生命保険はボクらを守ってくれるの?

第15回 保険選びでよくある失敗とは?

2009.09.14 MON

生命保険はボクらを守ってくれるの?

「終身」「年金」など保険の名前で早合点しないこと!



生命保険の説明って、何度聞いてもイマイチよくわからないですよね。でも「皆さん、この保険に入ってますよ」と聞かされれば、「そんなものかな」と思って契約してしまう。

現在30代後半のYさんも、10年ほど前、営業担当にある保険を勧められ、内容もよくわからずに契約してしまった一人。でも、契約した後に「そんな保険だったの!」と後悔したそうです。

・Yさんの失敗談
月々1万円ちょっとの保険料で、受け取れる死亡保険金は3000万円。しかも終身保険だから、保障は一生涯にわたって続く。これはいい!と思いました。とにかく、自分が死んだとき家族に3000万円残せるなら、貯蓄代わりにもなるのかなと思って。でも、それはボクの大きな勘違いでした。入ってから保険に詳しい人に聞いてみると、3000万円の保険金が支払われるのは、60歳までに死亡したときだけ。60歳を1日でも過ぎてしまうと、支払われる保険金はたった100万円。確かに、何歳で死亡しても保険金はいちおう支払われるから、そういう意味では『終身保険』という看板に偽りはないんだけど…。釈然としない気分です。

「時々、Yさんのように『終身保険』という言葉を自分に都合のいいように解釈してしまう人がいますね」。そう教えてくれたのは、『生命保険の「罠」』(講談社+α新書)などの著者であり、生命保険事情に詳しい後田亨さん。
保険の場合、ネーミングだけでその内容をわかった気になってはいけない。保険の設計書を隅々まで読み、落とし穴がないか気をつけよう
現在、多くの人が入っている生命保険のひとつに、Yさんが契約したような「定期特約付終身保険」と呼ばれるタイプがある。ある一定の年齢までに死亡すれば数千万円の保険金が支払われるという「定期特約」と、何歳で死亡しても100万円程度の死亡保険金が支払われる「終身保険」がセットになったものだ。

「『定期特約付終身保険』という名称だと『終身保険』がメインのようでしょう? 実際、保険の設計書には『3000万円』という金額が最初に出ているから、生涯にわたって3000万円が保障されると誤解してしまいがち。でも、現実に生涯保障されるのは100万円程度ですから、“終身特約付定期保険”と呼んだ方が、間違いが少ないと思うんですが・・」(同)

「終身保険」というネーミングで、高額の保険金が“ずっと、一生涯変わらず”に約束されている保険だと勘違いするわけですね。

「ただ、厳しいようですが、Yさんも甘いです。仮に25歳から60歳まで保険料を毎月1万円払うと、総額は1万円×12カ月×35年で=420万円です。それで、保険会社が『420万円いただくからには、万が一の場合、いつでも必ず3000万円支払います』と約束するでしょうか? 私だったら絶対にしないですよ(笑)。しかも、入院時の保障なども付いているわけです。だったら3000万円の保障がずっと続くはずがない、貯蓄代わりに残るお金も期待できないだろうと、そう考えるべきなんです。そんな感覚は、ぜひ身につけてほしいですね」(同)

また後田さんによれば、「定期特約付終身保険」には、死亡保険金が従来のように一括で支払われるのではなく、年金のように毎年数百万円ずつ支払われるタイプの保険もあり、契約者が誤解しているケースがあるとのこと。

「こちらも“年金支払い”という言葉から、将来に向けて、お金を積み立てている部分がある“貯蓄性もある保険”と勘違いしてしまう人がいます。嘘みたいな話ですが、1人や2人ではないんです。“年金”といっても“保険金が分割払い”されるだけです。たとえば、被保険者が60歳までに死亡しなければ数千万円の保険金は受け取れないのです。結局、保険についていろいろ説明されても、『終身』とか『年金』とか、自分の気に入った言葉にだけ反応して、自分に都合のいいように解釈してしまう。そこに大きな落とし穴があるのです」(同)

保険内容を検討する場合、耳あたりのよい言葉に安易に飛びつかないこと。保険選びで失敗しないためには、それが保険商品のなかで何を意味しているのかを慎重に見極める必要がありそうです。

予算だけ決めてよくわからない保険に入っていませんか?



