殻を破るなら旅に出ろ! のホント

第10回 海外デビュー! 男1人でも大丈夫?

2009.12.04 FRI

殻を破るなら旅に出ろ! のホント


地元向けの生活用品や観光客向けの土産物店がずらり立ち並ぶ『オールドマーケット』の周辺にはレストランも点在! カンボジア料理は、ちょっと甘めのタイ料理のような味付けのものが多く、かなり美味でした!

ついに世界を初体験! ひとり旅@カンボジア



緑の絨毯を敷きつめたようなジャングルが広がっていて、真っ赤な太陽が西のかなたに沈んでいく。頬をなでる空気はカラリと乾いていて、隣では白人カップルが肩を寄せ合い異国の言葉でなにかをささやいている…。はじめての海外ひとり旅。最終日の夕暮れ時、ボクは『プノン・バケンの丘』でアンコール遺跡を染める太陽を眺めながら、ひとりつぶやいたんだ…。

「ああ、人生は旅だ…」

わわわっ!っと、失礼いたしました。ワタクシ、渡 歩(わたり・あるく)。念願叶って海外デビューを果たしたわけですが、いろいろと刺激が強すぎたせいか、ちょっぴりセンチメンタルになっているようです。カンボジアひとり旅。いろんな出来事がありました…。

振り返ってみれば、ひとり旅の初日は、ほぼ移動に費やした1日でした。成田空港からベトナム・ホーチミンを経由し、カンボジアのシェムリアップへ。はじめての国際線や入国審査、ホテルのチェックイン…など数々のドキドキ体験を繰り返しつつ、エクスペディアで予約した宿にたどり着いたのが、20時過ぎ。とっぷりと日の暮れた町に繰り出したボクは、憧れの海外に歓喜!! するかと思いきや、こう思いましたねぇ。

「こ、心細ぇ…」

言葉も通じず、だれも知り合いがいない異国…。そこで感じたのは、問答無用のストレンジャー感だったんです。ほら、子供のころ、自分が迷子になってしまったことに気付いて、背筋がソワーっとするような感覚ありましたよね。あれを20年ぶりに味わっているような感じなんですよ。
というわけで、カンボジア初日は恐る恐る屋台の麺料理に挑戦しただけで、おとなしくホテルへリターン! おとなしく就寝しました。てへ。

さて翌日。ホテルで目を覚ましたボクは、ビビりムードの自分に喝っ! 前回、「オトコのひとり旅なら、地元密着型の場所にガンガン行こうぜ」と教えてくれた山下マヌーさんの言葉を信じて、気温30度を超す暑さの中、町の中心部に位置する『オールドマーケット』に向かうことにしたんです。

熱気渦巻く市場内には、服や靴などの日用品から、観光客向けの土産物、野菜や肉、さらには昆虫などの食料品(!?)がズラリ。日に焼けたおばちゃんたちが、クメール語でなにやら怒鳴りあう光景は、いつか映画で見た典型的な“アジアの市場”でした。ゆっくり市場を歩いていると、この町では自国通貨の『リエル』だけでなく、USドルが普通に流通しているということや、地雷のせいで足や手を失った人が町中に少なからずいること。言い値の3分の1くらいには平気で値切れるということ…などなど。ちょっとずつ町の様子がわかってきました。

「町のリズムに乗れ」

前々回、そう教えてくれたのは、元傭兵のテレンス・リーさんでしたが、ようやく「リズム、つかめてきた!?」なんて感じたボクは、さらなるリズムの高みを目指して町をお散歩。すると、ひとりの男が声をかけてきたんです。

「ミスター。アンコールに行かないかい? 安くしとくぜ」
今回、2日間にわたってお世話にあったモト・ルモー運転手のホーさんと記念撮影! カンボジアには、彼のように日に焼けたマッチョな男子が多かった。女子は、みんなニコニコしててかわいかった~
声の主は、タイガー・ウッズをちょっと面長にしたようなホーさん。聞けばボクと同い年で、カンボジア式バイク牽引タクシー“モト・ルモー”の運転手をしているそうだ。もちろんボクも遺跡には行くつもりだったので、ここで勇気を出して価格交渉スタート。結局、1日15ドルでモト・ルモーをチャーターし、遺跡を回ってもらうことになったんです。

アンコール遺跡が位置するのはシェムリアップから6kmほど北。土煙の舞うカンボジアの道路を疾走しながら、ホーさんは向かい風に逆らうように、なにやら大声で叫んでいます。

「ミスター。日本人は1日に何回セックスするんだ!!」「ミスター。おれなんて毎晩4回はいけるよ。だからベビーは4人だ。ガハハハ!!」。

なんちゅう世間話だヨ…。

「日本人は、4回もできないんだヨ!」

大声で叫びながら走ること約20分。ボクはついに憧れの場所『アンコール遺跡』の前に立っていたんです!
石造りの仏様がずらりと並ぶ『バイヨン寺院』も、かなりの迫力があった。内部では熱心にお祈りを捧げる方もちらほら。遺跡とはいえ、現役なんですねぇ

世界遺産『アンコール遺跡』は理屈抜きにスゴかった!



