生命保険はボクらを守ってくれるの?

第20回 離婚!保険の受取人は自由に変更可能?

2009.11.24 TUE

生命保険はボクらを守ってくれるの?

保険の受取人はいつでも変更可能 ただし誰にでも変更できるわけではない



結婚している男性の場合、死亡保険の受取人は妻にしている場合がほとんどだと思います。ただ、厚生労働省による2008年人口動態統計によれば、2008年に結婚したカップルが73万1000組なのに対して、離婚したカップルは25万1000組。けっこう離婚も多いんですね。もし離婚した場合、受取人は妻からほかの人に勝手に変更してしまっても問題ないのでしょうか?
受取人を変更するのに受取人自身に許可を取る必要はない。契約者が自分なら、受取人を妻から子供にこっそり変えてしまうことも可能!?
「保険の契約者であれば、受取人の同意がなくても、受取人を自由に変更できる場合がほとんどです。受取人の変更は契約者に認められた権利ですから、元妻だからといって許可を求める必要はありません(※)」

そう答えてくれたのは、『生命保険の「罠」』(講談社+α新書)などの著者であり、生命保険の事情にくわしい後田亨さんです。

「ただし、受取人を変更する場合、誰を指定してもいい、というわけにはいきません。保険金詐欺などの犯罪を未然に防止するため、保険会社は親族以外の第三者が受取人になることを基本的には認めていません。受取人に指定できるのは、原則的に配偶者か親族。特に死亡保険の場合、受取人は配偶者か二親等以内の血族のみと厳格に定めている保険会社もあります」

配偶者か二親等以内の親族というと、具体的には妻・両親・兄弟姉妹・祖父母・子・孫まで。でも、籍には入っていなくても“同棲中の彼女”を保険金の受取人にすることはできたはずですよね。

「本当に生活をともにしているのであれば、認めてくれる可能性はあります。保険業界ではよく『愛人はNG、内縁の妻はOK』という言い方がされています。正式に結婚していなくても、内縁関係なら事実上の婚姻と認められ、保険の受取人に指定できるケースもあります」(同)

愛人と内縁の妻とでは、どこが違うのでしょうか?

「内縁関係とは、戸籍上入籍していないだけで、お互いに結婚する意思があり、共同生活を営んでいて、社会的には夫婦と認められている関係のこと。最近では『事実婚』ともいわれます。ただ、内縁の妻を受取人に指定した場合は、本当に一緒に暮らしているのか、一緒に暮らして何年になるかなど、保険会社から調査される可能性があります。一方、単なる愛人では、お互いに婚姻の意思があるとはいえませんから、保険の受取人にすることは難しいでしょう」(同)

長い人生、この先何が起こるかわかりません。保険の受取人で頭を悩ますなんてあまり考えたくありませんが、万が一のためにちゃんと覚えておこうと思います。


※ただし、ごくまれに契約者が夫でも、妻が被保険者であり受取人でもある、というような場合、被保険者である妻の同意が必要になるケースがあるそうです。
受取人の変更はお金が絡む問題だけに慎重に行おう。また、受取人は誰にでも変更できるわけではなく、保険会社によって微妙に考え方が異なることもあるのでキチンと確認しましょう   

受取人を変更して起こるトラブル 変更しないで起こるトラブル



妻帯者が離婚した場合、受取人を前妻から別の人に変更することは可能。その際は受取人だった前妻の同意を得る必要もないんだとか。

ただ、自分がいつの間にか保険の受取人ではなくなっているのを知ったら、怒る妻もいるのでは? もらえるものだと思っていた保険金が手に入らなくなるのですから。受取人を変更した場合、そういった離婚をめぐる保険金のトラブルって起きていないのでしょうか?

「その種のトラブルもないわけではありませんね」と語るのは、『生命保険の「罠」』(講談社+α新書)などの著者である後田亨さんです。

「たとえば、離婚してすぐ別の女性と再婚した夫が、その直後に急死したケース。元妻が保険会社に保険金を請求しても、ご主人が受取人を再婚相手に変更していると、元妻には一銭も支払われません。ご主人は、元妻との結婚期間中ずっと保険料を払い続けてきたので、元妻が権利を主張するのも心情的には理解できます。しかし、一般に保険支払いの対象となる事実が起こった後では受取人の変更はできず、保険会社としては保険契約を忠実に履行するだけ。受取人変更の書類に不備がなければ、指定された受取人に保険金を支払って手続きは完了します。あとは当事者同士で話し合ってくださいというスタンスですね。当事者間の話し合いがこじれた場合には、民事訴訟に発展するケースもあるようですが…」

また後田さんによれば、離婚後に受取人を変更して起こるトラブルだけでなく、変更しなかったことで起こるトラブルにも注意が必要なんだとか…。

「たとえば、がん保険に入っていた男性が受取人を前妻のまま変更せずに、別の女性と再婚し、その後がんが見つかったケース。医師にがんと診断されたため、300万円の診断一時金が下りたのですが、その全額が前妻に支払われてしまったんです。男性は、がんの治療に使いたいから300万円をこちらにまわしてくれと前妻に頼みましたが、離婚した時点で両者の関係は壊れていましたから、元妻はお金を渡してくれませんでした。保険会社としても、書面上の受取人が元妻になっていれば、その指定口座に保険金を振り込むしかありません。たとえ『がん診断一時金』という名目であっても、そのお金をどう使うかは受取人の自由なのです」(同)

保険会社は契約を忠実に履行するだけということは、そういう事態も起こりうるわけですね。

「その男性は、特約のついた複雑な保険に複数加入していたため、死亡保障以外の保障、つまり、がんの場合、診断時に一時金があるといったことを忘れてしまっていました。こうした事態を防ぐには、契約内容を覚えていられる、シンプルな保険を利用すべきです」(同)

万が一のときに備えて入っている保険なのに、肝心なときに保険金を受け取れないんじゃ元も子もありません。うっかりミスが起きないように自分の入っている保険は正確に把握しておくことが大切なようです。 離婚時には慰謝料とか、いろいろ面倒なことが起こると聞いていたので、保険金の受取人を妻の同意なく変更できるというのは意外でした。

ただ実際のところは、勝手に受取人を変更するとトラブルが起こる危険性もそれなりにありそうですね。やはり両者納得して、円満に解決するのが一番ということですね。

この連載では、保険選びに関する皆さんの様々な疑問を募集しています。なお、次回は「海外で死亡・入院した場合、保険金は支払われるの?」について調査します。

取材協力:後田亨氏

関連キーワード

ブレイクフォト