保険の名称のなかに「終身」や「年金」など、ちょっと耳あたりのよい言葉が交じっていると、自分に都合のいいように保険の契約内容を解釈してしまう。それが保険選びで失敗する原因のひとつのようだが、それ以外ではどんなことに気をつけたらいいのでしょうか。

「予算だけを決めて、よくわかっていないのに保険に入るのも要注意ですね。たとえば2000年以降、生保の主力商品になってきた『利率変動型積立終身保険』なんかは誤解されている方がけっこういます」と語るのは、『生命保険の「罠」』(講談社+α新書)などの著者である後田亨さん。

利率変動…? それって、どういう保険なんですか。

「基本的には、従来の『定期特約付終身保険』と同じです。ただし、『定期特約付終身保険』では“終身保険”部分にまわしていた保険料を、『利率変動型積立終身保険』の場合は『アカウント』という形で積み立てていくところに特徴があります。アカウントに積立金がある程度貯まったら、そのお金で保障を大きくしてもいいし、現金を引き出して旅行などに使ってもいい。さらに将来は「終身保険」を買うこともできる。つまり、アカウントはより“自在性を高めた積立部分”という触れ込みなんです。アカウントではなくファンドという名称で、似たような商品を扱っている保険会社もあります。でも、ここまでの説明で本当に理解できていますか?」(同)

う~ん…なんとなくですが、積み立てもできて、なかなか良い保険のように思えるのですが…。
様々な使い方ができる『アカウント』だが、有効に活用するにはそれなりの金額を貯めておく必要がある。当然、その分だけ保険料は高くなる
「正直に答えてもらっていいんですよ(笑)。同業者でも『難しい』という人がいますから。新しい特約もたくさんセットにして売られていますしね。ただいずれにしても、この保険を使いこなすには、毎月ある程度まとまった金額を『アカウント』に積み立てていく必要があります。その分、毎月の保険料が高くなります。だから現実問題として、『保険料をできるだけ抑えながら大きな保障がほしい』という人だと、ほとんど積み立て部分にはお金が回っていないことが多いですね。やっぱり、保障も積み立ても…と、いろんな機能を持とうとすると、それだけのお金がかかるということなんですよ」(同)

なるほど、そういうことなんですね。

「ほかにも、将来、アカウントで購入する終身保険は、その時点での利率で計算しますから、契約時には、いくらになるのか誰にもわからないんです。ただ、そこまで理解して加入されている方とお会いしたことはないですけどね(笑)」(同)

そうなんですか! どうしても「積み立て部分」や「新しい特約」に反応してしまいがちな気がするんですが、危険かもしれませんね。

「積み立て機能も、新しい特約もいいと思うんです。ただ、様々な機能がついた保険は、どうしても構造が複雑になります。ですから、担当者に話を聞いたときは、それなりに理解したつもりになるんですが、ここでも記憶はなぜか “自分に都合がいい方向”に書き換えられていたりする(笑)。株を買っているのに、元本が減らない預金をしているイメージになるような感じでしょうか。株がダメって言いたいんじゃなく、目的を明確にすることが大切です。保険の場合なら、あらかじめ自分が理解できる範囲でシンプルなものを選ぶのがいいかもしれませんね」(同)

保険というと、どうしてもいろいろな保障をつけて安心したい気持ちになりますが、結果、保険が複雑になり、自分がどんな保険に入っているのかがわからないようでは本末転倒。保障内容をキチンと把握できるように、保険はシンプルにしたいと思います。 「終身」「年金」「貯蓄」「積み立て」という単語になんとなく元が取れそうな気分になったり、「自由に見直しができる」と聞いて魅力的に見えたりして、保険って確かにイメージ先行で契約してしまう危険がありそう。そのことに気づくことができただけでも、今回は大きな収穫でした。

これからは、キチンと理解してから保険は契約しようと思います。ただ、そのために保険はもっとわかりやすくなってほしいですね…。

ところで、皆さんも保険に契約した後「しまった!」という経験はありませんか? 今後の調査の参考のために、ぜひ教えてください。よろしくお願いします。

取材協力:後田亨氏

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