ネットニュース編集者の第一人者の「お金の哲学」、そのきっかけは…

中川淳一郎「節約をダサイって言うヤツは放っとけ」

2016.09.30 FRI

お得にスマートに… マネー得々大学院 > 成功者が語る“金遣いの極意”


2006年にネットニュースの編集者となり、現在も様々なサイトに携わる
ネット編集者の第一人者として活躍する中川淳一郎さん。Twitter上での過激な発言が注目されることもあるが、実は非常に堅実で慎重な考えの持ち主。今年3月には『節約する人に貧しい人はいない。』(幻冬舎)という、節約本を上梓している。

同書では、見栄を張ったり他人と比べたりせずに、「自分のため」の金銭感覚の身に付け方に触れ、従来の節約本とは異なる観点から“節約と貯金の重要性”を説いている。

中川さんはどういった経験からその思いに至ったのか。その理由を聞いてみた。

●こんな将来は嫌だ…ある男性の一言が心に残る


中川さんは大手広告代理店・博報堂に4年勤めた後、退職して無職となった時期がある。当時住んでいた家は、家賃3万円の風呂なし、共同トイレの古いアパートだったという。

「そのアパートって、基本的にミュージシャンの卵とか、一旗揚げようとする若者が住んでるんですよ。その中に一人、57歳の男性がいた。彼はリストラに遭って、生活保護を受けながらわずかなアルバイト代を得て暮らしていたらしい。俺は半年後にフリーライターになって無職じゃなくなったからそのアパートに入ってから約1年半で引っ越すことにしたんだけど、その日に彼が話しかけてきて…」

その一言を、今でも忘れられないと中川さんは続ける。

「『良かったな』って言うわけですよ。それはつまり、ここを出られて良かったな、俺みたいになるなよって意味で。そのとき俺は28歳だったけど、将来こんなみじめな状況だったら嫌だなって、お金を貯めることの重要性を痛感した。あのアパートに住んで、それを知ることができたのは良かったですね」

●金を払えずに人としての評価が下がるのは損


2004年春、花見後の中川さん(当時30歳)。「俺一人がぐでんぐでんになってつぶれてました」
2004年春、花見後の中川さん(当時30歳)。「俺一人がぐでんぐでんになってつぶれてました」
フリーライターとして収入を得られるようになってからも、支出は“収入がなかった時代”を基準にしているという。

「フリーランスは売れなくなったらおしまい。とにかくそれが怖かった。それに、いつ病気になるかも分からない。仕事がなくなって転職活動をするかもしれないし、無駄遣いせず貯金することを心がけていましたね」

その後、ネットニュースの編集者となり、安定した収入を得られる環境に。ともすればお金に対する気持ちが緩みそうだが、この仕事を通じて、より一層お金の重要性を感じるようになったとか。

「ニュースの編集をしていると、お金の話をよく見聞きするわけですよ。ほとんどの犯罪は金か異性がらみ。お金がなくて、たった数万円のために殺人を犯してしまうこともある。そこまでいかなくても、飲み会で数千円をケチろうとすれば、『あいつはセコい』というレッテルを張られて、評価は下がる。お金がないのはマイナスでしかない。だからこそ、いつでも払える状況を作るには、貯金はしておかなくちゃいけないと感じています」

●節約して貯金があれば、仕事だって辞められる


「金がないなら働け。働いていないから金がないんだ。なんならフリーになればいい。働きが収入に直結する」
「金がないなら働け。働いていないから金がないんだ。なんならフリーになればいい。働きが収入に直結する」
とはいえ、貯金のための節約しようとすると、時として“みみっちい”なんて言われることも…。

「みみっちいと言うヤツは、放っておけばいい。よく、男はバッグと靴、最近だとメガネに金をかけろとか言うけど、自分が欲しいと思わない物にお金をかける必要なんてない。別にそういった物を身に着けなくても、きちんと仕事ができれば相手はちゃんと対応してくれるし、見下されることもない。クレジットカードだって、わざわざ年会費を払ってゴールドにする必要もない」

収入が上がったからといって、見栄のために家賃や持ち物のグレードを上げたりしなければ、貯金はいくらでもできる。そして、貯金は人生の選択肢を広げてくれるという。

「貯金があれば、引っ越したいときに引っ越せるし、転職したいときに転職できる。さらに、無職でいることだってできる。俺はネットニュースの編集者になったとき、収入が前年の2倍に増えて、労働者としての人生が短くなった実感を得たわけですね。貯金が加速度的に増えていくさまを見ていると、54歳くらいで仕事を辞められるなと。俺は競争が嫌いだから、お金が十分に貯まったら仕事は辞めるつもり。今は54歳ではなく、もっと何年も前に『競争からの撤退』が視野に入っている」

南澤悠佳(ノオト)=取材・文
林 和也=撮影

中川淳一郎
中川淳一郎(なかがわ・じゅんいちろう)1973年、東京都生まれ。博報堂、無職、フリーランス、ネット編集者を経て、編集プロダクションを設立。著書に、『ウェブはバカと暇人のもの』(光文社新書)など。

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