生命保険はボクらを守ってくれるの?

第12回 保険の受取人って誰でもいいの?

2009.07.06 MON

生命保険はボクらを守ってくれるの?

基本は親族だが第三者がOKの場合もある



生命保険の保険金の受取人を誰にするか? すでに結婚している人の場合、自分の死亡保険金の受取人はほとんど「配偶者」にしているはず。では、独身の人の場合、誰を受取人にすればいいのだろう。親? 兄弟? 親戚? …いま同棲中の彼女じゃダメなのかな?

そこで、『生命保険の「罠」』(講談社+α新書)などの著者であり、生命保険の事情に詳しい後田亨さんに聞いてみた。死亡保険の受取人って、誰を指定してもいいんですか?

「死亡保険の受取人になれるのは、原則的には『親族』です。『配偶者および二親等以内の血族』という厳しい規定を設けている保険会社もありますね。ただし保険会社によっては、婚約者や内縁関係の相手など、『親族以外の第三者』を受取人として認めてくれる場合もあります。詳しくは、契約しようと思っている保険会社に直接聞いてみるのがいいでしょう」

だったら、いま同棲中の彼女でも、死亡保険の受取人に指定できる場合があるんですね?

「認めてくれる可能性はあります。ただしその場合は、本当に生活を共にしているのか? 一緒に住んで何年になるのか?など、事前に厳しくチェックされることになるでしょう」

保険の受取人って、どうしてそんなに厳しくチェックされるんですか?

「不正を避けるためです。もちろん、親族以外の第三者を受取人に指定したからといって、それがすぐ不正に結びつくわけではありません。しかし、多くの人から保険料をお預かりしている以上、保険会社としてもリスクはできる限り避けようと考えるものなのです」

なるほど。そうだとすると、単に“つきあっている”彼女という程度の関係では、とても受取人に指定できませんね。

「難しいでしょうね。ただし受取人については、契約時にそれほど深刻に思い悩む必要はありません。というのも、受取人は契約後にいつでも変更できるのですから」

えっ、そうなんですか?

後田さんによれば、生命保険の主要な関係者は、「契約者」「被保険者」「受取人」の3人。「契約者」は実際に保険料を払う人、「被保険者」はその保険の対象となる人、「受取人」は被保険者に何かあった場合に保険金を受け取る人。これらは保険契約時に「誰にするか」を決める必要があるが、被保険者の同意があれば、「契約者」と「受取人」は契約後に何度でも変更可能なのだという。
第三者を保険金の受取人にできる保険会社もあるが、基本的には「親族」にしているところが多い
「たとえば、独身の間は自分の親を受取人にしておいて、結婚したときに受取人を奥さんに変更すればいいんです。受取人の変更には被保険者の同意が必要ですが、あなたが契約者であり、被保険者である場合、手続きは驚くほど簡単です。実際、R25世代の人では、結婚を機に受取人を奥さんに変更する人が多いんですよ」

保険の受取人の規定は、保険会社ごとに違いがあるので事前に確認する。受取人は契約の途中でも変更できるので、結婚などで家族構成が変わったらそのつど考える。ポイントは2点ということですね。

契約内容によって保険金の税率が変わる!



死亡保険の契約時には、受取人を誰にするか決めなくてはいけない。ただし、契約後の変更も可能なので、独身のうちは親を受取人にしておいて、結婚後に受取人を妻に変更するケースが多いらしい。『生命保険の「罠」』(講談社+α新書)などの著者である後田亨さんによれば、最近は、熟年層で保険の受取人を配偶者から子供に変更するケースが増えているという。

「たとえば、死亡保険を遺産代わりに活用する例があります。資産が持ち家しかなくて、長男に家を相続させると、次男の取り分がなくなってしまうようなケースです。家を売ったお金を折半する方法もありますが、それでは家が残らない。そこで、親子間の事前の取り決めにより、死亡保険金の受取人を次男に指定するのです。これなら、次男にも相応の財産が残せて、家を売らずに済みますから」

ただし、受取人を変更したときは、新たに受取人になった人にその事実をきちんと伝えておくことが大切。というのも、死亡保険金に限らず、保険金は受取人が保険会社に請求しない限り、一切支払われないからだ。

「よくあるのが、保険金の受取人を奥さんにしておいて、離婚後に受取人を変更し忘れているケースです。2人が音信不通になっていたりすると、前妻が前夫の死亡に気付かず、結果的に保険金の請求が行われないことがあるんです」

もうひとつ覚えておきたいのは、死亡保険金といえども税金がかかるということ。契約者(毎月の保険料を支払う人)・被保険者・受取人の関係によって、税額には大きな開きがあるという。
契約者、被保険者、受取人の関係によっては、保険金にかかる税金が贈与税となり、税率も高くなる
「ご主人をAさん、奥さんをBさん、そのお子さんをCさんとします。一般的なのは、契約者と被保険者がAさんで、受取人がBさんというケース。この場合、Bさんが保険金を受け取るときには『相続税』がかかります。次に、契約者と受取人がBさんで、被保険者がAさんというケース。保険金は一時所得と見なされ、『所得税』がかかります。さらに、契約者がBさん、被保険者がAさん、受取人がCさんというケース。今度は、保険金に『贈与税』がかかってしまう(BからCへの贈与とみなされるため)。日本の税制では税率が相続税→所得税→贈与税の順に高くなっていますから、贈与税の対象になるケースはできれば避けたいですね。なお、補足しておきますが、入院の際など、被保険者に支払われる保険金は非課税です」

たとえば、親があなたのために保険をかけていた場合(契約者=親、被保険者=あなた、受取人=親)。その保険を結婚を機に、受取人をあなたの妻に変更したとする。その場合は、(契約者=親、被保険者=あなた、受取人=妻)となり、このままでは保険金は贈与税の対象になる(親から妻への贈与とみなされるため)。それを避けるためには、受取人を妻に変更した時点で、契約者も親からあなたに変更しておく必要があるのだ。

契約者、被保険者、受取人の関係で、保険金にかかる税金が変わってくるなんて思いもしませんでした。受取人を誰にするかだけでなく、保険金にかかる税金の種類にも注意しようと思います。 不正防止のために保険の受取人には厳しい規定がある生命保険。同棲中の彼女であっても、法律上では他人にあたる人を受取人にするのは難しそうです。

また、契約者、被保険者、受取人の関係で保険金にかかる税金の種類が異なるなんて思ってもみませんでした。

保険に入っただけで安心するのではなく、ライフステージが変わったらこまめに保険の内容を見直すことが必要なんですね。

ホント、保険選びって、素人に難しいことがたくさん。読者の皆さんが悩んだことをぜひ教えてください。よろしくお願いします。

取材協力:後田亨氏

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