ(遠い目)。100万円稼いで、好きなものを手に入れられるようになって、達観しなくちゃ、ですね。

「でも大事なのは、実際に月に100万円稼いだり、通帳残高を増やすことではなくて、『自分が100万円を稼げる』という自信を持つことなんですよ。お金というのは信用を数値化したものですから。自信のある人には信用もお金もついてきます。だから、なんでもいいから自分に自信を持つこと。それこそ『現役で大学受験に合格した』でもいい。一度、成功体験をして身につけた自信は、一種の無形固定資産みたいなもので、なくなることはありませんから」

物欲的なボクが幸せになるためには、月収100万円の前に、まずは「自分は稼げるんだ!」という自信が必要ということ。う~ん、正直、その自信を得るにはまだまだ時間がかかりそうです。 そんなわけで今回は、お金と幸せについて考えてみました。

笑う哲学者と呼ばれる土屋先生は、
「お金よりも探求することが幸せだ」
「お金はあまりない方が幸せかもしれない」
とおっしゃいました。

時代の寵児と呼ばれた堀江さんは、
「月収100万円稼げれば、お金から解放される」
「一番大切なのは『自分は稼げる』と思える自信」
とおっしゃいました。

ふたりの賢人のお言葉は、それぞれボクの心に深く突き刺さりました。

みなさんは、どう思われましたか?

通帳残高を増やすことにとらわれてきたこの連載。
最後のテーマに、ある意味、ふさわしかったのではないでしょうか?

そんなわけで、「通帳残高が増えない理由」は今回が最後となります。
いままでご愛読いただき、ありがとうございました。

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