“ハンカチ王子”斎藤くんフィーバーは続くけど…

別れのハンカチに見た故郷への複雑な憧憬

2006.11.01 WED

愛媛県松山市の梅津寺駅。ばいしんじ、と読む。一日の乗降客150人足らずという駅の柵に30枚のハンカチがはためく。ハンカチ王子フィーバーの夏が過ぎた秋。アエラのハンカチ特集の取材で訪れた。テレビドラマ『東京ラブストーリー』のロケ地に、放映から15年後の今も、若者たちが集まる。

愛媛出身の純朴な青年・永尾(カンチ)と奔放な帰国子女リカの恋愛劇だが、柴門ふみの原作から流れるのは、都会で成長する青年の物語だ。

「バイバイ、カンチ」

幼なじみのさとみを選んだ永尾にリカが残したハンカチは、故郷を愛する者への嫉妬と憧憬だったように思う。

東京生まれの記者には理解できる。東京に出る、夢破れて帰る。そのどちらもが、うらやましかった。例えば31年前のヒット曲『木綿のハンカチーフ』。都会と故郷に離れた男女の距離感が絶妙だ。ただ、作詞の松本隆さんがいう。「情報網の発達で日本は狭くなった。でもアナログの当時もデジタルの現在も、恋愛は直接会わなくてはダメなんだよ」。

駅の近くの海岸で、カップルに出会った。初デートなのか、少し離れて歩く姿が初々しい。ドラマが放映されたころに生まれた高校生だという。彼らもやがて東京に出ていくのだろうか。

「どうなっても、離れるなよ」

未来のカンチとさとみに、心の中で呼びかけた。

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