急な眠さで本がパタン…というときも安心

はさみかえ不要な不思議なしおり「スワンタッチ」ってどんなもの?

2009.07.28 TUE


このようにスワンタッチは本の最終ページに貼って使う。くちばしのように見える部分がページを自動的に押さえてくれる
読書に集中しすぎてあわてて電車から降りるときにしおりをはさみ忘れてしまったり、ついウトウトして本をパタンと閉じてしまったりして、次にその本を開くとき「あれ、どこまで読んだっけ?」と、わからなくなる経験ってしたことありませんか? しおりをはさみ忘れても、自分の読んだ最後のページをぱっと開く地味なことだけど、読者好きにはけっこううれしかったりします。

そんなちょっと便利なことを実現しているのが「スワンタッチ」というしおり。しおりの裏側の両面テープをはがして本の最終ページに固定し、長く伸びた「首」の部分を読み始めのページにセットすれば、いま読んでいるページにどこまでも「首」の部分がついてきてくれる。まさに、はさみかえ不要のしおりなのだ。

こんな便利なものを開発した人に、ぜひとも会ってみたくなった。で、パッケージに印刷されていた製造元の「タカハシ金型サービス」に電話してみると、「いつでも取材にお越しください」とのこと。表記の住所を訪ねていくと、そこは「高橋」さんの仕事場兼自宅だった。そう、開発者は高橋健司さん(68歳)という、一人の金型職人だったのだ。

高橋さんはキャリア44年の金型職人だが、現在の本業は「金型磨き」。様々な形のプラスチック製品は、「金型」と呼ばれるたい焼きの型のようなものにプラスチックを流し込んで作られる(高圧で流し込むので「射出成形」という)。その金型は金属板を機械で彫って作るのだが、彫ったままだとバリが出ていたりして、表面がなめらかではない。そこで高橋さんのような職人が、金型に直接ヤスリや砥石をあてて、手作業で表面を整えるのだ。

「このスワンタッチは、一見プラスチックを金属で打ち抜いて作ったように見えますが、実は金型による射出成形で作っています。深さ0.25ミリメートルの金型で両側からサンドして、1平方センチメートルあたり1トンの圧力で材料のポリプロピレン(プラスチックの一種)を流し込み、厚さ0.5ミリメートルの製品に仕上げているわけです。圧力をかけるのにはわけがあって、製品に弾力性が生まれるんです。単純な打ち抜きのプラスチックのように、折り曲げてパキンと割れることはありません。だから、ページをめくるときもしなやかに曲がる。また、すべての断面に丸みをつけているので、指でふれてもなめらかで、ページをめくるとき紙を傷めません。材質に弾力をもたせ、フチの部分に丸みをつけるには、射出成形で作るしかありませんでした。射出成形でこの薄さにするのに、けっこう難しい技術が使われているんですよ」(高橋さん)

そうだったのか! 一見、プラスチックの下敷きを切り抜いただけのように見えるけど、そんなスゴい技術が詰まっていたとは。モノ作り国家ニッポンなんていう言葉をよく聞くけど、こういう実例に出会うとなんだか誇らしい気分になれる。たかがしおりにもこれだけ情熱と創意工夫を注いでいるなんて。ちょっと元気がもらえた気がします。

関連キーワード

注目記事ピックアップ

 

編集部ピックアップPR

ブレイクフォト