カラダ資本論

第9回 ビジネスマンも歯が命?

2009.10.02 FRI

カラダ資本論

私が好きな異性の声はエッチな感じの声です(笑)。エッチの時の声ではないですよ! 歌手のセクシーな声を聞くと、子宮がキュンとするというかなんというか私だけでしょうか??

「maimai」さん(海外/27歳/女性)

いえいえ。男性の声が気になるというのは、maimaiさんだけではありませんよ! 他にも「声が素敵な男性かどうかで自分の中での評価が二割増です」という女性がいましたし、かくいう私(30代・女性)もちょっと鼻にかかったような、セクシーボイスの男性には惹かれてしまいます(私の友人にも同様の意見多数!)。女性は、男性が思っている以上に、男性の「声」を気にしているんですよねぇ。

さてさて、今回のテーマは「歯」。食事をするときに欠かせない歯ですが、実は、全身の健康や精神の安定にもとても重要な役割を果たしているのだとか。
上は自給自足の生活をしているブータン人の歯(30代)。大臼歯は直立していて、よく噛んでいるからきちんと摩耗しています。U字型の大きなアゴも理想的。 下は10代日本人女性の歯。小臼歯(奥歯と前歯の間の歯)が内側にくびれ、奥歯も舌側に倒れているうえに摩耗していません。こういう人は下アゴが小さく、体のゆがみも目立つそうです。

「噛む」よりも大切な歯の役割とは?



今回のテーマは「歯」ですが、虫歯や歯周病などの話ではありません(口腔衛生意識が高まった今の日本では、虫歯患者は激減しているそうです)。様々な病気の原因となりうる「噛み合わせ」について検証してみます。

『体調不良は歯で治る!』(角川oneテーマ21)によれば、肩こり、腰痛、慢性疲労、うつ病、高血圧などなど、あらゆる病気に「歯」が関係しているのだとか!? そこで、この本の著者である歯科医の丸橋賢先生にお話を聞いてきました。「歯は食べ物を噛み砕くための大事な器官であると同時に、全身の姿勢をコントロールする特殊な関節のようなものだといえます。人の頭部は約5kgもありますが、その重さを脊柱で支えられるように調節しているのが上顎歯列と下顎歯列の噛み合わせです」

噛み合わせ異常の一番の原因は、よく噛まない食生活。きちんと噛まないでいると、本来上向きに育つべき歯が舌側に傾斜したり、奥歯(大臼歯)が発育不足で低くなったりするため、正しい位置で噛むことができなくなるのです。

噛み合わせが狂うと、下アゴがズレます(頭部に固定されている上顎骨は動きません)。そのズレがほんのわずかでも、頭部を支えるために体が傾いてしまいますから、体が倒れないよう無意識のうちに首、肩、腰、背骨でバランスをとろうとするのだそうです。そういったゆがみが肩こりや腰痛の原因となり、ひどいときには神経や血管を圧迫して様々な病気を引き起こすのだと、丸橋先生はいいます。
極端な猫背の若い男性。この男性は歯全体が舌側に倒れていて、十分発育もしていないそうです。歯が正しく頭部の重心を支えきれていないため、頭が前に傾倒し、猫背になっています。
では、自分の噛み合わせが正しいのかどうか、どうすれば分かるのでしょうか?

「軽く口を閉じて鏡の正面に立ってみてください。その状態で、左右の頬の状態と、左右の口角が床に対して水平かどうかをチェックしてください。頬のどちらかが膨らんでいたり、どちらかの口角が曲がっていたりするなら、噛み合わせが正しくないということ。そういう人は、膨らんでいる頬の反対側の肩が下がっているはずですよ」

丸橋先生にチェックしてもらったところ、私は左頬が膨らんでいて、右の口角が下がり気味。右肩も下がっています。丸橋先生によれば「ウシジマさんはそれほどひどくないけれど、肩こりはひどいでしょう」とのこと。確かに、肩こり・腰痛ともにひどいです。でも、それはパソコンに向かいっぱなしのライターという職業ゆえだと思っていました。

で、「一時的なものですが、矯正してみましょうか」といわれ、正しい噛み合わせになるように調整してもらったスポンジを奥歯で噛んでみる。すると、下がっていた口角も右肩も見事にまっすぐ! 首や肩のあたりも、心なしかスッキリしているような。

「正しい噛み合わせになると心身ともにスッキリするし、カラダに負担をかけずに動けるようになります。ゴルフのスイングをしてみるとよく分かりますが、正しい噛み合わせになるだけで、重心はセンターになるし、テイクバックも数10cm伸びるようになるから、飛距離が伸びてまっすぐ飛ばせるようになりますよ」

「なんかいつもカラダがだるいなぁ」という人は、鏡の前に立って自分の噛み合わせをチェック。そのダルさの原因、噛み合わせにあるのかもしれませんよ。
丸橋全人歯科・院長の丸橋賢(まるはし・まさる)先生。文中では「噛まない食生活による噛み合わせの異常」だけを取り上げましたが、丸橋先生は「虫歯治療の際、噛み合わせを無視した被せ物をされたせいで、噛み合わせが狂ってしまうケースも多い」と話していました。

歯医者に行かなくても噛み合わせは矯正できる?



