保険料が引き上げられるのはなぜ?

マイナス金利の影響を受けにくい保険とは?

2016.05.25 WED

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万が一保険会社が収益悪化で倒産したら、支払った保険料で保護されるのは一定の範囲のみ。払い込んだ保険料の総額は戻ってこないのでご注意を
写真:Komaer / PIXTA(ピクスタ)
日本銀行(以下、日銀)が2月から導入に踏み切ったマイナス金利。これによって、金融機関が日銀にお金を預ける際の一定額を超える部分のお金に対して0.1%の金利を支払わなければならなくなった。つまり、金融機関は日銀に一定以上お金を預けると損になるので、貸し出したり投資に回したりしよう…という動きになる――結果、経済活性化につながると期待されているわけだ。

実際、銀行各行は投資拡大手段のひとつとして、住宅ローンの金利を引き下げており、これから家を購入したい人や借り換えを考える人にとっては追い風になっている。

〈マイナス金利で保険料が値上がりする理由〉


ただ一方で、保険会社は一部保険の販売停止や新規契約分の保険料値上げを発表。“マイナス金利が原因”といわれるが、なぜ、保険料が影響を受けているのだろう?

「保険会社の保険料の主な運用先は、安定性のある国債が多くを占めますが、マイナス金利の影響でその国債の利回りが下がっているためです」

とは、金融商品や資産運用に詳しい、ファイナンシャルプランナーの菱田雅生さん。

マイナス金利の導入により、日銀は金融機関の投資先として、国債購入よりも企業などへの貸し出しを期待していた。しかし、そうそう優良な貸し出し先はないのが現実だ。その結果、金融機関は企業への貸し出しよりも、国債を買う比率の方が高くなっている。

「国債は購入者が多いほど、利回りが下がる仕組み。つまり、マイナス金利による国債の利回り低下で保険会社の運用益が減る見込みとなったため、保険料の値上げや商品の販売停止が相次いでいるのです」(菱田さん)

そもそも一般的な保険料は、次の3つの予定率(将来の状態を推計するための値)をもとに計算される。

●保険会社が保険料を決めるときの3つの予定率


(1)予定利率…支払われた保険料を運用して得られる利益の予想率
(2)予定死亡率…契約期間中に死亡する人数の予想値
(3)予定事業費率…収入保険料に占める、保険会社が保険事業を運営する上で必要な事業費の割合

保険料は予定利率が下がると、そのぶん保険料が上がりやすくなる。なお、菱田さんいわく、影響を受けやすい保険とそうでない保険があるという。

〈影響を受ける保険・受けにくい保険〉


「貯蓄性の高い保険は影響を受けやすいでしょう。たとえば、『終身保険』や『養老保険』『学資保険』『個人年金保険』ですね。これらは契約者から保険料を預かり、それを運用して、将来必ず一定の保険金や年金を支払う必要があります。今後、運用益の将来予測は低く見積もられているため、保険料として資金を多めに集める必要があるのです。ただし、これらの影響は新規契約からなので、すでに加入している人は心配しなくてもよいでしょう」

実際、ニュースで見かけるのは、貯蓄タイプの保険の値上げや販売停止がほとんど。一例を挙げると、日本生命と明治安田生命が「一時払い終身保険」の一部販売を見合わせ、住友生命が同保険の値上げを行っている。

「一方、医療保険への影響は少ないとみられています。特に掛け捨てタイプの保険は、必ず保険金が支払われるわけではなく、保険会社も多額の資金をキープしておく必要がないため、比較的影響を受けません。加入を検討している人はそこまで気にする必要はないでしょう。ただ、30代独身のビジネスパーソンなら、数カ月生活可能な貯金があれば、保険加入の必要はほとんどないはず。いずれにしろ加入時は十分吟味するようにしましょう」

菱田さんによれば、「今後も、保険料の値上げや保険商品の販売停止の動きはあるだろう」とのこと。自分の入っている保険やこれから入ろうとしている保険が本当に必要なのか、見直す機会にもなりそうだ。
(南澤悠佳/ノオト)

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