夏レジャーの“危機一髪”から生還せよ!/第4回

森林や山の中で迷ったら?

2012.08.24 FRI


遭難への備えとして役立つ最近の知識としては「携帯電話の予備バッテリーを用意しておく」というものも重要。森林のなかでも通話可能な場合もあるため、救助を求める際に役立つという 画像提供:マイザ/PIXTA
アウトドアレジャーとして人気のトレッキングやハイキング。そこで心配されるのが、毎年必ずニュースとなる遭難事故だ。初心者向けスポットだからと油断をするのは禁物。注意や準備を怠り踏み込んでしまえば、深刻な遭難の危機が待ち構えているのである。

では、トレッキングやハイキングに臨む際に、どのような知識や装備を用意しておけばよいのか。子ども向け学習誌やマンガなどで

「樹木や岩を見て、コケが付着しているほうが北側になる」

「遭難時には下山するのではなく頂上を目指したほうが助かる可能性が高まる」

といった、豆知識を読んだことがある人もいると思うが、果たしてそうした知識は、どこまで役に立つのだろうか??  今回は、アウトドア活動のエキスパートでもあるボーイスカウト日本連盟にお話を伺った。

「まず、心得ておいていただきたいのは、そうした知識のどれもが“確実に助かる”ために役立つものでないということです。条件により確度が変わるような種類の知識は、逆に危険を招く結果となりかねません」

たとえば「樹木や岩を見て、コケが付着しているほうが北」や「樹木の枝ぶりを見て、葉が大きくよく茂っている側が南」に関しては、

「森林のなかでは、一方向からのみ日光に照らされるとは限らないため判断材料としては不確か」

なので安易に信用しないほうがよいという。ただし、よくいわれている知識のなかで、「頂上を目指したほうが助かる可能性が高まる」「日が暮れてきた場合は動き回らず、その場で待機し明るくなってから行動する」の2つに関してはセオリーに近いようだ。

「心理的には下山したくなるのですが、かえって沢筋に迷い込む危険があります。高所(尾根筋)は展望がきくことが多いほか、ランドマークをとらえやすく、救助者からも発見されやすくなるので、尾根を目指したほうがよいでしょう。また、暗いなかでむやみに動き回るのも厳禁。体力を温存するためにも、明るくなるまで待機するのが基本です」

そして、何よりも重要なのが、

「遭難状態に陥った場合、確実に脱出できる方法はないということ。遭難時の体力や天候などの条件によっては、経験が豊富な方でも脱出ができない場合があります。ですから、付け焼刃の知識で対処しようなどと思わず救助を得るための準備を怠らないことが大切です」

具体的には、ライトなトレッキングであっても地図やコンパス、非常食、懐中電灯など、命を守るため最低限必要な装備を欠かさず、登山口の管理事務所または知人などに、詳しいスケジュールを渡しておくことが必須。また、

「前進中に何度か振り返り、進行方向とは逆の景色を頭に入れておくことや、迷ったと感じたら、先に進まず、最後に位置を確認した地点まで戻るという判断も大切」

なのだという。ボーイスカウトのモットーである『備えよ常に』が、遭難を防ぐためにもっとも役立つ知恵といえるだろう。
(石井王子様)

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