香川移籍で地元クラブに2000万円!

FIFA「連帯貢献金」で育成活性化?

2012.08.28 TUE


香川選手が12~16歳まで所属していたFCみやぎバルセロナは、これまで8人のJリーガーを輩出した名門クラブ。「ドリブル最優先、戦術指導なし」という異色の育成方針を掲げている 写真提供/Press Association/アフロ
開幕戦で先発フル出場を果たし、試合には敗れたものの上々のイングランド・プレミアリーグデビューを果たした香川真司選手。今年7月、独ドルトムントから英マンチェスター・ユナイテッドへ電撃移籍したことは大きな話題となった。約15億円にものぼる巨額の移籍金に注目が集まったが、その裏で香川選手が少年時代に所属していた地元サッカークラブ「FCみやぎバルセロナ」にも、約2000万円という大金が支払われることになった。

実はこれ、FIFAが2001年に定めた「連帯貢献金制度」によるもの。海外進出をするほど優秀な選手を育てたクラブ(12~23歳までに在籍したチーム)に対して、元所属選手の「国際移籍」における移籍金のうち5%が、所属年数に応じて分配されるという世界的ルールなのだ。

「そもそも『連帯貢献金制度』が生まれた理由のひとつに、欧州のビッグクラブが各国のクラブから有望選手を“青田買い”してしまうという背景があります。若い選手の隠れた才能を引き出した地元クラブに何も残らないのは不公平、という経緯で定められたわけです。途上国のクラブにとって、億単位の移籍金なら5%でも大きな金額。日本でも地域のサッカーチームは保護者からの月謝で運営しているところが大多数ですから、連帯貢献金は育成年代のクラブに夢を与えてくれる制度といえますね」

と教えてくれたのは、サッカー専門新聞『EL GOLAZO』の川端暁彦編集長だ。でも日本で育成年代というと、中学や高校のサッカー部に所属していた選手が多いんじゃ?

「JFAにチーム登録していればFIFAに正式なクラブとして認定されるので、中高のサッカー部も連帯貢献金の支払い対象になりますよ。ただ、私立学校なら何も問題ありませんが、公立の場合は困りますね。仮に多額の貢献金が支払われるとして、それは一体誰のお金になるのかという判断が難しいんです。学校なのか、自治体なのか、使い道は誰が決めるのか。前例がないこともあって、現状では普通の公立学校は扱いに悩んでしまうのではないでしょうか」

香川選手のケース以前には、日本のクラブに連帯貢献金が支払われたことはなかったの?

「巨額の移籍金では、長友選手の伊インテル移籍もありました。チェゼーナからインテルへの移籍はイタリアにおける“国内移籍”なので連帯貢献金は発生していませんが、その前の段階でチェゼーナがFC東京から買い取った際には連帯貢献金が発生していますよ。これまで日本人選手が海外リーグに挑戦するときは、契約期間を満了してから行く“ゼロ円移籍(移籍金が発生しない)”が主流だったため、今のところ連帯貢献金が発生したケースはわずかですが、日本人選手の国際移籍もさらに増えそうですから、今後はこういう話題が多くなるでしょうね」

世界的に活躍するスター選手には華やかな移籍(と移籍金)の話題がつきものだけど、それを地元にきちんと還元する仕組みが整っていることも、新たな次々と才能が輩出される背景にあるといえるのかも。
(呉 琢磨)

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