ワタクシ渡 歩(わたり・あるく)が、海外ひとり旅デビューをレポート中の今回。ここからは、いよいよ旅のメインディッシュ世界遺産『アンコール遺跡』に向かいます。

シェムリアップからカンボジア式バイク牽引タクシー“モト・ルモー”に揺られ、なんとか遺跡エリアにたどり着いたボク。最初に訪れたのは、最も有名な遺跡のひとつ『アンコール・ワット』でした。左右シンメトリーの『アンコール・ワット』は、これまで写真やテレビで見たことがあったんですが、実際目の前にしてみると、予想よりもはるかに巨大!

「アンコールの遺跡群は、理屈抜きにスゴイ遺跡ですよ」

本連載第2回に登場いただいた世界遺産の達人・長谷川大さんの言葉ですが、その意味に今さらながら納得。建物自体はもちろん、内部には何千もの緻密なレリーフや壁画…。建造に必要な労力を想像すると、なんだか怖い気がするほどでした。しかも、触れたり、中を歩いたりできるから、遺跡マニアでもないボクでも、ついつい見入っちゃうほどの存在感。さすがのキング・オブ・世界遺産!でした。

その後、巨大な仏頭が大迫力の『バイヨン寺院』や『ライ王のテラス』『象のテラス』が点在する『アンコール・トム』を見学したところで、日没。翌日もホーさんに案内してもらう約束をして、ホテルへ戻ったんです、いやぁ、30度を軽く超える暑さもあり、もうヘトヘトでした…。

で、3日目。ボクが最初に訪れたのは『アンコール・ワット』の北東に位置する『タ・プローム』でした。この遺跡は、長い年月を経て、遺跡をのみ込むように成長した自然の木々が圧倒的! 個人的にはこれまでの遺跡でナンバーワン。というか、ひとつひとつの遺跡にかなり強烈な個性があるんですよねぇ。
長い年月をかけ、巨木が遺跡をのみ込んだ『タ・プローム』。ガジュマルのたくましい生命力には、正直びびりました。この迫力、ジャングルの世界遺産『アンコール遺跡』ならではです
「遺跡もいろいろだし、とにかくエリアがめっちゃでかいからな。ヨーロッパのツーリストは、2週間かけて遺跡巡りをするよ。まぁ、ジャパニーズはけっこうビジーだけどな」

とは、モト・ルモーの運転手ホーさん。たしかにガイドブックには、遺跡が点在するジャングルの面積は、東京23区に匹敵すると書いてある。広っ! 残された時間はわずか1日。「時間の許す限り回らなきゃ損だ!」と意気込んだボクは、その後も『バンテアイ・クデイ』『タ・ケウ』『トマノン』…など、数々の遺跡を巡ったのです。

こうして、旅の終わりも近づいた夕暮れ時。ボクはサンセットの名所といわれる『プノン・パケンの丘』へ登り、真っ赤な夕陽を眺めながら、センチメンタルに旅を振り返っていたんです。

「旅は最高のエンターテインメント」と言ったサンデー・トラベラー吉田友和さん。
「旅の時間は自由なんだ」と教えてくれた世界遺産の達人、長谷川大さん。
「世界の質感を肌で感じたい」と語ったソロアルピニストの栗城史多さん。
「自分の無力さを感じるのも、旅だ」と旅行作家の山下マヌーさん。

旅の達人たちの言葉が、今ならちょっとわかる気がする…。
そんなロマンチックな気分で日没を眺め、今回の旅の締めくくり『プノン・パケンの丘』下りたボク。丘の下ではホーさんが、なにやら真剣な表情で立っています。

「ミスター。ジャパニーズガールとカンボジアンガールはどっちがかわいいと思う? おまえ、彼女はるのか? それはボインか?」

あはは。世界を旅するって、おもしろい! 飛行機の乗り継ぎの関係上
3泊4日(1泊は機内泊)となった今回の海外デビューひとり旅。
使ったお金は、以下の通りでした。

飛行機代6万3940円:成田~シェムリアップ往復(ホーチミン経由)
ホテル代1万3894円:エクスペディアで予約
現地での交通費・食費・土産1万3000円
空港までの交通費・保険等1万円
合計:10万834円

その気になれば10万円ちょっとで、世界遺産に行けちゃう世の中なんですね。

いやぁ、はじめてのひとり旅。
初体験の連続で、かなり緊張したため
正直、リラックスできたとはいえませんでしたが、
その分、毎日がドタバタに次ぐドタバタ。
冒険気分で、相当楽しかったことだけは確か。
ほんと、行ってよかったです!

というわけで、本連載も残すところ2回。
ラストスパートでいきますんで、よろしくお願いします!

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