皆さん、自分の「噛み合わせ」が正しいかどうか、気にしたことはありますか? よほどひどい場合は矯正したりするけれど、ほとんどの人は自分の噛み合わせのことなど気にかけていませんよね。

でも、イマドキの若い人は、かなりの割合で噛み合わせが正しくないのだとか。しかも、噛み合わせのズレがわずかでも、それによって全身のバランスが崩れて、様々な病気を引き起こす恐れまであるのだそうです。そういう人は病院で矯正する必要があるのでしょうか? 歯科医の丸橋賢先生に聞いてみました。

「ひどいときは歯医者で矯正する必要がありますが、意識して生活するだけである程度は矯正できますよ。そもそも若い人たちの噛み合わせが悪いのは、子どものころからやわらかいものばかり食べてきたから。本当は子どものうちに硬いものを食べていればいいのですが、今からでも、硬いものを左右均等によく噛むようにすることが大事です」

昔の日本では、お米も硬めで、おしんこや魚の丸干しなど、よく噛まなければならない食事が中心でした。ところが、欧米型の食事やファストフードが増え、日本人の噛む力は激減。1回の食事で噛む回数は、昔は3000回以上だったのに比べ、今は600回程度になってしまったのだそうです。

といっても、いきなり昔のような食生活にするのは無理。少し硬めに炊いたお米、ザックリと大きめに切ってサッと火を通した野菜炒め、硬めのお肉(「口の中で溶けちゃう」なんていう霜降り肉はNG)など、いつもの食生活の中でよく噛む食材を取り入れるようにすればいいそうです。居酒屋だって、軟骨やエイヒレ、おしんこなど、噛むことにいいメニューはいくらでもありますよね。
歯と全身の不調に関する著書の数々。『退化する若者たち 歯が予言する日本人の崩壊』『心と体の不調は「歯」が原因だった!』(いずれもPHP新書)、『体調不良は歯で治る!』(角川oneテーマ21)。
丸橋先生によれば、噛み合わせのせいで全身が歪んでしまうのとは逆に、全身の姿勢を正すことで噛み合わせを矯正することも可能なのだそうです。

「自分ではいつも同じ場所で噛んでいるように感じているかもしれませんが、体の姿勢によって微妙に噛んでいる場所は変わり、全身のバランスをとるようにしています。試しに首を右に曲げたとき、左で曲げたとき、歯のどの部分に力を入れているか確かめてみてください。それぞれ違う場所に力が入っているはずですよ」

いつも脊柱をしっかりと伸ばして、頭をまっすぐのせるように意識する。そして、カバンや荷物などを持つ時間が左右同じくらいになるように持ち替える。足は組まない方がいいけれど、どうしても組んでしまう場合は、左右同じ時間だけ組む。

電車や映画館などでは、右隅ならいつも右隅というように、無意識に同じ方に座ってしまうものですが、いつも同じ側に座っていると体も同じ方に傾いてしまいがち。あえて反対側に座るように意識することが大事なのだそうです。

要は、左右のバランス。どちらかにゆがんでしまったカラダが正しい姿勢になれば、自然に噛み合わせも良くなってくるといいます。

そのためにも、まずはよく噛むこと。よく噛むと、脳が活性化するそうですし、ダイエットにもなるといいますよね。次の食事から、さっそく実践しちゃいましょう! 今回お話を伺った丸橋先生は、世界中を回って、各国の食生活と噛み合わせの調査を行っているそうです。その調査によると、日本ほど「歯の退化」が進んでいる国はないのだとか。

グルメ番組では「やわらかくておいしい」「噛まなくても口の中で溶ける」が連呼され、霜降りの肉が最高級とされるなど噛まない食材がどんどん増えている日本。同じように肉を食べていても、アメリカのステーキや韓国の焼き肉はもっと硬くて、よく噛むようになっています。

やわらかいお肉、とろけるようなお刺身など、どれもおいしくて大好きなのですが、この「やわらかさ」はちょっと危険なおいしさだったようです。

皆さんは意識して硬いものを食べるようにしていますか? 「オススメの硬い食べ物」「噛み合わせのせいで困った体験」など、今回の感想と一緒にメッセージをお送りください。もちろん、カラダに関する様々な疑問・ご意見などもお待ちしております!

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