夏レジャーの“危機一髪”から生還せよ!/第5回

クマに襲われないためには?

2012.08.31 FRI


その体躯に似合わず、時速40kmで走ることができるというツキノワグマ。いくら猛ダッシュで逃げても、きっと追いつかれてしまうだろう… 画像提供:asante/PIXTA
森林や山のなかで遭遇する可能性がある“危機一髪”として、たびたび話題となるのがクマの襲撃。環境省が行った全国調査によれば、冬の大雪によるエサ不足などにより、今年は東北地方でクマの目撃件数が劇的に増えているという。

遭遇しないために予防策をとるに越したことはないが、万が一クマに遭遇してしまった場合には、どうすればよいのか。誰もが知っている「死んだふりをする」は、どれくらい効果があるものなのだろう? 日本の代表的なクマの一種であるツキノワグマの研究や、人間との共存に役立つ正しい知識の普及活動などを行っているNPO法人、信州ツキノワグマ研究会に話を伺った。

なお、以下の対処法は主にツキノワグマの生態をもとにしたもの。ヒグマなど他のクマでは生態が異なる場合があるのであらかじめ注意してほしい。

まず、もっとも気になる「死んだふり」なのだが、研究会によれば、

「地域にもよりますが、ツキノワグマは動物を襲って食べることはあまりありません。むしろ、死んだ動物を見つけた場合に肉を食べていることが多いと考えられます。また、好奇心が旺盛な動物なので、急に人が倒れたりすると近づいてきてしまう可能性もあるため、死んだふりはやめたほうがいいでしょう」

とのこと。むしろ「死んだふり」は、してはいけない危険な行為だったのだ。では、万が一クマに遭遇した場合、どのように対処すればよいのか?

「クマを刺激しないというのが大変重要です。クマが人を襲う場合の多くは、逃げるための防衛行動なので、できるだけ刺激しないように穏やかな声で話しかけながら、絶対に背中を見せず、後ずさりをしてクマと距離をとるようにしてください。また、特に親子グマに遭遇した場合には、できるだけ子グマから離れるように距離をとりましょう」

クマは走るものを追う習性があるため、逃げる際でも走るのは禁物。とにかく刺激せず、ゆっくりとその場を立ち去るのが賢明な対処法のようだ。また、

「もし、クマが自分のリュックや荷物を漁っている場合、その場で取り返そうとは絶対にしないこと。クマは、一度エサとして認識したものに強い執着心を示し、一度漁った荷物は自分のものだと思っています。仮に、クマがその場にいなくなっていても荷物に近づくのは非常に危険。どうしても荷物を取り返したい場合は、いったんその場を離れ、役場などしかるべき行政機関に相談をして、ハンターに同行してもらいましょう」

とも。ちなみに、最善の策はやはり遭遇しないよう予防策をとること。クマが出没しそうな場所に出かける際には、ラジオや鈴(なるべく音が響くタイプ)を携帯し、常に鳴らしながら移動するのがよいという。

もちろん、万が一に備えクマ撃退スプレーを用意しておくことも大事だが、人間の突発的なアクションはかえってクマを刺激してしまうので、危険もともなう。木が折れる音や草むらの揺れ、足跡などクマの気配を感じた場合には、やはり速やかに、しかし決して走らずに、その場を離れるようにしよう。
(石井王子様)

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